【江戸瓦版的落語案内】柳田格之進(やなぎだかくのしん)

Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE【ネタあらすじ編】

 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 元彦根藩士・柳田格之進は、文武両道に優れ、清廉潔白この上ない人物。しかしその潔癖さゆえ、主家から放逐され浪人の身となり、17歳になる娘・絹と貧乏長屋で暮らしている。そんな柳田の楽しみは碁。碁会所で会った質屋の萬屋源兵衛といつものように源兵衛の自宅で碁を打ち帰宅後、源兵衛の店では50両の入った集金袋が紛失したと大騒ぎに。番頭の徳兵衛は柳田が怪しいと言ったが、源兵衛は「あのお方がそんな事をするわけがない」と強くたしなめた。

 しかし翌日、徳兵衛は柳田の家を訪ね、50両の件を問いただし、あくまで白を切るなら、大金の紛失を奉行所に届け出ると詰め寄った。柳田は「身に覚えはないが、奉行所の取り調べを受けたとあれば、武士にとって非常に不名誉な事。あの場に居合わせたのが己の不運」と思い、翌日金を取りに来るように言う。

 しかし、そんな大金が用意できるわけもなく、自害を決意した柳田に娘の絹が、「私が吉原へ行って、そのお金を工面します。もし他所からお金が出てきたら、源兵衛と徳兵衛を必ずや手討ちにして下さい」と告げ、身を売った。次の日、金を取りに来た徳兵衛に「金が出てきたら、主人の源兵衛とお前の首をもらう」と言い金を渡すと、その日のうちに家を引き払い行方知らずに。

 そして年の瀬。質屋がすす払いをしていると、あの日碁を打っていた離れ座敷に飾っていた額縁の裏から50両が出てきた。集金袋を受け取った源兵衛がそこに入れたのをすっかり忘れていたのだ。数日後、徳兵衛が立派な身なりをした武士に声を掛けられた。その人こそ、主家へ帰藩がかなった柳田格之進であった。徳兵衛が恐る恐る500両が出てきた事を告白すると柳田は「あの時の約束は忘れていないだろうな。

 明日、萬屋に行くので、首の辺りを洗って待っていろ」と告げた。翌日、柳田を迎えた源兵衛は、不始末を詫びると「あれは私が徳兵衛にやらせたこと」と頭を下げ、徳兵衛も「あれは私の一存でしたこと」と涙ながらに訴えた。話しを聞いた柳田は刀を抜き振り下ろすと、碁盤を真っ二つに。かばい合う主従を見て、どちらも斬る事ができなかった。事情を知った源兵衛は絹をすぐに吉原から身請け。のちに絹は徳兵衛と所帯を持ち、授かった男の子を柳田が引き取り家名を継がせたという。柳田格之進堪忍袋の一席。