さまざまな局面での対立構造が描かれる TRASHMASTERS『オルタリティ』

2019.02.17 Vol.715

 差別、エネルギー、被災地といった現代社会で日々起こっている問題を題材とした骨太の作品を発表し続けているTRASHMASTERS。  その作品は一方的に弱者の声に焦点をあて、問題をあぶりだすわけではなく、為政者側のやんごとなき事情もドラマの中で見せることによって、片方の意見を煽るようなエキセントリックな論調に終わらないようなものになっている。作品を作るにあたり、作・演出の中津留章仁は綿密な取材を重ね、資料を読み込み、自分なりの考え方を確立したうえでその問題にアプローチする。ゆえに物語の随所に中津留の考えと思われるものは顔を出すのだが、それは主義主張を押し付けるのではなく、物語を進めるうえでのスパイスとなり、決して平坦な物語には終わらせないものとなっている。また登場人物もさまざまな主義主張を持つ人物がグラデーションのように用意されており、物語が進む中で自分がこの問題についてどのような立ち位置にいるのか、といったことも映し出されることになる。そんなことも含め作品を見る者は現在の社会で起こっている問題について深く考えさせられる。  今回は受動喫煙問題を題材とした個人の権利と社会の相反性、地方自治における本音と建て前、教育現場における教師の在り方、再生可能エネルギーという理想と現実といったさまざまな局面での対立構造が描かれる。そして登場人物たちは時に反転する善悪の基準とそれに伴う関係性の変化に翻弄される。

TRASHMASTERS『猥り現(みだりうつつ)』さまざまな形でなされる問題提起に気づく感性が大事

2016.02.08 Vol.660
 現代社会が抱えるさまざまな問題を題材に、かなり骨太な物語を描くTRASHMASTERS。  作・演出を務める中津留章仁は綿密な取材とそこから生まれる問題意識、そして持ち前の世の中を読む力で、フィクションの一言では片づけられないようなリアリティーのある物語を紡ぎ出す。そればかりではなく、彼なりの未来へ向けた問題提起を見る者に投げかける。  テーマに真摯に向き合うゆえに、上演時間が長くなってしまったり、笑いの要素が排除されてしまったりと昨今の演劇のトレンドから離れていってしまうこともあり、高く評価することに積極的ではない者も多かった。しかし最近は読売演劇大賞の優秀演出家賞をはじめ各賞を受賞。岸田國士戯曲賞に最終ノミネートされるなど、こういう状態を「時代が追いついてきた」というんだな、という感じになっている。  今回、中津留が取り上げるのは昨年から日本の政治における中心的な話題となっている安保法制や「イスラム国」といったあたり。どんな視点でこのセンシティブな問題に切り込んでいくのか注目したい。 TRASHMASTERS『猥り現(みだりうつつ)』 【日時】2月18日(木)〜28日(日)(開演は平日19時。※23日(火)は14時開演。26日(金)は14時の回あり。土日は20・21日は14時、27・28日は13時開演。27日(土)は18時の回あり。開場は開演30分前。当日券は開演45分前) 【会場】赤坂レッドシアター(赤坂) 【料金】全席指定 前売4200円、当日4500円/特定日割引(18・19日)3000円/U25(25歳以下)2500円/学生(大学・短大・専門学校・高校・中学)1000円 ※U25券、学生券は劇団前売り取り扱いのみ。当日受付にて身分証提示。 【問い合わせ】SUI(TEL:03-5902-8020=平日11〜17時 [劇団HP] http://www.lcp.jp/trash/ ) 【作・演出】中津留章仁 【出演】吹上タツヒロ、星野卓誠、倉貫匡弘、髙橋洋介、森下庸之、森田匠、長谷川景、龍坐、川﨑初夏、岡本有紀(青年劇場)、保亜美(俳優座)

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