鈴木寛の政策のツボ 第四回

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コミュニティーと情報編集力

 現代のような複雑化された社会は、コミュニケーションの在り方を大きく変えました。例えば、多種多様な情報に多くの人々がアクセスしやすくなったことによって、情報を取得することに、より意識的になる必要性が増しました。

「情報を取得することに意識的になること」は学びの過程そのものです。一人ひとりの学びはアートと同じように、唯一無二のものであり、老若男女問わず、日々、成長していくものです。その成長の過程の際に、同じ時間を共有する家族や、友人や、地域の人々は、学びの成長を共有するコミュニティーの仲間です。コミュニティーは、いわば、一種のオーケストラみたいなものです。それぞれの良さを生かしながら、ハーモニーを奏でるのです。

 申し上げるまでもなく、ハーモニーを奏でるためには、楽器を演奏しなければなりません。つまり、コミュニティーへの参加においては、自らが主体的にコミットとしていくことが必要です。

 こうして、コミュニティーに主体的にコミットし、創発関係を築くことは、相互の信頼関係を構築することでもあります。ポジティブな連鎖がさらにポジティブな連鎖を招き、コミュニティーを繋ぎ、繋がる人それぞれの学びが豊かになります。今のように、不安や不信が広がる時こそ、この信頼関係の有無が決め手となります。

 また、情報を得る手段を複数化することが大切です。例えば、情報を得る手段を「マスコミ」だけではなく、信頼のおける多数の「クチコミ」や「ミニコミ」で取得するといった具合です。

 多くのことは100か0ではないことに気づかされます。真実とは紋切り型(ステロタイプ)では語れないものです。さらに、当事者によって、とらえ方が大きく異なることもあります。だからこそ、「情報を得る手段を意識的に複数化している当事者」たちが、各々の知恵を持ち寄り、「熟慮」と「議論」を重ね、信頼の絆を形成することが必要になるのです。

(参議院議員/文部科学副大臣)
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