3大学新設で田中文科相が一転認可表明

 田中真紀子文部科学相が秋田公立美術大(秋田市)、札幌保健医療大(札幌市)、岡崎女子大(愛知県岡崎市)の3大学の新設を不認可とした問題で、6日の会見で「大学の乱立に歯止めをかけて教育の質を向上させたい」と述べ、自らの判断に間違いがなかったことを強調。そして委員29人中22人が大学関係者で構成されること、議論時間の少なさなど設置審の問題点を指摘。さらに、3月末までに大学新設を申請し、10月に設置審の答申を受けて認可され、翌年4月から開学となる現行システムについても「極めて不自然だと思っている」と疑問視。「認可されてから(校舎の)工事を始めるなり、教授を呼ぶなりというのなら分かるが、なぜかとっくにビル(校舎)が建っていて教授も確保されている。不思議だと思わないか」とし、「どこかからサインが出てたんでしょうかね」と皮肉った。

 しかし田中氏は7日の衆院文部科学委員会で「現行制度にのっとり適切に対応する」と述べ、一転して新設を認可する考えを表明。3校側の強い反発のほか、身内の民主党内からも反対論が強まったことから判断を覆した。そして8日、文部省は3大学の来春開学を正式に認可した。各大学は開学に向けた準備をようやく本格化させる。

 田中氏は委員会で、3大学について「不認可処分は行っておらず新基準をつくり判断する」と強調。しかし野党側が「法治国家ではない手法」などと即時撤回を求め、民主党内でも「基準を満たしている」「一刻も早く認可すべきだ」と反対論が強まった。

 委員会後、田中氏は記者団に「3校を認可する。大学設置のあり方の見直しはかなりの方が賛成していると分かった。これが私が知りたかったことだ」と翻意の理由を語った。いったんは不認可とした判断については「私には日本の教育のあるべき姿についてイメージがあり、文科相を拝命して(役所の)中からだったらブレークスルー(突破口)をつくれると思った」と説明した。

 この問題で、自民党の石破幹事長は「これ以上閣僚を続けることがあってはならない。(首相は)罷免すべきだ。任命した首相の責任も当然厳しく問われる。『認可したからいい』とは絶対ならない」と田中氏の罷免を要求した。