石原都知事が2020年五輪招致再挑戦表明

 東京都の石原慎太郎知事は17日、都議会定例会での所信表明で、「被災地をはじめ、日本全体とスクラムを組んで東京にオリンピックを招致することを考えていただきたい。日本がひとつになることを期待する」と述べ、2020年の夏季五輪招致の方針を事実上表明した。一部競技を被災地で開催することにも前向きな見方を示した。

 IOCが公表した2020年夏季五輪の開催都市決定手続きでは、立候補都市の申請期限は9月1日。だが、今回から世界反ドーピング機関(WADA)の規定順守とスポーツ仲裁裁判所(CAS)の司法権受け入れに関する事前審査が加わるため、文書提出期限の7月29日までに、招致の意思を表明する必要がある。

 石原氏の表明を受け、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長が「正式な立候補を期待しています」とコメントを発表した。

 歓迎ムードのスポーツ界だが、問題はある。IOC委員の岡野俊一郎、猪谷千春の両氏は年末で退任となる。初代の故嘉納治五郎氏から103年続いた日本人委員の歴史が途絶え、少なくとも来夏の改選までは日本人委員は不在という緊急事態だ。職員もIOCに送り込めておらず、ここ数年、積極的に各国オリンピック委員会と相互協力協定を締結する動きが目立つ程度だ。

 一方で明るい話題もある。それは17日に参院本会議で可決、成立した「スポーツ基本法」だ。1964年の東京五輪を控えて施設整備や学校体育に主眼を置いて61年に制定されたスポーツ振興法を半世紀ぶりに全面改正、施策の推進を「国の責務」と位置づけた。

 同法は20年五輪招致にとっては絶好の追い風。16年五輪招致では政府保証が得られず、東京は4000億円もの基金を積み立てた。基本法は「気運の醸成」や「必要資金の確保」を明記しており、立候補都市が招致活動に専念できる環境が整う。