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人はなぜ描くのか。『18th DOMANI・明日展 PLUS —ドローイング・レッスンズ in 3331—』

2016.02.10 Vol.660

 新進気鋭のアーティストを紹介する連続企画。『VOL. 3 ーFrom Westー』では、関西圏出身の2アーティストを紹介。

 八太栄里は1989年、京都府生まれの作家。2011年に大阪デザイナー専門学校研究科イラストレーションコースを卒業後から、関西圏で個展・グループ展に参加。近年はThe Artcomplex Center of Tokyoで個展を行い、東京でも好評を得ている。その作品は一見、スナップ写真のような日常のリアルさをたたえながらも、どこかに非日常が存在する違和感が、見る者を引きつける。

 山際マリは1971年生まれ、京都府在住の作家。関西を中心に展覧会を行っている他、海外書籍の挿絵や画集にも取り上げられている。一目でシュールレアリスムの世界に引き込まれる、氾濫する色彩と印象的なモチーフたち。作家の世界で、自らのイマジネーションを遊ばせてみたくなる。

“新、アーティスト”といいながらも、その完成度と魅力は見ごたえ満点。関西で活躍中の旬な才能に注目を。

ピクサー作品のアートワーク500点が集結

2016.02.08 Vol.660

『トイ・ストーリー』、『ファインディング・ニモ』など、傑作CGアニメーションを次々と世に送り出すピクサー・アニメーション・スタジオ。1986年にジョン・ラセター、エド・キャットマル、スティーブ・ジョブズらによって設立され、今年で30周年を迎えるのを機に、歴代作品の制作過程で生み出された貴重なアートワーク約500点を一挙公開!

 イマジネーション豊かな世界観と魅力的なキャラクターを、最先端のCG技術によって映像化してきたピクサー作品。CGアニメの最高峰として世界中から愛されているが、実はピクサーには技術スタッフと同じくらいのアーティストやデザイナーが在籍している。彼らの仕事は、ストーリーや映画のビジュアルなどを考える企画の構想段階で、手描きのドローイングやパステル画、デジタルペインティング、彫刻などの制作。彼らの手仕事無くして、CG映像は生まれないのだ。

 本展では、世界初のフルCG長編アニメーション映画『トイ・ストーリー』から3月公開の最新作『アーロと少年』まで、映画制作の源となった貴重なアートワークから約500点を厳選して展示。さらには、ピクサーの世界観を表現する大型インスタレーションや、映画制作の裏側などを紹介する映像やショートフィルムも上映する。

 ピクサー作品の優れたCG技術を支える、アーティストたちの類まれなアートセンスに改めて感動できる展覧会だ。

スタジオ設立30周年記念 ピクサー展
【会期】3月5日(土)〜5月29日(日)
【時間】10〜18時 ※入場は閉館の30分前まで
【休】月曜、3月22日(3/21、5/2、5/23は開館)
【会場】東京都現代美術館
【問い合わせ】 03-5245-4111(代表)
【URL】http://pxr30.jp/ ©Disney/Pixar

★展覧会招待チケットを読者5組10名にプレゼント!
http://www.campaign-kenshou.com/campaign_detail.php?cpid=2279

 “美の競演”を楽しむ「浮世絵 ・水彩画に見る新宿風景展 江戸から昭和まで」

2016.01.23 Vol.659

“新宿”にまつわる美術品約80点を集めた、ユニークな展覧会。現在では世界有数の大繁華街である新宿も、江戸時代には「四谷新宿馬の糞」と言われ、甲州街道の宿場町として荷馬車が頻繁に往来する物流拠点だった。関東大震災を契機に、郊外から多くの人々が集まるようになり、新宿は繁華街への変貌を遂げていった。

 本展では、その移りゆく姿を、新宿区立新宿歴史博物館所蔵の作品約80点で紹介。色彩豊かで歴史的記録資料としての価値も高い堀潔の水彩画を中心に、歌川広重の江戸時代の新宿を象徴した浮世絵から、織田一磨の版画、佐伯祐三が大正期の落合の風景を描いた油彩画など、江戸から昭和にかけての新宿を絵画で辿る。

 絵画の中で、さまざまな表情を見せる新宿の情景を眺めているうちに、新宿の変わりゆくもの、変わらぬものが見えてくるかもしれない。

浮世絵 ・水彩画に見る新宿風景展 江戸から昭和まで
【時間】10時30分〜19時(入館は18時40分まで)
【休】火曜(火曜が祝祭日の場合は開館、翌日休館)
【料金】300円 高校生以下無料
【問い合わせ】03-5362-7508
【交通】JR新宿駅東口より徒歩2分 新宿中村屋ビル3F
【URL】 https://www.nakamuraya.co.jp/museum/

 “美の競演”を楽しむ『はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション』

2016.01.23 Vol.659

 西洋美術を紹介する日本初の本格的な美術館として創設され、その優れたコレクションで世界からも注目されている岡山県倉敷市の美術館・大原美術館。西洋近代美術をはじめ、日本近代洋画や、エジプトやオリエント、東洋の古代美術、そして戦後美術から現代美術家の作品まで、きわめて多岐にわたるコレクションから選りすぐった作品の数々を東京で堪能できる、注目の展覧会。

 大原美術館は倉敷の大実業家であり、社会貢献や福祉の分野にも多大な足跡を残した大原孫三郎(1880-1943年)が1930年に創設したもの。岡山県出身の画家・児島虎次郎が孫三郎のサポートを得てヨーロッパで収集したものがもととなっている。

 本展では、大原美術館コレクションの代表的作品エル・グレコの《受胎告知》をはじめ、岸田劉生ら日本の近代洋画、モネやピカソら西洋の近代美術作品はもちろん、エジプトや東洋の古代美術、戦後、現代美術までを網羅して紹介する。

『はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション』
【時間】10〜18時(金曜は20時まで。入場は閉館の30分前まで)
【休】火曜【料金】一般1600円、大学生1200円、高校生800円
【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)
【交通】地下鉄 乃木坂駅 青山霊園方面改札6出口(美術館直結)
【URL】 http://hajimari2016.jp/

年始の芸術鑑賞は巨匠作品でゴージャスに!『ボッティチェリ展 』

2016.01.12 Vol.658

 優雅で美しい聖母や神話の女神を描いた作品で知られるフィレンツェの画家、ボッティチェリは、名門メディチ家の画家として名を馳せ、大型の祭壇画から私的な神話画まで幅広いテーマの作品を手掛けた。ルネサンス期、多くの画家たちが遠近法や明暗法を駆使した自然主義的な表現に向かうなか、ボッティチェリは中世美術を思わせる装飾的、象徴的な様式を貫き、独自の絵画世界を作り上げた。

 しかしその作品の多くは板に描かれており、きわめて繊細であるため、まとまった数の来日はこれまで叶わなかった。今回は、日伊国交樹立150周年を機に、フィレンツェをはじめ世界各地から20点以上ものボッティチェリ作品を集めることに成功した、注目の大回顧展となっている。

 本展では、初期から晩年までの宗教画、神話画、肖像画を通して、ボッティチェリ作品の特徴と魅力を紹介。他にもボッティチェリの師、フィリッポ・リッピや弟子、フィリッピーノ・リッピの作品も合わせて展示。15世紀フィレンツェにおける絵画表現の系譜をたどる。

ボッティチェリ展
東京都美術館 1月16日(土) 〜 4月3日(日)

【時間】9時30分〜17時30分 (金曜は20時まで。入室は閉室の30分前まで)
【休】月曜、3月22日(3/21、28は開室)
【料金】一般1600円、学生1300円、高校生800円、65歳以上1000円
【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)
【交通】JR上野駅 公園口より徒歩7分
【URL】 http://botticelli.jp

年始の芸術鑑賞は巨匠作品でゴージャスに!『フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展』

2016.01.12 Vol.658

 フェルメールやレンブラントら、17世紀オランダの巨匠たちの貴重な作品とともに、当時のオランダ文化を辿る展覧会。

 歴史上まれに見る発展期にあり“オランダ黄金時代”といわれていた17世紀。それは、新たな芸術文化が発展し、数多くの優れた画家が誕生した時代でもあった。本展ではオランダ黄金時代の幕開けから最盛期、その終えんまでをたどり、名画の数々とともに当時の文化を伝える。会場では、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ロンドン・ナショナル・ギャラリー、アムステルダム国立美術館を中心に個人蔵の作品も加え60点を一堂に展示。ヨハネス・フェルメール、レンブラント・ファン・レイン、フランス・ハルス、ヤン・ステーン、ピーテル・デ・ホーホといった、オランダ黄金時代の巨匠たちをはじめ、この時期のオランダ芸術を語るうえで欠かせない作品が揃う。なかでも、メトロポリタン美術館所蔵のフェルメール作《水差しを持つ女》、レンブラント作《ベローナ》は、これが日本初公開作品。見逃せない貴重な機会となるはず。

フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展
森アーツセンターギャラリー 1月14日(木)〜3月31日(木)

【時間】10〜20時(1/26、2/2、9、16、23は17時まで。入館は閉館の30分前まで)
【休】1月19日
【料金】一般1600円、大高生1300円、4歳〜中学生600円
【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)
【交通】地下鉄 日比谷線 六本木駅 1C出口よりコンコースにて直結 六本木ヒルズ森タワー52階
【URL】 http://www.tbs.co.jp/vermeer2016/

年末年始も人気スポットでアート『ゴジラ×生賴範義回顧展』

2015.12.29 Vol.657

“元祖・ゴジラ絵師”として親しまれ、今年、惜しまれつつこの世を去ったイラストレーター・生賴範義(おおらい のりよし)の回顧展。

 生賴は1960年代からイラストレーターとして活動を開始。1980年に、ジョージ・ルーカスからの正式オファーにより『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』国際版ポスターを手掛け、一躍脚光を浴びた。その後も『グーニーズ』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』など、数々の話題作のポスターを手掛けた他、雑誌や書籍のカバーなど幅広く活動。

 なかでも代表的な仕事となったのが『ゴジラ』シリーズのポスターだ。1984年公開作からの“平成ゴジラシリーズ”のほとんどのポスターを担当し、ゴジラ絵師として特撮ファンから熱狂的な支持を得た。

 本展では生賴が残したゴジラ作品を中心に、ラフスケッチなどを展示。会期中には、イベントの他、展示ポスターの人気投票企画なども実施。

 2016年には、待望の邦画版新作『シン・ゴジラ』も公開となるだけに、見逃せない。

年末年始も人気スポットでアート「小山登美夫ギャラリーコレクション展」

2015.12.27 Vol.657

 ショッピングスポットとしても人気の渋谷ヒカリエで、アートやクリエイティブなイベントを気軽に楽しめる8/。なかでも注目作家の作品を次々と紹介する人気のギャラリー、Tomio Koyama Galleryが、そのコレクションを中心に選りすぐりのアート作品を一挙展示。今回は、同ギャラリーのコレクションやギャラリーアーティストの作品を紹介する。

 本展では、フランツ・アッカーマンやリチャード・タトル、デイヴィッド・ホックニー、JR、ディヴィッド・リンチといった、多彩な世界的アーティスト、川島秀明や奈良美智、村上隆ら人気の国内アーティストの作品などを揃える。

 過去に同ギャラリーで個展を行い注目を集めた作家の作品もあるので、見逃した人や、もう一度気になる作家の作品が見たい人は、ぜひ出かけてみて。

見逃し厳禁!! 鬼才の海外作家個展「カールステン ・ ニコライ個展」

2015.12.13 Vol.656

『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012』や『第17回 文化庁メディア芸術祭』(2013年)など日本でも注目を集めた、カールステン・ニコライの個展。

 90年代に美術家としてベルリンで活動を始め、ドクメンタXなどにも出展し高い評価を得る一方で、アルヴァ・ノトの名前で電子音楽の分野でも才能を発揮。ファクシミリ音やクリック音にまで音楽の領域を広げるなど視覚アートと音楽の世界を自由に行き来しながら活動の場を広げているアーティストだ。

 本展では代表作『bausatz noto ∞ – color vinyl display, 1998/2015』を中心に展示。アーティストに作成されたレコードと4台のターンテーブルがセットになっているインスタレーション作品で、観客は4台のターンテーブルそれぞれの回転速度を変えたりしながら、同時にエンドレスにループで再生される音を聞くことができる。4つのレコードを使って組み合わせる音のパターンは無限大。作品そのものが、音楽を作り出す装置でもある。

 音楽とアート、2つの世界で活躍するニコライならではの作品。もともとは1998年に発表された作品だが、今回はその新作のカラーバージョンを日本初公開。

見逃し厳禁!! 鬼才の海外作家個展「アントワン・ダガタ展 “Aithō”」

2015.12.13 Vol.656

 世界中を巡りながら、娼婦、薬物中毒者、スラム、性行為、暴力など生と死の狭間や世界の暗部で生きる人々を、撮影し続ける写真家アントワン・ダガタの写真展。

 1961年フランス、マルセイユに生まれたダガタは、1983年にフランスを離れ、およそ10年の間、世界を放浪した後、90年からニューヨークのICP(国際写真センター)でラリー・クラークらに師事し、マグナムのニューヨークオフィスにて久保田博二のアシスタントも経験。98年に出版した最初の写真集『De Mala Muerte and Mala Noche』(不貞な夜)が注目を集め、以降、出版した写真集は数々の賞を受賞。映像作品も手掛けており、2006年には東京でドキュメンタリー作品『Aka Ana』も撮影している。

 本展では古い鏡に映った49点のセルフポートレイトによる新作のインスタレーションを中心に、過去の作品も含めて展示。時には自ら被写体と関係を持ち、自らその世界の住人となりながら、欲望、苦痛、希望と絶望のはざまを縫うように撮影する鬼才写真家の眼差しを受け止めて。
 会期中、1FのNADiff a/p/a/r/tでは新作写真集『Aithō』 『Desordres』を限定販売。

才能が出会って、生まれる。「天明屋尚×インディゲリラ展 」

2015.11.24 Vol.655

 日本の“ネオ日本画家”天明屋尚と、インドネシアの夫婦アーティストデュオ・インディゲリラによるコラボ展。

 既存の日本伝統絵画のイメージを刷新する作品を次々と発表し、国内のみならず海外でも高い評価と注目を得ている天明屋尚。インドネシアを拠点に活動するインディゲリラも、天明屋の仕事に引かれており、昨年は、両者が自国で注目している若手作家たちを選んだダブルキュレーション展を合同で開催した。

 本展では、そんなアジアの気鋭アーティスト2組が、それぞれの新作を発表する。天明屋は、初期代表作のひとつであるJapanese Spiritシリーズの新作群を披露。作品の背景にあるのは、外国人の日本に対するステレオタイプの誤解。そのイメージをさらに増幅させ、外国人が見ることを前提に制作されたとのこと。

 展覧会は今回が初。彼らはジャワの民俗学と現代の都市生活についての深い知識と興味を持っており、その作品における洗練された視覚効果と実験的な表現手段は国内外で高く評価されている。

 自国の培ってきた文化を洞察し、現代人の姿を鋭い批評性と多様な手段で表現しているアーティスト2組から刺激を感じることができるはず。

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