「1.5次補正」持ち出した菅首相に経団連会長が退陣要求

 こちら日本の菅直人首相は14日、続投姿勢を鮮明にした。閣僚懇談会で、東日本大震災の追加的な復旧策を盛り込むための小規模な平成23年度第2次補正予算案を7月初旬までに国会提出するよう野田佳彦財務相に指示。参院東日本大震災復興特別委員会では、再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社が全量買い取る特別措置法案を今国会で成立させる意向も表明した。

 首相は今回指示した補正予算案について「足りなかった点を迅速にやらなければならない。(本格的な)『2次補正』をやる前の『1.5次補正』だ」と説明。これまで、第2次補正予算案の編成にめどが立った時期が退陣の目安とされてきたことから、これとは別の補正予算案の編成を指示することで、延命を図る狙いとみられる。

 この「1.5次補正」と菅首相が呼ぶ2次補正には、東日本大震災復旧復興予備費の創設をはじめ、東京電力福島第1原発事故の被害者救済に絡む費用▽被災した企業や個人が新たな債務を抱える二重ローン対策費▽被災地の自治体がより自由に使える一括交付金−を盛り込む。規模は2兆円程度になる見通し。主な財源には税収の上振れ分を中心とした22年度決算剰余金を活用する。ただ、具体策の詰めや財源確保の道筋はついておらず、見切り発車の状況だ。

 菅首相は、続く15日には復興基本法案が20日に成立する見通しとなったことを受け、法案に盛り込まれた復興担当相を置くことを理由に内閣改造する意向を固めた。与党内に広がる早期退陣論を抑え込む狙いもある。また、政府・与党は6月22日の会期末を控え、会期を9月30日までの100日間延長する方向で調整に入った。平成23年度第2次補正予算案を7月中旬までに国会に提出し、7月中に成立させる構え。さらに8月初旬までに23年度第3次補正予算案の骨格をまとめ、お盆明けの8月下旬に国会に提出し、9月初旬の成立を目指している。

 一方、米倉弘昌経団連会長は14日、退陣を表明しながら、なかなか退かない菅首相について「言いようがない。退陣表明は本当にした(といえる)のだろうか。最近、『一定のめど』が(延命など)さまざまな意味で使われ始めている。一日も早く復興をしないといけないのに、被災地の皆さんがかわいそう。菅首相には無理で、(居座り続ければ)何もしないのと同じだ」と述べ、早期退陣を促した。また次期首相には仙谷由人官房副長官、野田佳彦財務相のいずれかが望ましいとの考えを示唆した。

 その野田氏は15日の衆院財務金融委員会で、平成23年度予算執行に伴う国債発行に不可欠な特例公債法案について「もし私が首を差し出してそれが成るなら、そうしてもいい」と述べ、成立と引き換えに辞任を辞さない考えを表明した。「ポスト菅」の有力候補である野田氏が辞任する事態になれば政権への打撃は大きい。