公開中の映画『渇愛』の舞台挨拶が17日、池袋シネマ・ロサにて行われ、俳優の石川野乃花らキャストと岩松あきら監督が登壇。同館1館での上映から始まりアカデミー賞受賞の快挙を果たした『侍タイムスリッパー』の安田淳一監督も応援に駆け付けた。
元小学校教師の岩松あきら監督が、かつての教え子の実話をもとに12年もの歳月を費やし完成。摂食障害の現実に切り込みながらルッキズム社会に警鐘を鳴らす意欲作。
約10年前に撮影し、クランクアップは2017年。立ち上げから12年もの歳月を費やし完成させた同作の公開に、岩松監督も感慨深げ。
この日は、岩松監督の応援に、日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した『侍タイムスリッパー』の安田淳一監督が応援ゲストとして登壇。京都で兼業農家をしている安田監督は田植えの繁忙期での上京に「今日は大雨だったのでよかった(笑)」。
実は17年来の友人であるという2人。安田監督は「完成したときに試写に行ったら立ち見だったのでつらかった(笑)」と笑いを誘いつつ「すごいものを作ったなと思いました」と感嘆。
岩松監督が愛知県・三河で立ち上げた映画祭をきっかけに交流が始まったといい、安田監督が「普通は映画祭に参加してもなぜ落ちたのか教えてくれないが、岩松さんは落ちた人にも丁寧な手紙をくれた」と振り返ると、岩松監督も「安田監督はエントリーしてなくても毎年、お客さんとして来てくれる」と感謝。「一緒に寝泊まりしたこともある」と“相思相愛”ぶりを披露。
一方、安田監督が「10年ほど前に、僕の作品が初めて映画館で上映されたとき、親戚が子供を連れて見に行ってくれたんですけど、そこで『渇愛』の予告編が流れて。それがあまりにも強烈で、僕の作品を見ずに映画館を出てしまったということがあって。なんちゅうことをしてくれたんだよ、と(笑)」と明かし、会場が爆笑する一幕も。
互いに長編1作目を同時期に撮影していたという2人。岩松監督は「夜な夜な電話し合った思い出がよみがえります。すごく立派になった安田監督が、こうして僕の作品の舞台挨拶に登壇してくれて…」。『カメラを止めるな!』や『侍タイムスリッパー』など、インディーズ映画を驚異の大ヒットに導いた映画館での再会に感激した盟友2人。
最後に岩松監督は「教師を辞めてこの映画を作ったことを絶対に後悔しないように、上映が終わるまで全力で広めていきます」とさらなる意気込みを語っていた。
この日の登壇者は石川野乃花、加藤睦望、獅子見琵琶、岩松あきら監督。ゲスト・安田淳一監督。