フィギュアスケート グランプリファイナル2025 『Kiss & Cry』【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。

イリア・マリニン
佐藤駿と日下匡力コーチ
佐藤駿と日下匡力コーチ
中井亜美
中井亜美と坂本花織(2025年12月6日 ISUグランプリファイナル 国際フィギュアスケート競技大会 愛 知・名古屋2025)撮影/文章:西村尚己
フィギュアスケートの魅力のひとつに、“Kiss & Cry”がある。
 
演技を終え、得点がコールされるその瞬間。極限まで張りつめていた緊張から解き放たれた選手と
コーチは、喜びも、悔しさも、安堵も、そして涙も。ありのままの感情が一気にあふれ出す。
 
その姿はあまりにも人間的で、世界の頂点で戦うトップ選手たちも、私たちと同じ“一人の人間”である
ことを改めて気づかせてくれる。
 
そして“Kiss & Cry”で見られる光景からは、選手やコーチが人知れず歩んできた険しく、長い道のりの
一端を垣間見ることができる。
 
 
12月4日から7日までの4日間、名古屋市で開催されたグランプリファイナル2025。
 
今シーズン、世界各地で行われたグランプリシリーズ全6戦。そのポイント上位6名だけが立てる、まさに
世界最高峰の舞台だ。
 
大会のクライマックスは6日に行われた男女フリー。
 
1万人を超える観客で埋め尽くされた会場は、来年2月に迫るミラノ・コルティナ五輪を前に、張り詰めた
緊張感と熱気に包まれていた。
 
その中で、息をのむようなハイレベルの戦いが繰り広げられた。
 
そしてもちろん、“Kiss & Cry”でも、選手の数だけ感動的な光景があった。
 
 
男子シングルスでは、7本の4回転ジャンプを含む圧巻の演技でフリーの世界歴代最高得点をマークし、
3連覇を成し遂げたイリア・マリニンの表情が印象的だった。
 
また、ノーミスの演技で自己ベストを更新し、2年連続の銅メダルを手にした佐藤駿。
日下コーチの大きなリアクションが強く印象に残った。
 
女子シングルスでは、初出場ながら銀メダルを獲得した17歳の中井亜美が見せた涙。
その健闘を、優しいまなざしで称える日本のエース・坂本花織の姿が、会場を温かな空気で包み込んだ。
 
 
リンク上の演技だけでなく、“Kiss & Cry”で交わされる一瞬一瞬が、私たちの心を深く揺さぶる。
 
この大会で心温まる感動を届けてくれたすべての選手、そしてコーチたちに、改めて拍手を送りたい。
 
 
■カメラマンプロフィル
撮影:西村尚己
 
1969年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。
人間味あふれるアスリートの姿に魅せられ、学生時代にスポーツ写真の世界と出会う。
大学卒業後は、国土交通省に勤務しながらアマチュアカメラマンとして活動するも
どうしてもプロの世界で挑戦したいという想いが募り、2016年にアフロスポーツに転職。
現在は国内外のスポーツを精力的に撮影し、人間の情熱や鼓動、匂いなど五感で感じとれる作品づくりに励む。
 
2007年 APAアワード写真作品部門 奨励賞
2013年、2015年 写真新世紀 佳作 ほか
 
★インスタグラム★
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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