セシウム問題で岩手、栃木の肉牛出荷停止

 肉用牛から国の暫定基準値を超える放射性セシウムが相次いで検出されている問題で、政府の原子力災害対策本部は1日、原子力災害対策特別措置法に基づき、岩手県知事に対し、県全域の牛の出荷停止を指示した。肉用牛を対象にした出荷停止は福島、宮城に続き3県目。岩手県の食品で出荷停止を指示されたのは肉用牛が初めて。

 厚生労働省によると、岩手県内では県南部の一関市と藤沢町の農家から出荷された計6頭の肉用牛から、暫定基準値(1キロ当たり500ベクレル)を超えるセシウムが検出されている。同県の肉用牛の出荷頭数は年間約3万6000頭。

 また2日には栃木県知事に対し、県全域の牛の出荷停止を指示した。肉用牛を対象にした出荷停止は、福島、宮城、岩手に続いて4県目。

 農林水産省によると、栃木県の肉用牛の出荷頭数は平成21年実績で全国5位の5万5188頭。出荷停止の指示が出た4県の出荷頭数は計15万8097頭で、全国の約13%を占めている。

 厚労省によると、栃木県では県産稲わらから、暫定基準値(1キロ当たり300ベクレル)を超える放射性セシウムを検出。同県産の基準値超えの稲わらを食べた肉用牛のうち、日光市の農家の1頭と、那須塩原市の農家の3頭の計4頭から、肉の暫定基準値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出された。

 今後は、暫定基準値超えの肉用牛を出荷するなどした農家は全頭検査、その他の農家は1戸につき1頭以上を検査する全戸検査が求められる。県は検査態勢を整えた上で「品質管理計画」を策定し、政府が計画を了承すれば、農家ごとの出荷再開の可否が県の判断に委ねられる。