江戸瓦版的落語案内 佃祭り(つくだまつり)

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落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 祭り見物が何より好きな神田お玉ヶ池の小間物屋・次郎兵衛。今年も佃島の住吉神社の大祭“佃祭り”の季節がやってきて、朝からソワソワ。渡し船で佃島に渡ると祭りを楽しんだ。時刻はすでに暮れ六ツ。終い船(最終便)に乗って帰ろうと思ったが、すでに船は超満員。女房に今日中に必ず帰ると言ってきた手前、なんとか乗り込もうとする次郎兵衛。

 しかし、突然知らない女に袖を引かれ呼び止められる。「3年前、奉公先のお金を失くして途方に暮れた末、本所吾妻橋から身投げをしようとした私に5両というお金を恵んでくれ、お助け下さった旦那じゃございませんか?」。「あの時、助けていただいたお陰で、命拾いを致しました。ずっとお礼をしたいと思っていたところ先ほどお見掛けし、夢中でお引止めした次第です」。確かに3年前、そのような事があったが、その間無情にも船が出航。しかし女が「夫は船頭をやっておりますので、後で必ず船を出してお送り致します。ですから、ぜひ我が家にお寄りください」と言うので女の家に行き、酒とつまみをごちそうになっていると、何やら外が騒がしい。聞くと、さっきの終い船が人を乗せすぎて転覆。乗客全員が溺れ死んだというではないか。もし、先ほどの船に無理に乗っていたら…、そもそも3年前に女を助けなければ、今頃は自分も死んでいただろう。何というめぐりあわせ。

 一方、次郎兵衛の家では終い船沈没の報を聞き、女房や近所の者が次郎兵衛さんが死んだものだと勘違い。葬式の準備を進め、お坊さんまで呼び仮通夜を執り行った。その最中、何も知らない次郎兵衛が帰宅。「ひえーーっ! 幽霊が出たぞ!」と一同大混乱。しかし、次郎兵衛が事情を説明すると誤解が解け、皆納得。お坊さんは感心して、「仏法ではこれを因果応報と言う。人を助けると、めぐりめぐって自分の身を助けることになる」と一同に説教して帰って行った。これを聞いた与太郎、身投げをしようとしている女に5両やると、自分の命が助かると思い込み、5両を握りしめ、毎日身投げを捜し歩く。3日目、永大橋の上で、涙ぐみながら手を合わせている女を発見。「身投げなんてやめろ。5両やるから早まるな」と止めると、「身投げ? 違うわよ。私は歯が痛いから、戸隠さまへ願をかけてるんだ」「袂には石をいっぱい詰め込んでいるじゃないか…」「これは戸隠さんに納める梨だよ」

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