ニュースの焦点 25年度予算案決定 過去最大92兆6115億円

 政府は29日、平成25年度予算案を閣議決定した。一般会計総額は前年度比2.5%増の92兆6115億円で、当初予算としては過去最大。24年度補正予算案と合わせ、100兆円超の「15カ月予算」として、切れ目のない財政出動で景気回復を目指す。新規国債発行額が税収を上回る逆転状態を4年ぶりに解消し、財政規律にも配慮する姿勢を示した。

 安倍晋三政権は、機動的な財政政策と大胆な金融政策、成長戦略の「三本の矢」で脱デフレを狙う。財政政策を支える予算案は、防災対策や防衛分野に重点配分し、公共事業関係費は5兆2853億円で4年ぶりに増額。トンネルや橋の耐震化などで災害に備え、景気刺激につなげる。

 防衛関係費(米軍再編経費などを除く)も4兆6804億円で11年ぶりに増やし、沖縄県・尖閣諸島周辺で活動を活発化させる中国への対応を急ぐ。民主党政権が踏み込めなかった歳出カットでも、地方公務員の人件費削減などで地方交付税を前年度より1994億円抑制した。生活保護も、食費などに充てる「生活扶助」の基準額を9年ぶりに引き下げた。歳入は新規国債発行額が3.1%減の42兆8510億円で、税収(43兆960億円)を下回った。

 歳入に占める新規国債の割合は46.3%で、24年度(47.6%)に比べて抑制したものの、過去4番目の高水準で借金頼みの財政運営は続く。

 新たな借金に頼らず政策に必要な経費をまかなえているかを示す基礎的財政収支の赤字は23兆2206億円(一般会計ベース)で前年度よりも約1兆7000億円改善した。

 臨時閣議では、雇用に積極的な企業への減税措置などを盛り込んだ25年度税制改正大綱も決定した。

 今回の予算案は、民主党政権の家計支援に重点を置いた「分配型」から産業支援を手厚くする「経済成長重視型」への転換を鮮明にした。日本経済の病巣といえるデフレから脱却し、政権の最重要政策である経済再生につなげるのが狙い。

 財政出動は、日銀との共同声明で2%の物価目標を導入した大胆な金融緩和に続く「二の矢」に位置付けられる。中でも、民主党政権からの政策転換を象徴するのが公共事業の復活だ。「コンクリートから人へ」を掲げた民主党政権は、公共事業関係費を22年度に前年度比1.3兆円減の5.8兆円、23年度に同0.8兆円減の5.0兆円、24年度に同0.4兆円減の4.6兆円(いずれも当初予算ベース)まで削減した。これに対し25年度予算案は同0.7兆円増の5.3兆円で、4年ぶりに拡大する。道路、トンネルの補修など老朽化したインフラ整備に重点的に配分したほか、民主党政権が減らした農地整備などの土地改良事業費も増額した。公共事業は、建設業の売り上げ増加や機材など周辺産業の拡大を通じ、景気押し上げ効果が早い。10.3兆円の緊急経済対策を盛り込んだ24年度補正予算案も2.4兆円の公共事業関係費を計上した。