DREAMバンタム級日本トーナメント決勝は所vs今成

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所(左)が打撃で山本を圧倒した(撮影・蔦野裕)

「DREAM JAPAN GP〜2011 バンタム級日本トーナメント」が29日、さいたまスーパーアリーナで開催された。大晦日の「Dynamite!!」以来、約半年ぶりの大会となる。
 今大会ではバンタム級日本トーナメントの1回戦4試合と準決勝2試合が行われ、所英男と今成正和が勝ち上がった。所は1回戦で前田吉朗を2RTKOで破ると準決勝は山本篤と対戦。2008年、当時山本“KID”徳郁戦をアピールした所だったが、KIDの弟子としてその前に立ちはだかったのが山本だった。試合は山本の打撃の前に完敗。試合後のリングで余裕の腕立て伏せのパフォーマンスを許すほどだった。
 所にとっては負けられない一戦。一方の山本もケガで約1年半リングから遠ざかっていただけに、己の存在を示す意味でも負けられない。しかし、勝負は3年前と一転。所の打撃の圧力に山本は手を出せない。所は得意のグラウンドでも有利に試合を進め、内容で圧倒。判定は2−1と割れたが、事実上の完勝を遂げた。

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所(左)が打撃で山本を圧倒した(撮影・蔦野裕)

 今成は“足関十段”の異名を取る足関節のスペシャリスト。約2年ぶりのDREAM参戦となったが、前回参戦時には十分にその極意を発揮できなかっただけに、こちらも背水の陣でのトーナメント。準決勝の大沢ケンジ戦では2R早々に独特のスライディングで右足をキャッチするや、瞬時にアキレス腱固めを決めると大沢はたまらずギブアップ。足関節の鬼がついにその本領を発揮した。
 所と今成による決勝は7月16日に開催される有明コロシアム大会で行われる。今成は所にとってはあこがれの先輩で現在でも練習をともにする存在。お互い手の内を知り尽くしたテクニシャン同士の一戦に今から期待が高まる。
 この日は現在最激戦区といわれるフェザー級のワンマッチが3試合行われた。7・16有明でフェザー級王者の高谷裕之に宮田が挑戦するタイトルマッチが行われることが発表され、そろそろ動き出したタイトル戦線生き残りへ、どの選手も負けられないところ。

宇野3年ぶり勝利で号泣

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ゴングを前の気迫あふれる宇野(奥)。世代交代に待ったをかけた(撮影・蔦野裕)

 西浦“ウイッキー”聡生との世代交代マッチの意味合いもある戦いに挑んだのは宇野薫。2008年からDREAMライト級GPに参戦するも、準決勝で青木に敗戦。その後UFCに戦いの場を移したもののでは3戦して2敗1分。昨年大晦日にDREAMフェザー級に復帰、階級を下げ新天地での戦いに活路を見いだそうとしたものの、宮田に敗戦と、ほぼ3年間勝ち星なしと、かつてのプリンスもがけっぷち。しかし、ここ一番の宇野は強かった。変則的な打撃を持つウイッキーに惑わされることなく、的確な打撃と得意のタックルで試合をコントロール。何度もテイクダウンし、バックに回ってのチョークスリーパー狙いでウイッキーを制圧、3−0で判定勝ちを収めた。試合後マイクで「もう36歳ですが、もうちょっと世代交代は待って下さい。石田選手と試合をしてから3年間勝てなくて、引退も考えたんですが、3年間あきらめなくて……」と号泣。復活した宇野の巻き返しが期待される。

リオンが元修斗王者の貫禄

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リオン(右)が打撃戦を制した(撮影・蔦野裕)

 元修斗ライト級世界王者のリオン武と現DEEPライト級王者の松本晃市郎の一戦は「修斗vsDEEP」の代理戦争。序盤は松本が左フックでリオンに尻もちをつかせるなど、有利に試合を進めるが、百戦錬磨のリオンは徐々にペースを引き寄せると、松本の左フックにカウンターで右フック一閃。ダウンした松本にパウンドをまとめてレフェリーストップで勝利を収めた。

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青木はタックルからテイクダウンするや、パンチの連打(撮影・蔦野裕)

 またライト級ワンマッチで元UFC戦士のリッチ・クレメンティと対戦したライト級王者の青木真也は得意のグラウンドに持ち込み、パンチの連打で圧倒。最後は2Rフェースロックで一本勝ち。試合後のリングで「もっと強い外国人を連れてきて」とアピール。試合後の会見でも「海外に挑戦したい気持ちもあります。でもそれを周りが許さない状況もあります」と語った。今後の展開が注目される。
 なお7・16有明ではバンタム級決勝戦のほかに「王者・ゲガール・ムサシvs泉浩」DREAMライトヘビー級タイトルマッチ、「王者・高谷裕之vs宮田和幸」のDREAMフェザー級タイトルマッチ、「川尻達也vsヴィラミー・シケリム」のライト級ワンマッチの3試合を行うことが発表された。