渡辺麻友 AKB48の第5弾ドキュメンタリー映画が公開

 今年11年目を迎える国民的アイドルグループAKB48。数々の記録を更新し続けてきた彼女たちの5作目となるドキュメンタリー映画『存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48』が公開中だ。毎回メンバーたちのリアルな姿と壮絶な舞台裏が衝撃を与える同作品と、現在の自分自身について渡辺麻友がその本音を語る。

撮影・神谷渚

 先月行われた「AKB48 45thシングル選抜総選挙」では惜しくも2位という結果に終わった渡辺麻友。AKB48の中では誰もが認める正統派アイドルで、自身もAKB48に青春のすべてを捧げてきたと言い切るほど強い信念を持っている。現在公開中の映画『存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48』は、2014年の総選挙後から、2016年の総選挙までの2年間を追ったドキュメンタリー。この2年は渡辺にとってどんな年だったのか。

「前回の映画は私が総選挙で1位をとらせて頂いたというところで終わっているんです。今回の作品では、1位として活動していた1年と、1位から順位を落としてしまって3位になった1年、そして今年2位になった期間までが描かれています。順位の変動も毎年ありますし、私自身にとっても変化を感じた2年でした。個人的には、昨年はドラマに主演で出させていただき、AKB48という団体活動から1人で飛び出して外の世界で活動していくことの大変を感じました。自分の未熟さを痛感して、すごく悩みました。でもそれで成長できたと思いますし、考え方やものの見方も180度変わったところもあり、この1年間はとても大きな変化がありました。また、去年の総選挙で3位だったことも、振り返ればいい3位だったと思います。吹っ切れたというか、一皮むけた。あのことがきっかけで自分らしくいられるようになったので、ある意味ターニングポイントになりました。メンバー内で順位を付けられるのはつらいですが、AKB48はそういうところなので、そこは割り切ってやっています。総選挙が終わった今は清々しいのですが、始まる前までは逃げ出したくなります」

 そしてもうひとつ、この2年の中で大きな出来事といえば、初代総監督・高橋みなみの卒業。高橋といえば、秋元康に“AKB48とは高橋みなみの事である”と言わしめた絶対的なリーダーだ。

「やはりまだ心にぽっかり大きな穴が開いているような感じです。偉大な先輩だったので、辞めると聞いたときはAKB48グループはもう終わっちゃうんじゃないかと思いました。たかみなさんがいないAKB48は想像もできなかったし、本当に大きな精神的支えでした。でもまだなんとかやっているので、その空いてしまった大きな穴を私たちで埋めていかなきゃいけないと思っています。たかみなさんにはついていけばよかったけど、今の総監督の(横山)由依ちゃんは、後輩なのでサポートして支える側ですね。由依ちゃんには期待もありますが、総監督って本当に荷が重いと思うので心配でもあります。本人も結構悩んだり、壁にぶち当たったりしているようなので、いつかつぶれてしまうんじゃないかって…。でもすごく頑張っているので、支えてあげなきゃと強く思っています。たかみなさんが一声言えば、みんなそれで動いたり、従ったりという感じでしたが、由依ちゃんはみんなと一緒に歩いていくタイプ。メンバーと一緒に成長していきたいという姿勢なので、後輩からも、ものすごく慕われているし、同じ目線に立ってあげられる人なので、後輩たちも歩み寄っていきやすいんじゃないかと思います」

 今年の総選挙で“今、AKB48はピンチだと思います”とスピーチした渡辺。その真意は?

「常にピンチだと感じていますし、それは今に始まったことではありません。AKB48が売れてすぐに、1年目から危機感は持っていました。“AKB48も今年までかな”って毎年思っていたし、そういう危機感を持っていつも活動しています。今年で終わりだって思っていたら、次の年も続いていて、でもさすがに今年限りだろう…、っていうのを何度も繰り返しています。とても恵まれているとは思いますが、AKB48を象徴するような先輩たちがたくさん卒業されて、これからはそうはいかないと思う。実際以前のような勢いを感じないこともあるので、頑張らないといけないなと思っています」

 今回の映画には、これまでの10年を体験し、これからの10年を目指す渡辺の姿も。

「この前の選抜総選挙のスピーチもそうですし、今回の映画を見ていても、後輩たちがみんなちゃんと自分がグループに貢献していきたいとか、いつかはグループを引っ張っていける存在になりたいとか、グループの将来を考えている発言が多く聞かれました。グループのために、自分はもっとこうしなきゃいけないという意識がちゃんとあるので、それはすごくうれしいし、頼もしい。グループがずっと続くためには、そういうメンバーが必要なので、もっと出てきてほしいと思いますね。もちろん、私もできるだけ長く続けたい。これまで10年続いたんですから、ここで終わらせたくない。というより終わらせるわけにはいかない。また10年、その先も10年。もっともっとです。今は本当に大変な時期に差し掛かっていますが、私も10年目のメンバーですし、10年を経たメンバーだからこそ、グループに貢献できることをやっていきたい。今回の映画の監督さんは、AKB48の現場にいて、常にカメラを回して下さっている石原さんという方で、メンバーとの信頼関係もあるので、密着感があります。インタビューも石原さんがやって下さっているので、フリートークのようにすごくリラックスした状態です。よりメンバーの素が映し出されていると思いますし、AKB48愛が詰まっているので、ファンの方に楽しんでいただける作品になっています。また、あまりAKB48を知らない方には、AKB48の事をもっと知っていただける作品になっていますので、いろいろな方に見ていただきたいです」
(THL・水野陽子)

© 2016「DOCUMENTARY of AKB48」製作委員会
『存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48』
全国ロードショー中
【企画】秋元康【監督】石原真【配給】東宝映像事業部【公式サイト】 www.20146-akb48.jp