「新しい挑戦へ」【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#20

2020.10.23 Vol.web Original
「働き方」というテーマで書き始めたこの連載も、なんと今回で20回を迎える。  多少寄り道をした回もあったものの、この一年近く「働くということとは」「仕事とは」ということを考えるいいきっかけになった。  そんなタイミングではあるが、長年担当してきた女性向けの動画サイト「GIRL’S CH」の担当を外れることになった。 (実はささやかにこの記事のプロフィールも変更済だったりします。)  担当を外れる理由は単純に、会社での組織変更で、新規事業の立ち上げを担当することになったから。  本当は4月には異動していたのだが、引継ぎなどもあり、ようやく今の時期になって完全に離れることになった。  2013年の立ち上げからずっと携わってきたので、正直サイトを離れるのは心苦しい。  会社員だから会社の指示には従うしかないし、受け入れられないなら辞めればいいだけの話なのだが、そんな簡単に割り切ることもできない。  気がかりなことも多かったが、新しい事業に専念できるよう心身ともに整理して、ようやくこの一ヶ月程度で心が決まった。  これまでの8年間を振り返ってみると、しんどい思いをしたこともたくさんあるし、記憶がないくらい忙しかったこともあった。  まわりに迷惑をかけたし、私のわがままやこだわりでいろんな人に面倒をかけたと思う。  ただ、ソフト・オン・デマンドの営業部に新入社員として入社して、その後部署を転々としたのち、事務職で毎日ミスなく業務をこなすことが仕事のすべてだった毎日からは考えられないほどの刺激と、素晴らしい経験をした8年間だった。  たとえば、オリジナル動画「大人の社会科見学」の制作だ。  現場経験の全くない私が、いきなり動画を作ることになるなんて、入社当時には思いもしなかったし、今周りを見てもこんな経験をした社員はいないのではないだろうか?  一応大学時代は映画を撮ったり脚本の勉強をしていたので、企画や一連の流れまでは作れたものの、機材のことも出演者との契約の仕方もわからず、制作部の人を巻き込んでというか丸投げして、なんとか撮影を終えた。  編集も会社の編集部の方にお願いをして、通常業務のあと朝まで時間をいただいて仕上げていただいた。  当時の関係者には足を向けて寝られない。  しかしその翌日、作品のプレビューが行われ、「ノリが深夜番組で暗い」という理由で一旦ボツになってしまった。  ただこれがありがたいことに、結果的に憧れの大先輩が編集の手直しをしてくださり、ポップな作品に生まれ変わり、サイトでの配信にこぎつけることができたのだった。  この作品をきっかけに多くの人に「GIRL'S CH」を知ってもらうことができ、今でも好きな企画として名前を挙げてくださることがある。 (ちなみに、このシリーズはGIRL'S CHだけでなくFANZAでも配信中なので、男性も女性も是非ご覧ください。)  これ以降、インタビュアーのような立ち位置で動画に出演したり、Twitterやイベントで「田口桃子」というキャラクターで発言をするという新しい動きも生まれた。  サイトを代表して取材の対応をさせていただいたり、イベントに出させていただいたりと、広報的な仕事もこのときが初めての経験だった。  この連載もその一環で始めたものだったので、「大人の社会科見学」という最初の一歩がなければこうして文章を書くこともなかっただろう。  今こうして新規事業の裏方として仕事をしていると、これまでは「田口桃子」に助けられながら、「田口桃子」に苦しめられてきた部分もたくさんあったということに気付く。  狭い範囲かもしれないが、情報を発信したり、提案をしたりして、「田口桃子」というキャラクターを作り上げてきたつもりだった。  Twitterでくだらないことを書いたり、コラムで時にはプライベートなことを書いたりするもするが、それも人間味をもたせる一つの手段であり(成功してるかどうかは別として)、アダルト業界にいる人間も普通の人間なんだと思ってもらうきっかけになればと思って色々なことを発信してきた。  実際に、作品からではなく私のコラムから、女性向けAVやアダルトグッズ、女性向け風俗の世界を知ってくださったという方や、「Twitterを見て性的なことへの後ろめたさが少しなくなった」と言ってくださる方もいた。  だから仕事が変わることで、「田口桃子」が頑張ってきた仕事を、これからは引き継げないという悔しさややりきれないなさで、むなしくなった。  これまでの頑張りがゼロになってしまうと思った。  だが、これまでも「田口桃子」という名前が頑張ってきたわけではなく、ひとつひとつ経験を積み重ねてきたということが、名前がなくなって逆にわかった。  私の強みはなにか、自分には何ができて何ができないのか。 「田口桃子」というフィルターがなくなって初めて、自分の本当の力量が見えるようになってきたし、これまでのGIRL'S CHという看板が取り外されてから生まれた結果、得た成果はシンプルに自分の力だという自信にもつながった。  8年間慣れ親しんだサイトを離れるのはまだ寂しいけど、こうしてまた新しいチャレンジができ、新しい自信を得ていくのはとても嬉しい。  というわけで、GIRL’S CHからはずれ、それとともにサイト自体のリニューアルも行われました!  URLもこれまでのgirls-ch.comから、girls-ch.jpへと変更になりましたので、ぜひブックマークの変更をお願いします。  私はというと、引き続きSODで別のお仕事を頑張っていますので、このコラムやTwitterなどで近況をお伝えしていくことになるでしょう。  引き続きよろしくお願いします!

「友達の娘ちゃん」【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#19

2020.10.09 Vol.web original
 もう一ヶ月ほど前になるが、個人的にこの10年くらいの中で一番ショックを受けるような出来事があり、ものすごく落ち込んでいた。  これまでも鬱を経験したことはあるし、朝起きられなくなったり、会社に行けなくなったことはあったが、今回は文章を書くことができなくなった。 何も言いたいことが浮かんでこない、というより、自分が何かを言っていいんだろうか、という感じ。  自分みたいなものが何かを主張していいんだろうか?  自分が何かを主張すること自体がそもそも間違いなんじゃないか?  良い、悪い、正しい、正しくない、という以前に、何に対しても意見や感情が生まれなくなってしまった。  これから何をどうして生きていけばわからない、そんな時は、猫に限る。  とりあえず私は、猫を飼っている友達の家に遊びに行った。  猫はかわいい。  まず体を柔らかい毛が覆っていて感触が良いし、しなやかな動きは見ているだけで癒される。  おやつの時間だけすり寄ってきて、あとは寝ているような自由気ままな姿もいじらしくてたまらない。  猫と過ごしているとなんとなく幸せな気持ちになる。  だが、その友達の家には私にとっての天敵がいた。  友達の娘ちゃんだ。  何を隠そう、私は子どもが苦手なのだ。  娘ちゃんは今年3歳で、前回会ったのはもう1年も前だと思う。  人見知りをするタイプで、同年代の他の子どもたちと一緒にいてもなんだかおとなしく、いまいち心を開いてくれなかった。  とりあえず今回は猫と遊ぶために行ったので、娘ちゃんとは関わらないでおこうと思った。  最初は子ども用の椅子でおとなしくしていた娘ちゃん。  しかし、私が猫と遊んでいると、猫を捕まえようと邪魔をしてくる。  私は猫が可愛いから、猫を雑に扱う娘ちゃんを放ってはおけない。  だから私が娘ちゃんを捕まえたのだが、そこから彼女に「抱っこ」をせがまれてしまった。  前回はあんなにおとなしかった娘ちゃんが甘えてきたのだ。  最近筋トレに励んでいるので、筋肉にモノを言わせてなんとかやりすごそうと、人力ジェットコースターや、人力ブランコなどを繰り出してみたのだが、これが楽しい。  なぜだろう?あんなに子どもが苦手だったのに。  娘ちゃんからの好意が心地よく、私は、翌週もその翌週も、娘ちゃんと遊ばせてもらうことにした。

営業というコミュニケーション【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#18

2020.09.11 Vol.Web Original

今回の話し相手: 堀江もちこ

(株)トータル・メディア・エージェンシー営業部。WEB制作会社、人材広告会社、アダルトビデオメーカーに勤務後、現職。DVDメーカー「TMA」、グッズメーカー「タマトイズ」の営業を担当。2019年に光文社より著作「オナホ売りOLの日常」が発売中。好きなAV女優はあべみかこ。 TMA公式サイト: https://www.tma.co.jp/ Twitter: https://twitter.com/CO_mochi_mochi
―――これまで前職も含めて仕事をしてきて、挫折した経験ってありますか?また、どうやってそれを乗り越えましたか?  ライターのときは挫折いっぱいありましたけど、克服できてないからやめたんだと思います(笑)私はどこが悪いのかわからないけど、「これじゃちょっと…」と言われて、何が悪いんだろうっていう。お客さんが求めていることを汲み取れていなかったんだろうなって今は思うんですけど、当時それがわからなくて。 ―――ライターの仕事は、辞めるにあたって、「逃げちゃったな」みたいな気持ちはあります?  それはあるような気がします。うまくいかなかったから。ただ、「耐えられなかったな」って思いますけど、合う合わないがあるからしょうがなかったのかなって今は思いますね。自分にとっての苦手な仕事がわかってよかったとも思います。 ―――何というか、良い意味でドライというか、身の程を知って自分の範囲の幸せを見極めるのがすごい上手という感じがします。  そうかもしれないですね。  ライターを辞めたあとも広報だったじゃないですか。広報で文章書ける仕事をして、何かうまくいったらなっていう思いもあったんですよ。でも結局それが環境の要因で叶わなくなってしまって、営業職に転籍になって、そっちのほうがうまくいったから、結果的にその気持ちが薄れていったというのもあるのかもしれないですね。これで営業が合わない仕事だったら、もっと引きずっていたかもしれないですけど。営業で働いて楽しいなって思えたから、無理して合わない仕事をやり続けなくてもよかったんだなって、今になって思いますね。  ただ、書く仕事をずっとしてたので、本を書けてよかったなとは思っています。書く仕事をしてても、本を書けない同僚たちがいっぱいいるんですよ。今の仕事をしたからこそ、それが叶ったっていうことで、自分の中で納得できたのかもしれません。 ―――本を出版するということにもともと夢や憧れってあったんでしょうか?  ありましたね、大学生の頃から、いつか書きたいなとは思ってましたね。 ―――この「オナホ売りOLの日常」という本なんですが、出版を前提で連載されていたんでしょうか?それとも連載を始めてから、本にまとまったのでしょうか?  出版ありきの企画でしたね。飲んでてたまたま編集者の方が隣で、「私こういう仕事してて、いつか本書きたいんです」っていう話をしたら、「じゃあ企画書送ってください」って言ってくれて。それでまずは連載で出して、最終的には本にしましょうっていう話になりました。  でもその前も、何社か人づてに企画書を見せたりしていたんです。それでもなかなか話がうまくいかなかったのが、飲み屋で会った編集者の方とのお話がうまくいったって感じですかね。 ―――営業になってからの挫折は何かありますか?  営業だと、最初が大変だったってことですね。女性の営業がいないから、「すぐ辞めちゃうんじゃない?」とか「ちゃんと仕事できるの?」という風に見られていて、それを解消していくのは大変だったなあと思いますね。三年くらい働いてやっと受け入れてきてもらえたような気がします(笑)。積み重ねで信頼を得てきたような。 ―――堀江さんの思う、営業という仕事の魅力ってなんでしょう?  私、結構人見知りもするし、コミュニケーションがうまくなくて、雑談するのが苦手なんです。でも、営業って話す内容が決まってるから、話しやすいなと思うんですよね。商品を売るという目的が決まってるから、初めての方でも、まずは商品の案内して話して、そこから個人的な話をしたりとか……そういうコミュニケーションができるのがいいなって個人的には思いますね。 ―――商品をきっかけにして、人と人とがつながれるというような。  そうですね。  私、自分の考えとか思うことを言葉にするの苦手だなって思ってるんですよ。書くほうがまだ自分の気持ちを伝えられる気がしてます。だからこそ、営業の形のコミュニケーションはすごくやりやすいなと思います。  あとは、すごくコミュニケーションに集中できる気がしますね。書く作業だと、自分から「よしやろう」って集中力を発揮しないといけないと思うんですけど、営業って電話かけたらそこに集中せざるをえないところがいいなって思います。相手と話すから、そぞろな気持ちだとできない。 ―――瞬間瞬間のコミュニケーションに集中できるところが、良さとも言えるのかもしれないですね。  あとは、ありきたりですけど、人と話すのは楽しいなとも思います。勉強になりますし、インプットが増えるというか、いろいろ知識が増えるなという風に思いますね。やっぱり人と会うのは楽しいですね。 ―――これから先も、営業の仕事ずっとやっていくと思いますか?または他にやりたい仕事はありますか?  営業は楽しいから続けたいとは思ってます。あと最近、私の本が翻訳されて、台湾に売ってたりするんですよ。だから海外の仕事もしたいなとも思いますね。去年台湾のイベント手伝いに行ったんですけどそれも楽しかったので、何かできればと。  先のことは全然わかんないですね。だってこの業界に入ったとき、自分が本を書いて台湾語に翻訳されると思ってなかったし、どうなるか本当にわかんないなって思います。 ―――今の仕事は楽しい、ってことで。  そうですね。 「営業」という仕事は、物を売って利益を出すことが目的である。  でもその本質は、販売する物をコミュニケーションツールとして、自分の思いを誰かに伝え、気持ちと気持ちをつなげる仕事なのだと、堀江さんのお話を聞いていて感じた。  営業の部署にいた頃の私は、仕事の目的も、その仕事でどんなことが達成できるかもわからないまま、ただ目の前のタスクをこなすことに精一杯だった。  本質が見えないまま取り組んでいたということが難しいと感じる一因で、苦手意識を生んでいたのかもしれない。  作品に自分の思いを投影させる制作、作品の良さを広く知らせる広報、そして作品を人の手に届ける営業、形は違えど仕事とはすべて誰かとのコミュニケーションの上に成り立っているようだ。

アダルト業界の営業の仕事とは?【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#17

2020.08.28 Vol.Web Original
 不定期企画、同じアダルト業界で働く女性へのインタビュー。今回はこんな方にお話しをお伺いしてみた。

「私じゃない私に乗っ取られる」【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#16

2020.08.14 Vol.Web Original
 月に一度のアレが来た、と言えば多くの女性はピンとくると思う。  それは、来るときだいたい不快感と絶望感が付いてくる。  この時期をポジティブに過ごすライフハック記事も少なくないが、そもそも気持ちをポジティブに切り替えようという元気すらない。  私はそんな感じだ。  年々生理に伴う諸症状が悪化している。  生理に関して、もちろん男性は体験したことがないから実感としてはわからないだろうし、女性同士でも痛みのひどさも経血の量も周期も人それぞれだし(そして具体的な比較ができない)、他人の生理のつらさを理解するのは困難だ。  生理痛も、生理前後の不快感も、自分で向き合うしかない、孤独な闘いである。  私の場合、もともと生理痛はそれほどひどいほうではなかった。  一般的な周期で、一般的な期間、市販の生理用品で対処できる程度の量、1~2回鎮痛剤を飲めば収まる程度の痛みだった。  低用量ピルを飲み始めたのは社会人1~2年目の頃だったと思う。  理由は「生理が楽になる」と聞いたからと、コンドームだけでは避妊に不安があったからだ。  当時は今より仕事が忙しく……正確に言えば慣れない業務にプラスして会社行事の準備などがあり、朝から終電まで働くような日が当然という生活をしていて、生理期間をなるべく快適に過ごしたいというのと、今こんなに忙しい中妊娠したら困るという気持ちから飲み始めた。  ピルを飲み始めて最初の一ヶ月くらいは精神的に不安定な時期や頭痛があったりしたが、すぐに体調は安定した。  私の性格的に飲み忘れることもなく、毎月同じタイミングで生理が来る。  いつ来るのかと無駄な準備をしながら日常生活を送ることもなくなって、始まったとしても3日間で終わる。  何よりも、生理痛がほとんどなくなり、生理前に一週間くらいあった不快感(なくなってから始めて気付いたのだが)がなくなった。  それまでの私は、ひと月のうち半分に近い日数を、生理の不快とともに過ごしていたと初めて意識した。 まるで人生の半分を、私じゃない私に乗っ取られていたように思った。  ピルを飲み続けて10年以上だが、この2~3年、そんな私の体にも変化が訪れている。  その変化は、1年半ほど毎日日記をつけてみてわかった。  過去の日記を読み返してみると、生理前の1週間くらいから、急にネガティブな内容に変わる。  前日までは、美味しいご飯を食べて満足したとか、面白い映画を見て最高の気分だとか言っているのに、まるで別人のように、死にたい、何をしても意味がないと感じる、という内容が書かれている。  しかも生理が始まったとたん、急にあっけらかんとした内容に戻るのだ。  そしてそれが毎月繰り返される。  正直、自分で読んでいても、あまりの落差に恐怖を覚える。  精神的な変化だけではない。  とにかく生理1日目の眠気がひどいのだ。  夜寝る時の眠気とは全く質が違う、睡眠薬でも盛られたんじゃないかというような、体が全く動かせなくなる眠気だ。  なんとか起きて会社に向かっても、夕方くらいまで頭がぼーっとしていることも少なくなく、全く仕事にならない。  そんな風に生活に支障が出るレベルで、生理前と生理1日目の症状がひどくなってしまった。  年齢による体の衰えが原因なのか、もともとの体質によるものなのかはわからないが、また私は月の大半を、自分でコントロールできないまま過ごしている。  これまでは、生理とうまく付き合いながら働いていければいいな、と思っていたが、このままではうまく付き合う自信がない。  休めばいいじゃないかと言われるかもしれないが、精神が不安定だからという理由で毎月生理前に一週間も休めない。(業務的にも、有給日数的にも)  他の予定を調整してやりくりする方法もあるかもしれないが、貴重な休みの日を生理のために使うのかと、しかも仕事に影響が出ないように調整するのかと思うと、正直腑に落ちない。  現在は低用量ピルも様々な種類があり、生理の頻度を三か月に1回程度にできるものもあるらしい。  もはやそれに切り替えて、生理の頻度自体を減らしたほうがいいのではないか、などとも考える。  仕事に集中するためには、私たち女性は生理をコントロールしながら働かなければいけない。  低用量ピルの認知が10年前よりもずっと高まっていることからも、そうすべきと考えられているのではないかと思う。  ただ、コントロールしきれないのが人間だ。  私には低用量ピルという選択肢があったが、体に合わない人もいる。  少しずつのストレスの積み重ねで、ピルを飲んでもコントロールしきれないこともある。  生理をコントロールできないならどうすればいいのだろうか。  仕事量をコントロールするしかない。  生理休暇を利用して、生理にあわせて仕事を調整する……そんなにうまくいくのだろうか?  そもそも、自分ではなんともできないことが原因で、なぜやりたいことを諦めたり譲歩したり遠慮したりしなければならないのか。  これは出産にも同じことが言えるんじゃなかろうか。  生理のない男性がずるいとは思わない。  生理痛のない同性がずるいとは思わない。  ただ、強い人の基準にあわせて作られたルールでは、いつもハンデのある人間が割を食ってしまう。  その価値観が生きづらくて、今日もひとりこんな文章を書くのであった。

「一生社員でいるしかない」【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#15

2020.07.24 Vol.Web Original
 新卒で入社したこの会社では、制作者が一番偉い。  0から1を生み出す仕事が最も尊いとされる。  そんな会社に営業職として入社したのが私だ。 「制作は命を削って作品を生み出しているのに、お前ら営業はそのおこぼれで美味しい思いをしやがって」  そんな風に言われたこともある。  0から1を生み出すことは素晴らしい、1から100にすることはまあまあ素晴らしいが、それも1がなければ成し遂げられないことなのだから、やっぱり0から1を生み出すことのほうが素晴らしい。  だから何も作れない私は、ずっと卑しい仕事をしている気がして、申し訳なさがぬぐい切れない。  こうしてコラムやTwitterで発言したところで、腹を痛めて作品を作ったわけでもないのに偉そうに、と誰かに言われている気がする。  なんとか売れるお手伝いをしたいと思って、どうにかして売上をあげられないかと試行錯誤をするが、私には儲ける才能がない。知識がないだけかもしれないが、どうやったら知識をつけられるかがわからないし、圧倒的にセンスもない。  こんな私が一人で生きていくのは確実に無理だろう。  SODでの経験を経て、別の業界で飛躍している人たちの姿を見るにつけ、自分ではそんなことは無理だと思う。  出しゃばりな私を見て、「それを活かして独立したほうが儲かる」という悪魔のアドバイスをしてくる人もいるが、ただ出しゃばりなだけで、何の実力も才能もセンスもない私にはそんなの無理。  今の会社に雇ってもらっていることで、なんとかこの社会で生きていられるのだ。  以前Yahoo!ニュースにこの連載が掲載されていたときに、「こんな考え方だからアダルト業界にしか拾ってもらえなかったんだ」というようなことを言われたけど、本当にその通り。私が一番よくわかっている。  私のような人間にも優しいのがアダルト業界。それだけだ。  自分に力がないことは誰よりも一番わかっているし、こうして書いている文章だって、ごみくず以下の駄文、正直読んでいる方の時間を無駄に奪うだけのくだらない文章だ。  だから私は一生ただの社員でいたい。  SODの社員でいたい。  それ以外に生きる方法が見つからない。  この個人主義の世界で、一人で勝ち抜ける自信がない。  LOVELYPOPの綱島さん、ワイルドワンのYukaさんへのインタビューを通して、改めて自分は働くことに向いていないと感じた。  いや、もはや生きていくことに向いていない。  何かを乗り越えていく強さや覚悟だったり、トラブルすら楽しめるポジティブな精神だったりが、私には何もない。  こんな私が一人で生きていけるわけがない。  社員とて安定が補償されるわけではない。  そもそもこのアダルト業界は変化が大きい業界であり、世論や規制に影響されることも多々あり、いつまでもこの会社があるとは言い切れない。  ましてや、コロナによってあらゆる行動が制限されて、予期せぬ変化が起こることも考えられる。  また、社員でいるということは、ある程度会社の意向に沿った活動をしなければならない。  自分が右に行きたくても、上司が、会社が左に行けというのであれば、自分を殺してでも左に行かなければならない。  これまで何年もかけて培ってきたノウハウを捨てろと言われれば捨てなければいけないし、意味がないと評価されれば意味がないものになってしまう。  ならば個人でと思われるかもしれないが、あいにく私のもっているノウハウなんてほかのどの業界に行っても役に立たないし、私程度の能力は他の優秀な一般企業の方々は当然お持ちだろう。  私がいたところで意味がない。  それならば社員という立場に無理やりにでもしがみついてやる。  それしか、私が生きていく方法がない。  どんな仕事をしても、「私以外の人がやればもっとうまくいくのではないか」という思いがぬぐえない。  私がやっているから売上が上がらないとか、私ができていると思っていることは実はほかの人は半分の時間でできたんじゃないかとか、あらゆる物事に対して、自分がいることがうまくいかない原因なのではないかと思ってしまう。  インタビューを通して、働き方について前向きな気持ちになっていくはずが、自分の欠点ばかりが目に付いてしまう。  頼むから、こんな私でも生きてける社会であってくれ。  こんな私でも仕事し続けることができる会社であってくれ。  もはや祈りに近い気持ちだが、実力主義個人主義だけが正義であってはならない、それでは困るんだ。

素敵なババアであれ。〈後編〉【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#14

2020.07.10 Vol.Web Original
前回に引き続き、渋谷のバイブバーやアダルトショップワイルドワンの広報をつとめるYukaさんへのインタビュー。

コロナで見えた「助け合い」の関係性〈前編〉【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#13

2020.06.26 Vol.web original
 前回に引き続き、同じ業界にいる女性に「働き方」について聞かせていただく。

女性向けアダルトグッズメーカーの代表へ話を聞いてみた〈後編〉【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#12

2020.06.12 Vol.web original
 前回に引き続き、株式会社ドリーミィーの綱島慶乃さんへのインタビュー。  今回は、アダルトグッズの在り方を通して、女性の性への向き合い方に迫った。

女性向けアダルトグッズメーカーの代表へ話を聞いてみた〈前編〉【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#11

2020.05.22 Vol.Web Original
 この連載では毎回「働き方」をテーマに自分自身を見つめなおしてきた。  その過程で、同じ業界で働く女性たちの「働き方」を知りたいと思うようになった。  そこで今回からは、不定期ではあるが、同じアダルト業界(またはその周辺の業界)の女性に「働き方」について考えていること、感じていることを伺い、私自身が勉強させてもらおうと思う。 「なんでこの業界で働いているの?」「なんで女性がアダルトに興味を持ったの?」というところばかりがクローズアップされがちな私たちの職業だが、それを越えた働き方に対する考え方や、生きていく上で大事にしていることなどを、お伝えしていきたい。

「私は世界を変えることができない」【SOD女子社員・負け犬女の働き方改革】#10

2020.05.08 Vol.Web Original
 前回の記事で書いた通り、Twitterをもっと活用しようと日々発信を続けている。    GIRL’S CHは女性向けのAVやアダルトグッズを取り扱っているので、商品の紹介や、自分から見てお客様にオススメできるポイントをお伝えする、という内容の投稿がメインになってきた。  アダルトグッズは、自分で使ってから感想を書くようにしていて、グッズの写真(たとえば、大きさがわかりやすいように手近な駄菓子と並べてみたり、触感がわかりやすいように握ったり曲げたりして、サイトの写真では伝わらない情報を入れたりする)を添えてアップしている。  そういった内容をアップしていると、なぜか男性と思われる方からのフォローやリプライ、DMが増えた。  おそらくこれは、アダルト商材を扱っている女性にとっては、“あるある”なことだろう。  特に男性向けの商材の場合は顕著で、実際に飲み会で「こんなDMが来て困った」というような話を聞くこともある。  私もこれまで全くなかったというわけではない。  ただ、これまでは数が少なかったのでほとんど気にならなかった。  女性向けの商材を扱っているので、イケメンがメインに写ったパッケージを紹介することが多かったから、男性の目に留まることがなかったのだろう。  アダルトグッズの場合、男根を模した形をしているものもあるので、男性が見て「エロいものだ!」とわかりやすくなったから、気付かれてしまっただけなのかもしれない。  とはいえ、私のアカウントをフォローしているうちに、女性向けのアダルトを通して女性の考え方を知ってもらえれば良いと思っているので、ご覧いただく分には大歓迎だと思っている。  リプライはちゃんとした質問であればお答えしている。  ただ最近は、欲求不満で出会いを求めている女性、と勘違いされているのかな、というリプライやDMをいただくことが増えた。  特にそれに関して怒りやショックがあるというわけではなく、「GIRL'S CHのサイトユーザーさん以外からのご連絡が来てしまったな」と思って右から左に流している。  もしかしたら、私がどういった経緯でこのTwitterを運用されているかご存知ないだけかもしれないので、一度説明させていただこうと、先日このようなTweetをした。 もしかしたら、私のツイートのリプ欄などをご覧になった方が不安になったり不快な気持ちになるかもしれないので、一度書いておきます。 グッズやAVの紹介に対して、「使っているところを見せて」や、出会い目的、その他卑猥なメッセージ等、送らないでください。 当方、GIRL'S CHという女性向けのアダルトサイトの運営に携わっております。男性との出会いや、セックスは求めておりません。 もしかしたら、誤解されている方がいるかもしれませんが、そういうわけなので、送らないでくださいね。  このツイートをするときに、すごく迷った。  理由はひとつ、「私が我慢していれば済む話」だからだ。  わざわざ、他のだれかが傷付くかもしれないような、他のだれかが心配になったり不安になったりするようなことを、言う必要があるのだろうか、と。  ただ、DMは無視すればいいが、今後リプライや引用RTで、女性がショックを受けるような内容を書かれたら、見ているお客様がショックを受けるかもしれない。  私がツイートすることで多くの人に嫌われる可能性もあれば、ツイートをしないことで誰かが傷付く可能性もある。  今のような非常事態が続いてストレスが溜まっているときに、人は傷付きやすくなり怒りやすくなる。  我々が扱うエロという商材は、もともと非常に刺激が強い、ある意味で暴力性の強い商材だ。  繊細な人が多くなっている今、慎重に扱わなければいけないからこそ、自分が守るべきは私の発信を見てくれている“女性”(ここではあえてこう言い切らせていただく)だと考え、私はこう続けた。 あと、私は何を送られても気にしませんが、そういった男性からのメッセージに恐怖を感じる女性スタッフもいるかもしれません。 後輩たちに嫌な思いをさせたくないですし、そういう気持ちから仕事や夢を諦めて欲しくないので、未来のために申し上げました。ご理解、ご容赦いただけますと嬉しいです。  目の前の危機回避をとるか、将来的な利益をとるか、と書くと虫が良すぎるかもしれないが、演者に会うイベントがなくなり我慢しているお客様や、なんとなく私のTwitterを眺めている将来のお客様・新入社員が、5年後も10年後もGIRL’S CHを楽しんでくれることのほうが大切なのではないか。  最悪これで印象が悪くなったら会社を辞めてしまえばいい。(というと怒られるが) 私は自分でよくわかっている。 私は仕事ができない。 私ひとりでは世界を変えられない。  自分が優秀ではないことは百も承知している。  だからせめて、優秀な人が働きやすいアダルト業界を作ることにひとつでも貢献できれば、いつか何かが変わるかもしれない。  アダルト業界は、どうしたって他の業界と違うと思われがちだ。  自分自身も、大卒でアダルト業界に新卒入社したことや、人々がこっそり楽しむアダルトビデオやアダルトグッズを堂々と見たり使ったり宣伝することで、他の方から誤解を受けたりした経験があった。  そういった偏見と闘うことも仕事の一部だと言われればそうかもしれないが、少なくとも私の仕事は、「クリエイターが作ったものをひとつでも多く売ること」だ。  そして私たちの仕事は、「エンターテイメントを作ること」だ。  それを達成することによって、社会での存在意義が得られると思っている。  反対に、どれほど偏見と闘おうが意義のあることを言おうが、市場の広がりがなければ「当たらなかった」「一過性のムーブメントだった」で終わってしまう。  全てが水の泡なのだ。  偏見と闘うこと、あるいは、スルースキルを備えていることが、この業界で働くために必要なひとつの要素になってしまってはいけないはずだ。  私には、長く働くこととスルーする能力しかないが、それでも、何か未来につながることができれば。

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