向井理 インタビュー

『パラダイス・キス』

ごく普通の女子高生が大きな夢に挑む姿を、恋、友情、そしてファッション満載で描いた、矢沢あい原作の大ヒットコミックが待望の映画化! 天才的なファッションセンスを持つ青年・ジョージ役を務めるのは、今最も注目を集める俳優・向井理。

女性はこういうのに弱いんだな、と勉強になりました(笑)

ph_inter0100.jpg

撮影・蔦野裕 スタイリスト・三島和也(Tatanca) ヘアメイク・晋一朗(Tatanca)
Tシャツ/7350円/ FOUND GARMENTS / ADONUST カーディガン/3万7800円/Scye パンツ/4万950円/Scye ベルト/3万450円/Scye /マスターピースショールーム

 キャスティングが発表されるや“向井理のジョージが早く見たい!”とファンの間でも大盛り上がり。しかし演じる本人いわく、ジョージは難しい役どころだったという。

「(ジョージという役を)つかむまで、けっこう苦労しましたね。自分の中でイメージが出来上がるまで、原作や台本を読み込みました」

 北川景子演じる主人公・早坂紫の運命を大きく変える青年・ジョージは、ファッション系の専門学校に通うデザイナーの卵。しかも超美系で超セレブ。女子なら誰でもあこがれてしまうキャラクターだ。

「ジョージのキャラそのものが、女性の想像や妄想がたくさん詰まっていて(笑)。女性の理想が盛り込まれている役なので、それを現実にするのは難しいと思いました。現実離れしているところもあるんですが、漫画原作ならではのカッコよさもあるので、そこは割り切って演じました」

 少女漫画が原作ならではの苦労もあった一方で、参考になったことも?

「普段、いわゆる“S”みたいな面があっても、大事なところで背中を押してくれたりとか、きちんと見ていてくれていたんだなと思わせる…というようなところに女性は弱いんだな、なるほどなあと思いました。勉強になりましたね(笑)」

 そんな理想像を表現しつつも、役者たちが見せるリアルな喜びや痛みは、性別・世代を超え共感を呼ぶ。

「基本的には、原作のキャラクターをベースに、その部分を大事に描きましたが、ただそれだけではなく、リアリティーを持たせるために感情的な部分で振れ幅を出そうとしました。ジョージは普段ポーカーフェイスなんですが、メリハリというか、感情的になるところで“弱み”を見せることができれば、人間味も湧くし親近感も出ると思ったので」

 紫はもちろん、女性たちの理想そのもののようなジョージですら、必死に夢を追っている。

「ジョージは夢に向かってブレない人物ですが、彼がブレないのは他のことが出来ないという不器用さから来ているんだと思うんです。自分を変えられないんでしょうね。強いというか、頑固。生きにくいというか不自由な人間だなあ、と思います(笑)。好きな台詞で“人はそれを天才と言うし、人はそれを不自由と言う”というものがあって、不器用だなこの人、と愛着が湧いて。そこからすごくジョージのことが好きになりましたね」

 ジョージにとってのファッションのように、向井理にとっての俳優も天職?

「どうでしょうね、それは死ぬまで分からないのかもしれない。今は天職とか適職とかより、やりたい事やチャレンジしたいことがたくさんあるので、ただ全力で打ちこんでいきたいです。俳優は、それを経験できる仕事ですし。(チャレンジ要素がなくなったら?)うーん、新しいことを始めてしまうかもしれません(笑)」

 劇中に登場するさまざまな衣装に目を奪われることもしばしば。

「(ジョージの衣装は)タイトなものが多かったですね。ずっと着るのは大変ですけど、ある種、体型維持の戒めになるというか(笑)」

 シャツがタイトなあまり、胸のボタンが飛んでしまったこともあったとか。

「よくやりましたね(笑)。ボタンといっても、突起に引っ掛けるタイプのもので、シャツがタイトなので胸を張るとポーンと外れてしまうんですよ。それを幾度かやっていたら北川さんのツボにハマったらしく、そのシャツを着ているだけで笑われてしまって(笑)」

 ちなみに、好きな女性のファッションは?

「似合っていれば何でもいいと思いますけど、僕は女性らしい服装が好きです。スカートとかワンピースとか、ラインが出るような、男には着られないようなものとか。でも着たい服を着ることが一番いいし、服に対する信念を持っている人は素敵だと思いますね」

 東京で過ごす休日は、やはりファッションスポット?

「築地とかアメ横とか、ああいうワイワイした感じのところが好きなんですよね。今でもたまに友人と行きますよ。お店の人に“今、おいしいのは何ですか”と聞いたりして、楽しんでます」。

 恋、夢、ファッション…原作の魅力を具現化しつつも、映画では原作と異なるラストが待っている。

「賛否両論あると思うんですけど、僕は映画版のラストが好きなんですよね。やはり演じている以上、僕はジョージが好きなので。両方比べて楽しんでもらえればいいのではないかと思います」

 女子の夢がギュッと詰まっているだけでなく、頑張る力も与えてくれるこの時期イチオシの一本!

(本紙・秋吉布由子)

ph_inter0101.jpg

『パラダイス・キス』

監督:新城毅彦 出演:北川景子、向井理、山本裕典、五十嵐隼士、大政絢、賀来賢人、加藤夏希他/ワーナー・ブラザース映画配給/6月4日より全国公開 www.parakiss.jp
©2011「パラダイス・キス」製作委員会