米大統領選最後の討論会はオバマ氏に軍配

 米民主党のオバマ大統領(51)と共和党のロムニー前マサチューセッツ州知事(65)による大統領選最後の討論会が22日夜(日本時間23日午前)、フロリダ州ボカラトンで開かれ、中国、中東政策で激論を交わした。

「協調外交」を重視するオバマ大統領と「強い米国」を打ち出すロムニー前マサチューセッツ州知事。オバマ大統領は、単独主義が国際社会の反発を招いたブッシュ前政権を念頭に、ロムニー氏の提案は「すべて誤り」と退けた。ロムニー氏も「弱腰」なオバマ外交を「無駄な4年」と切り捨てたが、具体的な代替案を描き切れず、実績に勝るオバマ大統領が差し切った。

 イスラエルによるイラン核施設の空爆が取り沙汰される中、オバマ大統領は軍事行動に同調するかのように強硬な姿勢を見せるロムニー氏を批判した。

 オバマ大統領はイランの原油生産量が著しく落ち込み、通貨の暴落も招くなど経済制裁が効果を示していることを強調。イランから譲歩を引き出す寸前にあり、国際社会の協力を取り付けた米国の指導力こそ、「信頼回復の証し」で、米国の強さだと胸を張った。

 オバマ政権の「弱腰外交」が危機を拡大させたと主張するロムニー氏は、イランや北朝鮮に交渉の手を差し伸べる“節操”のなさが相手の増長を招く要因と批判した。
 米国が自由の旗手であり続けるには「強さが必要だ」とするロムニー氏だが、攻撃は空回りし、軍事力の「効率」を重視するオバマ大統領に反撃を許す場面も目立った。

 対中政策については、最強の米軍維持を提唱しながら、米中の貿易不均衡是正に軸足を置いたロムニー候補に対し、オバマ大統領は対中経済問題に加え、中国の軍拡への警戒感に言及した。

 またオバマ氏は中国が軍事活動を活発化させる南、東シナ海を念頭に「航行の自由」を強調し、中国を牽制。対中軍事面で具体性に欠ける印象を与えたロムニー氏の対応と大きく異なった。

 討論会後の米CNNテレビの世論調査では、オバマ氏が勝ったとの回答が48%で、ロムニー氏の40%を上回った。