映画監督の上田慎一郎が31日、都内にて行われたトークイベントに登壇。作品に感じる「美しさ」について語った。
現在、開催中の国際短編映画祭『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(略:SSFF&ASIA)2025』内で、「美しさ」をコンセプトにミルボンと映画祭が選んだショートフィルムを上映するトークイベント。
中学生時代から短編映画を作り始めた上田監督。縦型ショート作品なども手掛けており「最近の縦型動画は、余白を残しておくと“あれ、何だったの?”とコメントがつきやすい(笑)。作品への“参加感”が出るんでしょうね」と作り手の視点を明かし会場も興味津々。一方で短編の厳しさについても「テレビってチャンネルを変えさせない戦いじゃないですか。短編はそれに近いものがあると思う。長編は映画館に入れば見てもらえるけど、短編はスワイプされたら終わり。冒頭で引き込まないといけない戦いがある」。
プログラムのテーマである「美しさ」について聞かれ「実家が美容室なので子供のころは髪を切りに行ったことが無いんです。ちなみにこれは“天パ”です(笑)」と笑いをさそいつつ「映画に美しさを感じるとき」について熱く語った上田監督。
「このシーンが…というより全体を通して、美しいと感じるほうが多い。例えば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は美しい。まったく無駄がない。すべてが必然性を持っている。必要な無駄も含めて美しさを感じます」と感嘆。
「最初はタイトルの意味が分からなかったけど見ている途中で、こっちの意味だったんだと気づくときや、映画を見終わってポスターを見たら見え方が変わるとかも」と“美しい”例をあげ、観客も共感しきり。
さらに「最近、やっと漫画の『進撃の巨人』を読みまして。美しいなと思いましたね。初めから最後まで計算され尽くしている。大体、20巻、30巻くらいで終わる漫画って美しい印象があります」と笑いを誘いつつ「映画も、アイデアを思いついても長編にすると水増し感が出てしまうものもある。一方で、世界の複雑さを描くには短編では足りないこともある」と短編、長編それぞれの魅力を語った。
映された3本それぞれに感じた「美しさ」を、上田監督ならではの視点で語り、観客もすっかりショートフィルムの面白さに引き込まれていた。
『SSFF & ASIA 2025』は5月28日から6月11日まで都内各会場にて開催。オンライン会場は6月30日まで開催中。