都医師会・尾﨑会長「ハイブリッド免疫」「超高齢化社会」挙げ、改めてワクチン接種の重要性訴え

 東京都医師会は19日、都内で新型コロナウイルス対策について定例記者会見を行った。

改めてワクチン接種の重要性を訴えた東京都医師会の尾﨑治夫会長

 尾﨑治夫会長は現在の感染状況を「徐々に減っていた新規感染者数が若干増えつつある。これは水際対策を大幅に緩和し、国内も含めて人流が活発になってきたことや、急激に気温が下がって窓を開けず暖房をつけ換気が悪くなるなど、感染が増える状況が出てきたことが考えられる。この冬に第8波がくるのではないかという予測は十分成り立つ」と分析。

「インフルエンザはこの2年間まったく流行っていなかったが、南半球のオーストラリアで流行が報告されているし、今後は外国の方がたくさん入国する中で、コロナだけでなくインフルエンザウイルスが侵入する可能性は否定できない」として、新型コロナとインフルエンザの同時流行の可能性を示唆した。

 尾﨑会長は「日本にとって大切な感染予防対策はやはりワクチン接種。特に今、オミクロン対応のワクチンが出てきているので、ぜひ11月までに3回目、4回目の接種、医療従事者や介護従事者、高齢者の方は11月以降の5回目接種をしていただきたい」と言及。

 理由として「ワクチン接種をしてなおかつ感染した人は非常に高い免疫防御(ハイブリッド免疫)が獲得できると言われているが、日本は欧米に比べてハイブリッド免疫を持つ人が少ない」「日本は総人口に占める高齢化率が約29%の超高齢化社会であり、新型コロナは高齢者にとって怖い病気。病原性が弱まったとしても、日本では新規感染者数が増えれば亡くなる方が増える」を挙げ、改めて「今後もしっかり感染対策をやりながらワクチン接種をしていくことが最も求められる対策」と訴えた。

 そのうえで、ワクチン接種後に「およそ4カ月程度で抗体価が高い状態から低下してくる。従って、抗体検査でどの程度免疫を獲得しているのか見ながら、今後のワクチン戦略や感染予防対策をしていくことが大事ではないか」と抗体検査の活用を提案。

 また、政府が13日、18日に発表した「新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース」について、「あの対策は本当に医療がひっ迫した時、オンラインや電話を活用しながら患者さんの状態を見て、最悪の場合インフルエンザの検査をしないでも治療薬の提供を考えていただきたいという方針。同時流行が始まったからあの方針でやってくださいという話ではない」と説明し、「東京都医師会では今、自宅で抗原検査キットを使って陽性かどうかを判定する仕組みができている。そこでコロナでないという可能性が極めて高いと分かった場合、従来通り医療機関を受診していただいていいと考えている」と明言した。