“カワイイおデブちゃん”を熱演 浜野謙太インタビュー

映画『体脂肪計タニタの社員食堂』
 体脂肪計を作る会社の二代目でありながら、肥満で気弱なダメ副社長・谷田幸之助。本作に、ライブステージに立つ“ハマケン”はいない。ここにいるのは、愛すべきダメ男を演じ切った、役者・ハマケンだ!
 人気バンド・SAKEROCKと在日ファンクのメンバーで、『モテキ』『婚前特急』など俳優としても活躍の場を広げる浜野謙太が、532万部を突破したレシピ本から生まれた話題作に出演! その役どころとは、肥満体型の二代目副社長。

「特殊メイクには初日3時間かかったんですが、出来がまだまだだというので翌日から6時間になりました(笑)。僕の中で難しかったのは表情の作り方ですね。頬の部分にも“肉”をつけるんですけど真顔になると下に引っ張られて不気味な感じになっちゃって。ゾンビならともかく僕が演じる幸之助は“カワイイおデブちゃん”ですからね。ゾンビっ気が出ないよう表情作りを心がけていました(笑)」

 新商品の体脂肪計を売り出すプロジェクトに合わせ、ダイエットをすることになった幸之助や肥満社員たちが、優香演じる栄養士・菜々子のレシピに助けられダイエットに挑んでいく物語。本作で改めて役者の面白さを実感したという。

「やればやっただけ手ごたえを感じる現場だったんですよ。“このシーン、勝ったぜ!”って思ったこともありました(笑)。1つは、プロジェクト中止の危機で幸之助が直談判するシーン。それまでヘラヘラしていた幸之助が初めて本気で爆発するんです。撮影の前、僕はあまり他の人たちと話さずに気持ちを集中させていたんです…ってなんか、偉そうなこと言ってますけど(笑)。でもその意気込みはスタッフとも自然と共有されて、絶対にいいシーンを撮ろう!って雰囲気が作られたんです。監督は、あまり感動を演出しすぎるのは好きじゃないって言っていましたけど、完成してみたらあの場面で思わず泣いたという人が結構いるみたいで、良かったなと思いました」

 アクション並みに“痛い”シーンにも自力で挑戦。
「足つぼ用の道を歩くシーンなんですけどね(笑)。最初スタッフが気を使ってくれて痛くないように靴下の中に詰め物を敷いてくれることになったんですけど、やってみたら何か違うな、と。それで“監督、詰め物無しでやろうと思うんですけど!”と言ったら監督も“おお!”って感じになって。役者魂って感じじゃないですか(笑)。でも実際、相当痛くて。その後もう1回足つぼシーンがあったので“ここは詰め物を…”と言おうとしたら“じゃ、ここも無しで!”と言われてしまい、結局全部実際にやりました。役者としての醍醐味を感じましたね(笑)」

 幸之助にとても共感するという。
「僕がバンドで書いているのも、基本的にこういう人のための曲だったりもするんですよ。幸之助のようにとくに取り柄もない平凡な男が、物語の主要人物として何を訴えるのか。これは、僕のバンド活動でも重要なテーマだったりするんです。どんな人にも戦わなきゃいけないものがある。そしてそれは見えやすい敵じゃなく自分の中の複雑なもの。今回、幸之助にとって“逃げないこと”は簡単ではないんだ、ということを伝わるように演じたいと思いました」
“逃げた”ときの気持ちも分かる。

「最初の挫折のときです。僕は少年野球をやっていたんですけど、マジメに練習するんでスイングは褒められるんですよ。でも球が当たらない(笑)。子供ながらに野球選手を目指していたのに、だんだん後輩にもバカにされて。親に“辞めてもいいですか!?”と泣きながら言いました。で、親も一緒に泣いて(笑)。でも“逃げる”って悪いばかりじゃないと思います。その先で、新しい道に進んでいけばいいんだし」

 そして今、いろいろな道を楽しんでいる。今後、主演にも意欲あり?
「もちろんですよ、任せてくださいよ(笑)。でも実際、主役はすごくやりたいです。監督からいっぱい相手してもらえるし、セリフも多いから役もつかみやすいし(笑)。脇役はすごくテクニックが要るということに最近やっと気づいたので」
 太っている人もいない人も共感させる特大サイズのハマケンの魅力は本作限定!     
(本紙・秋吉布由子)
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『体脂肪計タニタの社員食堂』
監督:李闘士男 出演:優香、浜野謙太、草刈正雄他/1時間40分/角川書店配給/5月25日より角川シネマ新宿他にて公開 http://www.tanitamovie.jp/http://www.tanitamovie.jp/