初主演映画『ゆめはるか』が公開 吉本実憂

「生きる」ということをテーマに、命の尊さや家族の絆を描く『ゆめはるか』が12月、全国公開される。主演は、大河ドラマ「軍師官兵衛」の栄姫役でも大注目の吉本実憂。透明感あふれるピュアな演技で、病と闘う少女を熱演。作品に込められた思いを語る。
 2012年、第13回全日本国民的美少女コンテストでグランプリを受賞した吉本実憂が12月公開の映画『ゆめはるか』で主演をつとめる。2013年には、次世代ユニットX21のリーダーに就任、2014年には大河ドラマ「軍師官兵衛」に出演するほか、連続ドラマの主演に抜擢されるなど、女優として着実にステップアップしている。ほぼ等身大の少女の役をどんな気持ちで演じたのか。

「自分と同世代の女の子が脳腫瘍という病気になってしまい闘病生活を送るのですが、すごく辛いだろうなと思いました。病気はもちろんですが、遥(吉本の役名)は陸上に熱中していて、記録を伸ばすことに一生懸命だったので、その夢が病気によって遠のいたばかりか、二度と走れないんじゃないかという不安もあったと思うので。まだ15歳という若さで、これから精神的にも成長していって、いろいろな事を始めたり、変えていく時期なのに、脳腫瘍になるなんて、どれだけショックだったか。そしてどれだけ重い荷物を背負ってしまったんだろうと思いました。ですから演じるにあたり、遥がどういう気持ちだったのか、少しでも理解できれば役と自分の間を埋められる、そして遥に近づけると思い、役作りはいろいろなことをやりました。病気のこともしっかり調べましたし、病院の院長先生にお話をうかがったり、実際の病院を見学にいったり…。そんなふうに準備はしていきましたが、いざ現場に入ったらすごく緊張しました。でも撮影はとても楽しかったです」

 フリーアナウンサーで女優の山村美智と声優やタレントとして活躍中の山寺宏一が両親役で共演。

「お母さん役の山村さんは、すごくたくさん話しかけて下さって、とても優しかったです。山村さんとの最初のシーンが、体が何かおかしくて、初めて病院に診察に行くっていうシーンだったんですけど、アドリブで手を握って下さったんです。その時に、確かに親だったら心配して、手を握るだろうなって思いました。大丈夫だよって落ち着かせるためにも。そういう小さなことひとつひとつがすごく勉強になりましたね。山寺さんはすごく面白かったです(笑)。シリアスな場面でもカットがかかったら、いろいろな音の真似をして下さるんです。蚊の物まねとか、携帯のバイブレーションの音の真似とか、ビールをあける音の真似とか。さらに注ぐところまでやってくれました(笑)。だから常に笑いがあふれる現場でした。家族って誰かが盛り上げるとか役それぞれ役割があって、一人がかけても寂しい。みんながそろっているのが幸せだなと改めて感じました」

 闘病中の遥を元気づけたのが、同じ病院に入院中の2人の少女。

「やはり入院中に同じ年代の友達がいたのはすごく遥にとって大きかったです。病院の中で会ったので、同じ悩みを抱えているし、気持ちが分かるところがあった。だからこの2人との出会いはとても重要なことでした。現場でも休憩時間によくおしゃべりをしていました。病院のシーンでは控室も病室なんです。だから3人で集まって、お菓子を食べたり、私が持って行った梅昆布茶をみんなで飲んだりしていました(笑)」

 演じることが楽しくて仕方がないという様子。

「今すごく楽しいです。もちろん緊張とか不安はありますが、こうやって好きなことを見つけられて、好きなことをお仕事にできているっていうのがすごくうれしくて充実しています。普段から映画も見ますし、ドラマもたくさん見ますし、音楽も聞きますし、小説も読みますし、いろいろなことをしています。それらはすべて大好きだからやっていることなのですが、好きなものにはとことんハマり、ハマったら自分の中に自然と入ってくる。好きでやって自分の中に入ったことは、結局お芝居の勉強につながっているので、全然苦じゃないですね。これからやってみたい役…は、変わった人とか感性豊かな人。あとは物事をはっきり言う人をやってみたいです。自分とまったく違うタイプですね」

 撮影を通して感じたこと。作品の魅力は。

「家族の大切さや周りの人への感謝です。お芝居をしている時に感じたのですが、生きるって人に支えられている部分がすごく大きい。それは家族だけじゃなくて友達もそうですが、遥の場合はお医者さんや看護師も。そういう人が周りにたくさんいて、自分が成り立っているんだなと実感しました。初主演映画ということで、葛藤した部分もたくさんありましたが、スタッフさんやほかのキャストさんをはじめ、いろいろな方の力が加わって素敵な作品になりました。ですからあらゆる世代の方に見ていただきたい。個性や年齢、人によって感じ方はそれぞれだと思いますが、何か伝えられるものがあればいいなと思っていますし、絶対何かを感じていただける作品だと思います。私も両親に改めて感謝の言葉は恥ずかしくて言えませんが、この映画で伝えられればいいなと思っています。この映画で成長したこと…ニンジンが苦手だったんですけど、病院食を食べる場面でニンジンが出てきて、思い切って口に入れてみたら食べられました(笑)。苦手な食べ物を克服できたことも小さな成長かな(笑)」
(本紙・水野陽子)
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『ゆめはるか』12月13日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

15歳の本田遥(吉本実憂)は、短距離選手として将来を期待されていた。ある日、練習中に倒れ、不安を抱えながら病院に行くと、脳腫瘍と診断され…。走ることを奪われ、一時は絶望感に襲われ苦しむが、家族や友人、そしてともに病気と闘っている少女、主治医、看護師など多くの人に支えられ、生きる希望と病へ立ち向かう勇気をもらう。

脚本・監督:五藤利弘『ゆめのかよいじ』(2013)出演:吉本実憂、山村美智、鳥羽潤/山寺宏一 他 配給:ベストブレーン