【田口桃子の「SOD女子社員は脱がなきゃダメですか?」】第5回 「女がオナニーしちゃだめですか?」

2019.08.09 Vol.Web Original
 新卒でアダルトビデオ業界に飛び込んで、その後女性向けの事業に配属されたのですが、私にとって「女性に性欲がある」ということは当たり前だと思っていました。  エッチなことに興味があって、アダルトビデオを見たり、アダルトグッズを使ってみたり、ハウツー本を読んだりということは、この仕事をする前からしていたからです。  そもそも物心ついた頃から、オナニーのようなことをしていました。  当時はそれを「オナニー」だと認識していませんでしたが、なんとなくそれをしたくなり、すると気持ちよくなり、家族の目を盗んでこっそりとするようになっていたのです。 (いけないことをしているという気持ちよりも、なんとなく家族にはばれないほうが良いと思っていたんだと思います。)  その後、中学生くらいでしょうか、新聞のお悩み相談コーナーが好きで毎回スクラップしていたのですが、そこに「まだ幼稚園生の娘が角に股間をこすりつけて恍惚とした表情をしているがどうすればいいのか」というお悩みが寄せられたことがありました。  いわゆる幼児自慰というもので、ほかのことに興味がうつると自然にやめるでしょう、という回答でした。  まさに自分は幼児自慰から、そのまま辞めずにし続けて今に至るのだとわかり、ドキリとした記憶があります。  自分が少数派、いや、おかしいと気付いたのは、本当に最近のことでした。  この10年ほど、女性向けのアダルトビデオやアダルトグッズがたくさん生まれ、企業・個人問わず「女性の性の解放」を訴える女性が多くなりましたよね。  なぜみんなこぞって、「女性に性欲があることはおかしいことではない」「女性がオナニーをすることは悪いことではない」と当たり前のことばかり主張するのか?  ずっとそれが疑問でした。  そりゃそうです、私にとっては普通のことだったのですから。 だから、多くの女性が「性欲があることはおかしいことなのか?」「オナニーをすることは恥ずかしいことなのか?」ということに悩んでいるということに気付かなかったのです。  また一方で、それらを発信している人たちが、セクハラの対象になり悩んでいることも知りませんでした。  私自身はオナニーをする側の人間として、異性と対等に話せている(むしろ赤裸々に話しすぎて男性を引かせることもある)と思っていたし、そんなことで悩んだことはほとんどなかったからです。  さらに言うと、オナニーを隠れてすることにも、言い訳が必要だということもわかりました。  オナニーをすると女性ホルモンが分泌されて美容にいい。  オナニーをすれば感度が上がって彼を喜ばせることができる。  美容のため、パートナーのため、自分以外の何かを言い訳にしないと、性欲解消以外の言い訳がないと、怖くてオナニーすらできない。  つまりは、女性がオナニーをするということは、他者に言い訳をしないとできないほど恥ずかしいことで、していることがばれると男性からセクハラを受けたりする行動で、正当化するために「性欲があることはおかしくない!」と主張し続けなければならない。  これって楽しいですか??  自分が自分の性欲を認めて、自己責任のもと欲求を満たしていくのは、何も変じゃないし、欲求を満たすことは楽しいことであるべきだと私は思うのですが。  多分この記事が公開されている頃は、書店にananのSEX特集が並んでいることでしょう。  年に1回のこの特集記事を見て、あなたは「女性の性は解放された」と思いますか? 「まだ解放とはほど遠い」と思いますか?  私は、女性のオナニーが悪いことだとは全く思いません。  でもわざわざ「オナニーしている」ことを明言する必要もないと思っています。  果たして、どれだけの人が自分の性欲に自覚的になっているのでしょうか。  ただ、性は一人一人違うものだからこそ、自分に自信をもって、自分なりの性を獲得していくことが必要で、そのためには自分の性欲をすべて認めてあげることが大切だということは、強く思います。  オナニーを肯定することがそれらの一助になるのであれば、私は大声で「オナニー万歳!!」と言いたいと思います。

【田口桃子の「SOD女子社員は脱がなきゃダメですか?」】第4回 「飲み会で下ネタ言わなきゃだめですか?」

2019.07.26 Vol.Web Original
 アダルトビデオ販売会社「ソフト・オン・デマンド(以下SOD)」で働いて13年目。  SODで働いていることを友人や初めて会った人に伝えたときの反応にもいろいろあります。 (「なんで早稲田大学を出てSODに?」という質問に対しての答えは、第3回の記事で書いたので、ぜひそちらを読んでみてください。)  男性からよく言われるのは「お世話になってます!」という言葉。  AVが好きでSODのことも知ってくださっていて、好きな女優さんや好きなシリーズの話などを聞かせていただけるのはとても嬉しいです。  一方女性はSODという会社を知らない人が多く、「なんの会社?」というところから、どういうものを扱っていて、自分はそこでそんな職種で働いていて…というのを説明します。 「面白そう」と言ってくれる人もいれば、まったくピンとこないという表情の人もいて、女性にとってAVはまだそれほど日常的なものではないのだなと改めて感じることも。  さて以前は、私がSODで働いているということを知っている男性から、しばしば「飲み会に来て」という誘いを受けることがありました。  お酒を飲むのは好きなので、最初は何も考えずに参加していたのですが、次第に気づいてしまいました。  彼らが求めているのは、「私」ではなく「SOD女子社員」であるということを。  AV業界のことを面白可笑しく語ること、セクハラをされること、そしてそのセクハラを笑って受け流すこと。  私に求められていたのはそれだけでした。  こんなこともありました。  初めて会う人なのに、私の名前をインターネットで検索し、プロフィールを覚え、取材記事や連載記事も見てきた上で、会社やアダルト業界の話を根掘り葉掘り聞かれ、最後には「この記事もどうせ自分で書いてないんでしょ?」と言われるという。  全部自分で書いてるんですけどね。  彼らはもしかしたら、アダルトビデオ会社で働く女性は全員女優で、出演以外の仕事がないと誤解しているのかもしれませんね。 (そもそも女優さんもAV出演以外にも、文章を書かれたり、歌や踊りをやられたり、作品の販売促進のために我々が依頼した作業をしたり、ほかにも様々なお仕事があります。)  これって結構失礼な話だと思うんですが、どうでしょう。 「アダルトビデオを販売している会社に勤めている女性がまともな仕事をしているわけがない」 「アダルト業界の女性は、男性の飲み会では都合よくエロい話ができるホステスであれば良い」  そういう価値観で扱われているのだなと感じて、私はすごく腹が立ちました。  おそらく、ほとんどの皆さんは、性の話を真面目にする機会が多くはないのではないでしょうか。  特殊な題材だから、性に関する話題になると、急に人との距離感がわからなくなる。  他の題材で話しているときは、「これを言ったら相手がどう感じるか」「こういう伝え方をしてもいいかどうか」ということを考えられるのに、性の話をする機会が少ないから、その加減がわからない。  それで、飲み会の席などで急に、「ハメを外す」ということが起こってしまうのではないかと思います。  つまりは、普段からもっと性の話をして、力加減を知っていくことが必要なのでは。  だからこそ、実は下ネタって、もっと話したほうがいいのではないでしょうか。  セクハラをするためではありません。  どうすれば他人を傷つけないで性の話ができるかを、もっと練習していくために。  と言っても、最近は前述したような失礼な誘いも減ってきました。  13年もSODで働いていると、さすがにちゃんと仕事をしてるんだなとわかってくれているのかもしれません。  ただ単にまわりの友人たちが結婚・出産したりして、飲み会の開催数自体が減っているのかもしれませんが…。

【田口桃子の「SOD女子社員は脱がなきゃダメですか?」】第3回 「大卒でSOD入っちゃだめですか?」

2019.07.12 Vol.Web Original
 私は現在、ソフト・オン・デマンドというアダルトビデオの販売会社で、「GIRL’S CH」という女性向けの動画サイトの運営をする部署に配属されています。  サイトの広報に関わる仕事をすることも多く、今皆さんが目にしているこの記事のように、文章で仕事のことや、自分自身のことを発信する機会もたびたびあります。  そのようにして発信を続けていると、私自身に対してご意見をいただくこともあります。  肯定的な意見、否定的な意見両方ありますが、先日ひとつ気になるご意見をいただきました。  それが、「大学まで行ってSODに入るなんて親がかわいそう」というものです。  なぜかこのご意見がとてもひっかかったので、今回はその理由を紐解いてみたいと思います。

【田口桃子の「SOD女子社員は脱がなきゃダメですか?」】第2回 「ADはブスでなければだめですか?」

2019.06.28 Vol.Web Original
 ADという仕事をご存知でしょうか?  アシスタント・ディレクターの頭文字をとったもので、私のいる会社では、映像制作の現場で撮影が滞りなく進むように準備をしたりサポートをしたりするのが主な業務です。  アダルトビデオの撮影スタッフは男性が多いのですが、弊社では新卒採用も行っているので、大学を卒業したばかりの女性もいます。  現場は、早朝から始まって夜遅くまで続くので体力がいりますし、重い荷物を運んだりすることも多いです。  物理的には、ADという仕事は男性よりも女性のほうが、不利なことが多いのかなと思います。  以前、ある女性ADが、「ロケ現場では化粧もしない、地味な格好をする、女性としての自己主張をしない」ということを新人女性ADに教えていたのを目にしました。  これを聞いて、皆さんはどう思いますか?  なぜADというだけで女性ということを放棄しなければならないのか?と思う方もいるかもしれませんね。  現場で女性らしく働くことを否定している、さらにそれを後輩にも押し付けるなんて、という見方もあるかもしれません。  私は単純に、「作品には映らないそんな部分にまで気を使うほど、彼女は作品に熱い思いがあるんだ」と思いました。  実際に、ロケ現場では華美な格好は不向きです。  足元は動き回れるようにスニーカーのような靴が良いですし、レースなどのひらひらした生地は機材にひっかかってしまったりして危険です。ミニスカートやショートパンツも、足が出ているので、ものを落としたりぶつけたりして怪我になりやすいです。  少しでも男性スタッフの足を引っ張ることになったら、撮影が滞るのではないか。  少しでも自分に注目されることがあったら、女優さんに迷惑をかけることになるのではないか。  彼女の発言は、そんな撮影現場での不安を取り払うためのものだったのだと思います。  とてもじゃないですが、着飾ったら女優さんより目立ってしまうからなどというおこがましい理由ではありません。  これまで、社会において女性が生き抜くためには、「男性の求める女性らしさを売りにする」か、「男になるか」という極端な選択肢しか、私たちには見えていませんでした。  特にADの仕事を全うして評価を得るには、後者になるしかなかった。  それゆえ彼女は、現場では「ブスになる」ことを意図的に心がけていたのでしょう。  とはいえ、多様性が認められ、働き改革も進んでいる現在は、女性らしさを捨て去る必要はないのではないかと思います。  好きなTシャツを着たっていいし、派手すぎなければメイクだってしてもいいのでは。  女であることを言い訳できない厳しい世界だし、女だということに甘えていると思われたくない。  でも本当は誰もブスになる必要なんて、ないのではないでしょうか。

新連載【田口桃子の「SOD女子社員は脱がなきゃダメですか?」】第1回 「女がAV売っちゃダメですか?」

2019.06.14 Vol.Web Original
 皆さんは、ソフト・オン・デマンド(SOD)という会社をご存知でしょうか?  少し前には創業者がテレビ番組で「虎」と呼ばれていたり、外からは何も見えないのに中からはスケスケなマジックミラーで囲われたトラックがバラエティー番組で取り上げられたり、直接的にではないけれど知ってくれている方もいるかもしれません。  SODは、アダルトビデオの制作・流通を行う会社です。  私、田口桃子は、このSODに入社して、もう13年目になります。  早稲田大学に入って映画の勉強をし、映像業界への就職を考えていたときに、たまたまこの会社に出会って、新卒で入社しました。  入社してからは、営業部に配属されて、飛び込み営業をしたり。  マーケティングに配属されて、商品の売り上げ予測をしたり。  営業事務として、受注の入力や顧客対応をしていたりしたこともありました。  そして、2012年からWEBの部署へ異動となり、そこで女性向けアダルト動画サイトの立ち上げを任されることになり、「GIRL’S CH(ガールズシーエッチ)」というサイトを作りました。  現在でもGIRL’S CHで企画をしたり広報をしたり、時にはロケに参加をしたり、はたまたデータ分析をしたり、気が付いたらいろいろな経験をさせていただいています。  この7年間、女性向けAVや女性の性のことばかりを考えている一方で、私がいるアダルト業界というのは、女性向けよりも男性向けの作品の市場のほうが圧倒的に大きいのが現実です。  当然、売る側も男性向けに提案をしていく必要があります。  だから今の女性向け事業に携わるまで、女性としてアダルト業界で働く中で、悔しい思いをたくさんしました。  入社した当時は、女性だからという理由で取引先の店舗に入れてもらえなかったこともありました。  女性だから男性ユーザーの求めるエロがわかってないと作品を否定される女性監督もいました。  でも、それって仕方のないことなんです。  女性だから差別されているというふうに思ってはおらず、この業界では女性であることが圧倒的に不利だったのです。  だって、男性と女性の性って全く構造が違うから。  それを私は理解していなかったのです。  社会的に与えられている役割も全然違うし、体格も違う、女性には生理もあるし。  性を扱う商売をすることになって改めて、日本の性教育は情報が少なすぎるし、考える場や意見を交換する場がなさすぎることもわかりました。  でもそれに気づくまで、かなりの時間がかかりました。 「自分は不利な業界に就職してしまった」 「男性社員の倍努力しなければ」  そう思って、ただ苦しい思いをしながら働いていました。  ところがこの10年。  女性向けAVというものが作られ始め、拡散され始め、この業界でも女性であることを活かすことができる分野ができ始めました。  女性だからこそできる仕事も増えました。 「女だからAVを売る・作る力がない」  そんな時代は終わり、こんな私でも12年とちょっと、この業界で働くことができています(たぶん)  というわけで今回の疑問「女がAV売っちゃだめですか?」の答えは、「女でもAV売ったっていいじゃん!」という答えでした。  皆さんももし機会があったら、就職先の候補に入れてみるなんて、いかがでしょう?

女性向け風俗と二足の草鞋!? ラブメン・アレクインタビュー【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第32回】

2019.05.24 Vol.web original
4月19日にGIRL’S CHでデビューしたラブメンのアレクさん。 彼はラブメンとして活動しながらも、女性向け風俗店「東京秘密基地」にもセラピストとして在籍するという、二足の草鞋を履いています。 これまでのラブメンたちとは一風変わった経歴の持ち主であるアレクさんに、デビューにあたっての心境をお伺いしました。

「女性向け」を排除した理由【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第31回】

2019.05.10 Vol.Web Original
 GIRL’S CH主催のイベント「イケメンフェスティバル2019」について、もう少し。  イベント本編の様子はこちらから  http://www.tokyoheadline.com/443950/  GIRL’S CHでは毎月、新作を購入した方を対象にしたイベントを開催しています。  対象作品を購入しさえすれば参加費用はかからないのですが、それでも作品の代金が1作品3,000円前後はします。  イケメンフェスティバルではそのハードルをぐっとさげて、入場料を1,280円(早割だと980円)にしており、普段よりも参加しやすいイベントだったのではないでしょうか?  今回のイベントは、女性向けのAV・アダルトグッズ・風俗の3つにスポットライトをあてたのですが、あえて「女性向け」についての説明は一切排除しました。  参加される方によっては、すごく不親切に感じられた方もいらっしゃったかもしれません。  でも今回はあえて、そういう作りにしてみました。  以前もこの連載で書いたのですが、「女性向け」についての説明をしだすと、それだけでイベントが終わってしまうと思うんですよ。 (ちなみに、その時の記事はこちら。 http://www.tokyoheadline.com/437564/ )  今回は風俗を大々的に取り上げることが初めてだったので、当初の構成では「女性向け風俗ってどんなことができるの?」ということを説明するコーナーを入れたりしていたのですが……やめました。  女性向け風俗の店舗の方と話していても、それぞれの考える「女性向け」だったり「風俗」のイメージが全然違うんです。  その中であえて定義することは、その定義通りのお店は「女性向けである」、それに外れたお店は「女性向けでない」と言われかねません。  実はこれ、GIRL’S CHもずっと言われてきていることなのです。  女性向けAVとは、ドラマものでイケメン男優が出ていて描写はソフトである、という誰が決めたかわからない女性向けAVの定義。  でもGIRL’S CHのAVはその定義から外れたものもたくさんあります。  そして定義から外れたものでも、支持してくれるお客様が多くいらっしゃいます。  AVも、アダルトグッズも、風俗も、定義に沿っているかどうかで判断されてしまっては、みんなが損をしてしまいますよね。  作り手にとっては、その作品やサービスはウケないと判断してしまうかもしれません。  お客様にとっても、好きな作品を堂々と好きだと言いづらい環境は嫌なはずです。  だから、「女性向け」という定義にとらわれず、「好きだから」楽しんでもらいたいと思って、こういうイベントにしてみました。  定義することより、いろいろな種類の楽しいことをたくさん提供していきたいというのが、GIRL’S CHのスタイルです。  これからもそんなたくさんの楽しみを作って、参加者それぞれが好きなように楽しめるようなイベントやサービスを展開していきたいと思っていますので、ぜひイベントにも遊びにきてください!  イケメンフェスティバル2020が、あるといいな~!!

イケメンフェスティバル2019を開催しました!【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第30回】

2019.04.26 Vol.Web Original
 先日4月21日、「GIRL’S CH presents イケメンフェスティバル2019」を開催しました。  イケメンフェスティバル、通称イケフェスは、2017年に初めて開催してから今回2回目となるイベント。SOD本社を利用して、女性向けのエンターテインメントをちょっとずつ体験できる、まさに「エロ文化祭」的な内容です。 2017年の模様はこちら  http://www.tokyoheadline.com/383066/ http://www.tokyoheadline.com/383465/  設備的な問題もあり、今回は本社2・3階の2フロアのみの開催となりましたが、150名以上の女性客が訪れ、大きな賑わいとなりました。  前回大好評だった体験ブースは、今回も健在。  女性向け風俗店からは4店舗に出展いただきました。 「東京秘密基地」「萬天堂」「ホストロイド」ではそれぞれ個室のプライベート空間で10分間の施術を体験できたり、「SPA White」ではオープンなスペースでハンドマッサージやお話しなどに気軽に参加できるなど、ブースをまわることでそれぞれのお店の特徴を感じることができました。  働いている人の雰囲気が分かって、自分にあったお店を見つける手助けになったのではないでしょうか。

レズ風俗ベテランキャストゆうさん・代表御坊さんインタビュー【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第29回】

2019.04.12 Vol.Web Original
 さて、今回は、前回の記事で私が一緒に時間を過ごした「ゆう」さんと、代表の御坊さんにお話を聞いてみました。 ――今回利用にあたってサイトの注意事項を見てびっくりしたんですけど、すごくルールが細かい。男性向けの風俗だったら明言しないようなことも書かれてて、すごくデリケートにやられているんだなと感じました。 御坊「最低限のルールがあればいいかなと思ったので。通常言ったらわかるやろということも、ルールの隙間をかいくぐってやってしまうお客様もいます」 ゆう「告白というのも禁止にして、一線を越えないようにね。何回か会うと好きになったりしてしまう、ハマってしまうという人も少なくないです」 御坊「やっぱり初回より2回目に長い時間とるお客様が多いです。早ければ2、3回目かでお泊りコースとか。金額も高いから勇気が必要なコースですけどね」 ゆう「でもそれくらいハマるということはやっぱり、心と体のオアシスになってるということ。すごいと思います」 ――お客様はどういう方が多いですか? ゆう「私の場合は、もの静かな方が多いですね。言葉じゃなくてお手紙とかで思いを伝えてくれるような方とか」 御坊「全体的にはそういう層ばかりという感じではないんですが。ゆうさんの場合はやっぱり、永田カビ先生の本の影響ですね。この作品を見て、この店がいい、このキャストがいいというお客様が増えてきた」 ゆう「私の場合、年齢層でいうと20代後半から40代くらいまでの間が多いですね」 御坊「キャストによってお客様の年齢層はばらけますね」 ゆう「あとはいわゆる処女のお客様。男性経験、女性経験どちらも無いというお客様が増えましたね」 御坊「年末年始で募集したお客様アンケートでは、女性経験が0のお客様が7割でした」 お客さんにはどういった人が多いのか?
――セクシャリティの自認みたいなのでいうとどんな方が多いですか? 未経験ながらも女性の方に興味があるのか、そういう意識は特にないのか、とか……。 ゆう「割合では出せないですが……まず男性とも女性とも経験がなくて、ただ触れ合いたいとかぬくもりが欲しいというお客様。普通に結婚して子供がいて、旦那とそういうのがなくなってくる寂しいっていうお客様。あとは昔女性経験があって、歳を重ねてもう一度女性との性的な気持ちが湧き出てきたといって来るお客様。それと、結婚してなかったりずっと彼氏がいなかったり。あと、彼氏と別れたばかりでさみしいという方。結婚する前に経験しときたい、願望叶えてから結婚したいというお客様もいましたね。あ、あと鑑賞コースもあるんですけど、それはまた違った客層ですね。男女のカップルで予約して、彼女を気持ちよくさせてほしいというお客様とか」 ――割と、特別「女性同士」ということに強い思いを抱いている人は少ないような印象ですね。どうしても女性じゃなきゃだめ、というような人は少ないんでしょうか? ゆう「女性じゃなきゃダメって方もいますね。男性がダメ、とか」 御坊「レズヒアンじゃなきゃダメってお客様も」 ゆう「そういう場合は、キャストの過去の男性経験のことですら知りたくないっていう方も多いですね」 ――ゆうさんは今現場監督もされてるそうですが、具体的にどういうことをされているんでしょうか? 御坊「新人が入ってきた時の講習ですね。それ以外でも、実際に現場で働いてみてこういう時どうしたらいいですか?っていうことの相談を受けてもらってる。僕にはわからないことなので」 ゆう「例えばデートでどんなことをしたらいいかとか、ホテル事情とか。ここはお風呂が大きいとかきれいとか、メンバーカードがあって使いやすいとか。悩み相談ももちろん受けます」 ――話を聞いてると、本当に、利用客に合わせてオーダーメイドでやってるんだなっていう感じが強いです。男性キャストがくる女性向け風俗の場合、流れは決まっているというか。最初にこれがあって次これがあって……そういうのが、お店だったり男の子だったり、全部一緒なことが多いんですよね。カウンセリングシートで、最初にしたいことされたくないことを書いたり。 御坊「店のマニュアルにそういうのがあってそれに合わせて流れ作業みたいな感じですか? それはうちの店ではないですね、プレイのマニュアルはないです」 ゆう「基本的なルールはあります。お店に連絡を入れるとか、連絡先の交換禁止とか。でも接客については、意外と細かいようでないですよね。あとはキャスト同士でどうだったとかしゃべるくらい。キャスト自身の経験とお客様の要望を聞きながら一緒に作ってって。だからこそ、個人個人の良さがあると思います」 ――例えばお客様がこうしてる間バスタオル出しておく、とかそういうのも? ゆう「そんなんは無いですね。そこは基本で知ってることでしょ? みたいな」 御坊「ホテルによって置いてるものや数も違いますし」 ゆう「いっぱい話したいという方は、話す時間を長くとったり。あと、ビアンコースをとってるのに一切しないという方もいます。一緒に映画を見てお揃いのパジャマを着て過ごすとか。お客様それぞれの利用方法があると思います。やったことないことを一緒にやるとかね。海に行ったことないから一緒に行くとか、工場見学行ったりとか、苦手な食べ物を克服したりとか、お酒飲みたいお客様だったらその方にあわせてお相手させてもらうとかもあります」 10年やって変わったことと変わらないこと
――10年やっていて一番変わったことってなんですか? ゆう「人間力ですかね。もともと人見知りしない明るい性格だったんですけど、いろんな人と接することで、やっぱりタフになりましたね」 御坊「筋肉ついたな」 ゆう「特に右手が(笑)」 ――逆に変わらなかったことは? ゆう「女性が好き。女性を喜ばせることが好き、ってことは変わらないですね」 ――あと何年続けていきますか? ゆう「それはわからないですね。ほんとは10年でやめようかと思ってました」 御坊「大阪万博までやな(笑)」 ゆう「2025年? 長っ!(笑)。元気な限り、あと本業が忙しくならないうちは続けたいですね。お客様からも、(わたしが)おらんようにならんでくれって言ってくださってるので」 女性同士だから分かる部分が大きい
 今回こちらのお店を利用して、さらにお話しをお伺いして、スタンダードなお店ながらも非常に独創的だなと感じました。  ルールの表記や、伝言欄、当人にしかわからないブログの書き方などに、キャストとお客様を守るためのこだわりが強く表れているように思います。  それとともに、女性向け風俗について、男女キャストでの違いというのも大きく感じました。  インタビューの中でも書いた通り、男性キャストの場合は、マニュアル通りという印象が強いのですが、女性キャストの場合はオーダーメイド。 女性だからこそいろいろ察して対応する能力が高いということ、女性同士だから分かる部分が大きいということの両方が影響しているように思います。  そういった意味で、レズ風俗は女性にとって、性的な快楽だけでなく、コミュニケーション欲求を満たす役割を果たしている、重要にして特殊な業種なのかもしれません。  レズ風俗の利用料金は、決して安くありません。  今回私が利用したコースは、ホテル代等含めると4~5万円ほどかかります。  それでも、金額に見合った貴重な体験をさせてくれて、とても満足度が高かったです。  女性は大切にされなければならないし、そのためには、利用者にとっても働く側にとっても、金額は高くてもしかるべきだと感じました。 今後女性向け風俗には様々なサービスが増えることが予測されますが、利用者も運営側も、性的な欲求を満たす以上に、女性を大切に扱うことを重視したサービスになることを願っています。

レズ風俗で一生分の女性の愛をもらった話【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第28回】

2019.03.22 Vol.Web Original
 前回までの、「レズ風俗で受けた衝撃」を確かめたくて、ついに関西の老舗店に乗り込むことにしました。  2007年に大阪にオープンした、キャストも利用者も女性同士の女性向け風俗「レズっ娘クラブ」、今回お邪魔したのはその姉妹店「ティアラ」です。  ティアラは永田カビ先生のコミック『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』に登場したことでも話題になりました。  女性のお客様なら、レズビアンの方はもちろん、ノンケであってもバイセクシャルであってもパートナーがいても、18歳以上なら利用ができます。  今回は、実際にお客さんとして利用してどんなことを感じるのか体験してみたくて、予約からしてみることに。  まず、こちらのお店のホームページには、注意事項がたくさん。テキスト量がとにかく多いのです。 「こんな人は利用して良いか?」「こんなことはできるのか?」ということから「禁止事項」まで。「初めての方へ」のページにはQ&Aが100個も! 「ルール違反があったらもう利用はできない」ということも書かれていたので、それらひとつひとつに目を通しました。  私はサイトの予約フォームより予約をしたのですが(予約は電話でも可能)、予約フォームには「キャストへの伝言」という項目が。  こちらのキャストさんは、キャスト個人のSNSはやっていません。最近では、男性向け女性向け問わず、風俗のキャストさんがTwitterなどで日常をつぶやいたり自撮りを載せたり、DMやリプライで交流する人が多いのですが、それがない。  指名するキャストさんに事前に要望や思いを伝える機会は、私たちにはこの「伝言」しかないのです。  今時、顔も性格もわからない人と、たった一度の伝言を通して何が伝えられるのでしょうか? そして、その一度の機会で何を伝えたらいいのか。 「これ以上書いたら引かれるかも」とか「当日はちょっと気が変わっているかも」とか、さんざん頭を悩ませた挙句、思いにしたため、勇気を出して送信ボタンを押しました。  こういう世界に慣れているほうの自分ですが、伝言を含めこの応募フォームの入力をするのに、たくさん脳内でシュミレーションをして、思いを膨らませていたので、珍しくボタンを押すことに緊張してしまいました。  それから1日もたたず、今回指名した「ゆう」さんのブログに更新が。  名前も詳細も書かれていないブログだけど、ああこれは私宛だ、と感じることができる、不思議なお礼ブログです。  私が悩んで書いた伝言を彼女が受け取ってくれた喜びに、当日まで何回も見返すことととなったのでした。  さて、今回私が体験したコースは、デートコース60分+ビアンコース120分。  その名の通りデートコースは二人で出かけるコースで、ビアンコースはホテル内でのプレイになります。  勝手に、背の高いボーイッシュでクールな女性をイメージしていたのですが、待ち合わせに現れたゆうさんは、明るくてよく笑う、関西弁のかわいい女性でした。  合流してからまずは飲食店へ。  今回のデートコースは60分だったので、軽くランチをしました。  初対面の女性と話すのが苦手な私ですが、ゆうさんは前から知っている同級生に会ったような感覚。  すっと同じ目線にあわせてくれて、でも警戒しない程度の近さを保ってくれたので、とても話しやすい方でした。  これまでの女性経験の話から、好きな食べ物の話、お酒の話など、質問もしてくれるし、私が話し出すとしっかり聞いてくれるので、60分間ですぐに打ち解けることができました。  ランチを食べ終わると、そのままホテルへ。  ホテルに入ってからは、お風呂の準備や部屋の調整をしてくれて、至れり尽くせり。  さっきまで同級生だったのが、なんでも世話をしてくれるお母さんのように。  その後のベッドではさらに雰囲気が変わり、いきなりエッチなお姉さんに。  さすがキャスト歴10年のベテラン、時間いっぱいを使って、翻弄させられました。  このお店では、時間内で最後の着替えや準備をしなければなりません。  15分前にアラームが鳴ったら、名残惜しいながらも終了し、準備をして部屋を出ます。  一緒にいたのは3時間でしたが、その中でいろんな顔を見せてくれたゆうさん。  友達と過ごす楽しい時間だったり、私が忘れていた親の愛だったり、情熱的な恋人になってくれたり。とても濃密な時間を過ごすことができました。  過去の、友達、家族、すべての人間関係に不安のある自分にとって、ゆうさんは私に欠けていた人間関係を補ってくれる役割を果たしてくれたように思います。  彼女が自分だけを見てくれるこの時間は、「自分という存在はもっと大切にされてもいいはずだ」ということを思い出させてくれる、かけがえのない時間になりました。  きっとそう感じるのは、私だけではないはずです。  そしてビアンコースでは存分に楽しませてくれるところもやはり魅力です。ただの癒しではない、楽しい時間を作ってくれるところが、10年もの間お客様に支持されているところだと思いました。  終わってからすぐ、「今日はありがとう」のブログが更新されました。 「予約ありがとう」と同じく、具体的なことは少ししか書いてないのに、二人にしかわからない秘密のブログ。  他の人のブログを見ても、何のことだかさっぱりわからないのに、自分宛だとこんなにもうれしいものかと。  予約と利用以外では一切キャストさんと連絡がとれないということに、利用前は物足りなさを感じてしまうのではないかと思っていたのですが……。 実際にはブログを通して、思い出やキャストさんとの秘密の関係を再確認できる良さがあります。ブログに書かれる、ということで日常と切り離すことができるのも良い部分だと思いました。  いかがでしたでしょうか。男性向けの風俗ではないような配慮、システムが導入されていると感じ、私にとっては改めて男性と女性の違いや、生きづらさについて考えさせられた出来事でした。  さて次回は、そんなゆうさんと、代表の御坊さんにインタビューさせていただきます。

その先の話をしよう【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第27回】

2019.03.08 Vol.Web Original
 前回、前々回と、レズ風俗に行った話を書きました。  前々回:http://www.tokyoheadline.com/434840/  前回:http://www.tokyoheadline.com/436319/  そんなレズ風俗界をけん引している、レズっ娘クラブさんの「レズっ娘東京電撃作戦」というイベントへ行ってきました。  イベント内容はSNSでの投稿禁止なので詳細はお伝えできないのですが、そこで感じたことを書かせていただこうと思います。  まず、このイベントは「レズビアン」「レズ風俗」というキーワードを、みんな理解しているという前提でスタートしていたのが、とてもよかったです。  女性向けAVもそうですが、こうしたイベントを開催するときや、記事を書くときは、まずは知らない人に向けて「〇〇とは何か」という前提を説明しなければならないことが多い。  でも、毎回その説明からスタートしていたら、全然話が進まないんですよね。  女性向けAVで言うと、いつまでも「実は女性にも性欲がありまして…」「女性向けAVがありまして、男性向けとはこう違っていて…」という説明から始めていては、全然GIRL’S CHの話までたどり着けないわけです。  話はそれますが、女性に性欲があることを知らない、または、性欲がないという考えって、どういう理屈なのでしょう?  だって、考えてみてくださいよ。  女性に性欲がなくて、性行為を行うとしたら、それってセックスがすべてレイプってことですよ。 (逆に、男性がすべてそういう思想でいるとしたら、性暴力がなくならないのもうなずけます。)  話を戻しまして。  私はいつもその「前提の説明」にもやっとしていました。  私たちが語りあうべき、考えるべきことは、もうその先にあるはずなんです。  どういう方法で性欲を満たせばいいのか、自分の性欲と社会生活との折り合いをどうつければいいのか、というような意見交換が全くできないままでは、話が何も進展しません。  コンテンツでいうと、女性向けAVのスタートは確かにドラマものでソフトな作品だったかもしれないけど、現在はドラマ以外の内容や、男性が責められている描写などのハードな作品もあり、細分化が進んでいます。  以前この連載でも書いたように(http://www.tokyoheadline.com/431908/)特にGIRL’S CHでは作品のハード志向という傾向も見られます。  大声で言いにくいことかもしれないけど、もっと発信していかなければ、女性の性産業のことは全然伝わっていかないし、私たちももっと踏み込んだ議論を意識しなければならないなと感じました。  もうひとつこのイベントを通して感じたのは、偏見との闘いについて。  同性愛は差別と闘っている、風俗やAV業界の人は偏見を持たれている。  という風に思われる方がいるかもしれませんね。  あくまで自分のケースですが、AV業界で働くことになんの負い目もないですし、世間からの偏見に打ち勝つぞ!という気持ちは全くありません。(偏見を感じる…つらい…という思いがそもそもないため)まあ私なんてただの会社員ですし。  まわりに言えなくて苦しんでいる人、理解されなくてつらい思いをしている人も当然いらっしゃると思います。  ただ、このイベントに出演されていたキャストさんたちは、自分の仕事や性を謳歌しているように、私には見えました。  これも先ほどの前提の話と同じで、差別や偏見に苦しんでいるという思い込みは、彼ら彼女らの本当の気持ちを知る、邪魔でしかないと思うのです。  もう前提の話はやめましょう。もっとその先の話を、みんなで少しずつしていきましょう。

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