RIZIN参戦中の伊藤盛一郎がフライ級王座を返上【9・10 ZST.57】

試合開始早々の山田(下)のフットチョーク(撮影・大部泰)

ウェルター級王者の山田崇太郎が王者の貫禄見せ一本勝ち
 総合格闘技「ZST.57」が9月10日、東京・ディファ有明で行われた。メーンではZSTウェルター級王者の山田崇太郎が白鳥竜彦を1R1分12秒、オモプラッターで破り、王者の貫禄を見せつけた。
 
 山田はゴング早々に組み付くとすぐにグラウンドに引き込み、下から右足を白鳥ののど元に差し込み、フットチョークの体勢に。逃げようとする白鳥だったが、山田は左腕をオモプラッターにとらえる。体を起こした白鳥にバックからパンチを叩き込み、改めて白鳥をうつぶせにするとがっちり左腕を固め、一本勝ちした。

関(上)はパウンドでKO勝ち(撮影・大部泰)

勝利の関鉄矢が「この階級では俺が一番強い。ベルトください」
 セミファイナルは島村裕vs関鉄矢のフェザー級戦。島村はかつて「ZSTの秘密兵器」といわれた男で今回4年半ぶりのZST参戦。一方の関は新世代のZSTの未来を担う選手。

 島村は序盤から足払い気味のローキックで関を倒すとバックをキープ。関が立ち上がってもバックをキープし続け、テイクダウンさせると腕関節を決める得意技「ローリングサンダー」を狙う動きを見せる。いったんは逃れた関だったが、島村はパンチをかわし組み付いてテイクダウンに成功すると今度は腕十字の体勢に。ラウンド終盤、脱出した関は上になってパウンドを放つがロープ際の攻防となってしまい、島村にしのがれてしまう。

 組み技では分が悪いとみた関は2Rになると打撃で勝負をかける。白鳥も応じ、乱打戦となったが、徐々に関のパンチが白鳥の顔面をとらえ始めると、白鳥は一気に動きが止まり防戦一方に。最後は白鳥をダウンさせた関がパウンドの連打。レフェリーが試合を止め、2R1分43秒で関がKO勝ちを収めた。

 関は「キャリアのある選手で強かった。倒せて良かった。この階級では俺が一番強い。ベルトください。お願いします」とタイトル挑戦をアピールした。

浜松(左)と橘川は好勝負を繰り広げたが…(撮影・大部泰)

浜松vs橘川はアクシデントの反則決着
 第10試合は浜松ヤマトvs橘川尋貴のフェザー級戦。1Rは互いにタックルからテイクダウンを狙う展開。橘川がグラウンドで有利なポジションをキープする場面が目立つが、浜松も下から足を使い、防御。簡単にはポジションを許さない。

 2Rに浜松がタックルを決め、テイクダウンに成功するが、橘川は抜群のボディーバランスで逆に上を取るとパウンド。もぐって下から足関節を狙う浜松。浜松がフロントチョークを取りかけると、しのいだ橘川が逆に上を取ってパウンドを落とすなど一進一退の攻防が続く。しかし徐々に橘川がグラウンドで主導権を握り始める。

 橘川がマウントを取ってパウンド。このピンチをしのいだ浜松が下から蹴り上げると、かかと落としの形で橘川の後頭部を直撃。その後、片手をついて3点ポジションになった橘川の顔面に浜松の蹴り上げが直撃。ZSTルールではグラウンド状態での顔面へのキックは反則となっており、試合は中断。橘川の回復を待ったが、レフェリーが続行不可能と判断し、橘川の反則勝ちとなった。

平(上)が30kgの体格差を乗り越え勝利(撮影・大部泰)

平が100kgアブサバディに完璧バックドロップ
 第9試合はライト級王者の平信一が無差別級でイランのシアワン・アブサバディと対戦。1R4分38秒、KOで勝利を収めた。

 ボブ・サップとの対戦を目指す平は「Road to ボブ・サップ」と題し、無差別級の戦いを続けているのだが、今回はその第3章。平が77.1kgで、アブサバディ見た目もがっちりの100.1kg。アブサバディはイランでレスリングのタイトル獲得歴があるという強豪。

 試合は序盤にアブサバディが平をフロントチョークにとらえ、会場をひやりとさせたが、平は脱出するとグラウンドでヒザを打ち込み、バックを取ると立ち上がったアブサバディを豪快にバックドロップで投げ切って見せた。倒してしまえば大きさも関係ないとばかりに、その後もグラウンドで圧倒。けさ固めでがっちり固めてパンチの連打。カメになったアブサバディにパンチを打ち続け、動きが止まったところでレフェリーが試合を止めた。

 平は試合後「100.1kg破ったぞ! 次は200kgだー!」と絶叫。ボブ・サップ戦実現へ平の挑戦は続く。

【写真左】上田(右)は試合内容ではウォンニに圧倒された 【写真右】ベルト返上の挨拶に立つ伊藤(撮影・大部泰)

 この日、後半戦開始前にZSTフライ級王者の伊藤盛一郎がリングにあがりベルトを返上した。伊藤は現在「大晦日のRIZIN出場を目指し練習中」で防衛戦の予定が立っていない状況。
「思い出の詰まっているベルトですが、いつZSTに出られるか分からない状況なので、いったんベルトを返上します。でも僕のホームリングはZSTなので、またZSTに参戦したい。ZSTのフライ級も盛り上がってきた。自分が戻って来るまで盛り上げていてほしい。戻ってきた時に戦うことを楽しみにしています」と挨拶した。

担架で退場の上田は消化不良の反則勝ち
 そのフライ級の中心となっていかなければいけないのが“ZSTの体操のお兄さん”こと上田卓央。この日は韓国のジョン・ウォンニとの国際戦となったが、遠めからのタックルを切られては打撃を浴びるという展開が続き、なかなかペースを握れない。タックルに固執しすぎて徐々に打撃で削られてしまう。そんな展開が続く中、ウォンニがグラウンド状態の上田の顔面にサッカーボールキックを見舞ってしまい、試合は中断。試合後、担架で退場するほどのダメージを負った上田の反則勝ちとなった。