東電事故調が最終報告も自己弁護に終始

 東京電力は20日、福島第1原発事故を受けた社内事故調査委員会の最終報告書を公表した。  報告書では東電の清水正孝社長(当時)が、政府に全面撤退を申し入れたとされる問題について、官邸とのやり取りを詳述。菅直人首相(同)が東電本店に乗り込む直前の昨年3月15日午前に清水氏が官邸で菅氏に「(全面撤退は)考えていない」と否定したことを明かし、「誤解があってもこのやりとりで解消されていた」と説明する。「社員は身の危険を感じながら発電所に残って対応する覚悟を持っていた」と主張し、「多くの官邸関係者が全面撤退と受け止めた」とした民間事故調などとの見解は対立したまま。  津波対策でも見解は分かれる。政府事故調が「不適切。見直す契機はあった」と認定し、民間事故調も「多くの研究が津波を想定していたのに、東電は聞く耳を持たなかった」と批判している。これに対し東電は「その時々の最新の知見を踏まえて対策を施す努力をしてきた」と説明した。  今月中には国会事故調が報告書をまとめ、来月には政府事故調が最終報告を出す予定だ。これらの見解の相違点をどう結論付けるかが注目される。  委員長の山崎雅男副社長は同日、東京・内幸町の東電本店3階で開かれた会見で「厳しい状況の中でできる限りの対応をした」「すぐに地震は起こらないとされていた」などと、東電側の"主張"を展開。  全電源喪失に至った原因について、「想定外の津波」と繰り返す山崎副社長に、「想定外の認識」を問う質問が集中したが、苦しい弁明に終始。山崎副社長は「振り返ってみると至らなかったこともある」としながらも、「想定外を超える事象に対しても対処していく必要があることを、事故を通して学んだ」と今回の事故の教訓について言及するのが精いっぱいだった。