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安倍政権が健闘した教育投資と限界【鈴木寛の「2020年への篤行録」第83回】

2020.09.14 Vol.733
 安倍総理が持病の悪化を理由に退任を表明されました。8年近くの長期政権にあって、私自身も約4年間、文科省で、下村、馳、松野、林の各大臣の下、大臣補佐官として数々の改革に携わる機会を得ました。  二度目の安倍政権は、教育面でも大学改革、英語教育改革、教育委員会制度見直しをはじめ、歴代の政権と比べても多岐に渡る施策を実行しました。それをもたらした教育再生実行会議を官邸に置き、官邸主導によるトップダウンの意思決定が非常に強かったことも特徴に挙げられます。  安倍政権は、幼児教育の無償化、私立高校の無償化、低所得者世帯向けの大学無償化という一大業績を残しましたが、毎年2~3兆円規模もの予算確保が必要な、これらの施策を実現できたのも、官邸の強い力があって財務省を動かすことができたからです。  霞が関では文部省の時代から大蔵省のほうが伝統的に力関係で強く、教育予算を確保しようとしても、年々悪化する財政難と高齢化という二つの壁を前に苦戦を強いられてきました。安倍政権の官邸主導スタイルには色々な評価はありましょうが、総理個人の教育改革への強い思いと、それを具現化するガバナンスの仕組み作りが数々の壁を打破したことは確かです。  残念ながら道半ばに終わった取り組みもありますが、安倍政権が終わってしまうと、教育への公的投資がこの8年間のように継続できるかといえば難しいと言わざるを得ません。  振り返ればこの長期政権は好調な経済に支えられました。政権初期のアベノミクス政策で持ちなおした景気は、戦後最長クラスの6年間も持続し、税収はバブル期並みの63兆円にまで伸びました。経済基盤が安定しないと投資への意欲はわかないものです。  しかし、その景気がしぼみはじめた矢先、コロナ禍に見舞われました。4~6月期のGDPは3四半期連続のマイナス、年率換算で戦後最悪の27.8%の落ち込みとなりました。飲食、観光を筆頭に多くの産業が大打撃を受け、景気の急激な悪化による税収減は必至です。加えて過去にない規模での財政出動をすでに強いられている中、投資への余力が削られています。次期政権からの教育予算編成は年々厳しくなります。  教育への公的投資が行き詰まりを見せる中、次世代を育てるための財源はどう確保すればいいのでしょうか。来月のコラムは“ポスト安倍”時代の教育投資のあり方について展望します。 (東大・慶応大教授)

安倍首相が辞意を正式表明。「志半ばで職を去ること断腸の思い」

2020.08.28 Vol.Web original
 安倍晋三首相は28日、首相官邸で記者会見を開き、自身の健康問題などを理由に総理大臣を辞任する意向を正式表明した。  会見で安倍首相は、持病の潰瘍性大腸炎について説明。今年6月の定期検診で再発の兆候が見られ、その後も薬を使いながら職務にあたっていたが、7月中頃、体調に異変が生じ、8月上旬には再発が確認されたことを明かした。  今後は治療として、現在の薬に加えて新しい薬の投与を行うこと、そのために継続的な処方が必要となることを説明し、「政治においてもっとも重要なのは、結果を出すこと。病気と治療を抱え、大切な政治判断を誤ること、結果を出さないことがあってはならない。国民の負託に自信を持って応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきではないと判断しました」と辞意の経緯を説明。意向は、診察を受けた「今週月曜日に一人で判断した」と語った。  このタイミングでの辞意表明については「コロナ対応に障害が生じることはできる限り避けなければならない。悩みに悩みましたが、足下において7月以降の感染拡大が減少傾向にあったこと、冬を見据えて実施すべき対応策をとりまとめることが出来たことから、新体制に移行するであれば、このタイミングしかないと判断しました」と説明した。  国民に対しては「すべては国政選挙のたびに背中を押していただいた国民の皆様のおかげ。本当にありがとうございました」と頭を下げた上で、「任期を1年残し、さまざまな政策が実践途上にある中、コロナ禍の中、職を辞することになったことを心よりお詫び申し上げます。拉致問題を解決できなかったこと、ロシアとの平和条約、憲法改正、志半ばで職を去ることは断腸の思いであります。しかし、いずれも自民党として約束した政策。次の総理が任命されるまで責任を果たしてまいります」と説明した。  安倍政権は2012年12月に第2次政権が発足してから、連続在任日数が今月24日で2799日を数え、佐藤栄作元首相を抜いて歴代1位となった。第1次政権と合わせると、通算在任日数は桂太郎元首相を超えて、最長記録を更新。歴史的な長期政権を築いた。

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