全日本大学サッカー 男子は早大 女子は日体大が優勝

 第61回全日本大学サッカー選手権大会決勝が6日、国立競技場で行われ、早稲田大学が3-1で福岡大を下し、5年ぶりの優勝を飾った。
 東京都の公立小・中学校の冬休み最後の日曜日となるこの日、ピッチにエスコートキッズを務める児童たちが赤と黒のユニフォームを着て入場してくると午後2時ののキックオフを待つ観客の声援はさらに増幅した。1万4000人の注目がエスコートされてピッチに並んだ2色のベンチコートに集中する。赤色コートの福岡と灰色コートの早稲田、1時50分に両校の校歌が流れる中でまっすぐ前を向く者、スタンドを見渡す者、目を閉じる者、エスコートしてくれた子供の肩に手を添える者、選手たちはそれぞれに立つ。コートを脱ぎユニフォーム姿で写真撮影を終えた両校はピッチ中央で円陣をつくる。白色の福岡とエンジの早稲田の2つの円が芝に映える。
 予定時間通りに行われたキックオフであったが、90分間で決する試合を持て余すかのように流れは開始2分早くも動く。4試合連続で先制点をあげてきた早稲田の28番・白井豪がゴール正面から左足でボールを大きく振り抜きネットに突き刺す。
 前半40分には福岡大がオウンゴールし自陣ゴール前で白いユニフォームが崩れ落ちた。差は2点に開く。その4分後に福岡大は20番・岸田和人がPKを決め1点を返し希望をつなげるも、後半は試合が動かず早稲田がオーバーヘッドや巧みなボールさばきで会場を沸かす中、10番・富山貴光が左足でミドルシュートを決め3-1で早稲田が5年ぶりに優勝。優勝回数を12回に更新した。

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 富山は得点直後にユニフォームをめくり上げ、下に着ていた畑尾大翔キャプテン(原因不明の肺疾患により大会欠場)の4番のユニフォームを見せた。この行動について試合終了後の会見で「優勝チームをつくれたのは大翔のおかげ。あいつはピッチの外でも自分たちの見えないところで監督と試行錯誤しながらチームを良くするために本当にいろいろやってくれた。そういった大翔の思いっていうのは分かっていた。本当はあいつもピッチに立って一緒にやりたかったっていうのが本音だと思うけどそれを堪えて普段の練習も途中までしかやれない中で、本当に死にものぐるいで大翔はやっててそういったあいつの思いは自分に伝わっていたので自分は結果で返さないといけなかった。それが現実に叶って良かったです。大翔キャプテンには感謝しきれないほどの気持ちがみんなある。今日4年生が点決めて最後は自分もゴールできて勝てたことはそういった思いがあったから」と語った。
 来期は大宮アルディージャでFWとして開幕スタメンで開幕得点を決め、2ケタ得点を目指すMVP富山はインカレを感謝の気持ちで締めくくった。
 同日同会場にて午前11時jから行われた第21回全日本大学女子サッカー選手権大会決勝戦は、日本体育大学の18番・植村祥子が前半に連続2得点シュートを決め試合を優位に進める。早稲田大学は前半に9番・瀬口七海が1点返し、後半は攻撃の回数を増やすも追加点には至らず試合終了。2-1で日本体育大学が早稲田大学を下し、15回目の優勝を手にした。(文と写真・野口卓也)