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猫のホテル 30周年本公演『ピンク』

2021.10.04 Vol.745

 1990年に森田ガンツ、中村まこと、市川しんぺー、千葉雅子らで旗揚げした猫のホテル(通称:猫ホテ)が昨年11月に30周年を迎えた。この30周年イヤーのギリギリの10月に記念本公演を上演する。

 作・演出を手掛ける千葉による「人間のバカ哀しさ」を描いた作品は多くのファンを生み、90年代中盤から2000年代にはザ・スズナリといった小劇場を中心にコンスタントに公演を重ねた。その後、名優、怪優、奇才揃いのメンバーが外部から引っ張りだことなったこともあり、2010年代は劇団公演はかなりマイペースな感じで続けられた。今回も2018年4月の『秘境温泉名優ストリップ』以来の公演となる。

 今回の『ピンク』という作品は「30周年を迎え、創作姿勢や方法論を変えざるを得ない時代に突入したと実感した」という千葉が稽古や劇場環境、劇団のモラルまで通用するものかを見直すべく企画したもの。これまでは千葉自身、男性の物語を描くことが多かったのだが、今回は家父長制に守られた世界でたくましく生きる女性の物語を描くという。『ピンク』というタイトルには100年前の英国ではピンクは男の子の色、ブルーは女の子の色とされていたのに現在では逆転していることから「変容」の意味を込めつけられた。

 千葉は「劇団の歴史に今作が加わることで総括的に性別格差における価値観の変容を捉えるものと考えている」とも語っており、バカバカしさやユーモラスな表現の陰に現代社会への問題定義も見え隠れする作品となりそうだ。

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