SPECIAL INTERVIEW 中村勘九郎 × 松坂桃李

舞台『真田十勇士』で初共演

来年早々、中村勘九郎主演、松坂桃李共演で『真田十勇士』が上演される。これまで、数々の映画、ドラマ、舞台となった同作品を、堤幸彦がその原点である『真田十勇士』に焦点をあて描き出すスペクタクル時代劇だ。猿飛佐助役の中村と霧隠才蔵役の松坂が、作品について、舞台について、そしてかっこいい男について語る。

 スチール撮影が行われたこの日、リラックスムードで談笑していた2人だが、実は初対面。お互いの第一印象は?
中村「初めましてなんでね…。もちろんテレビや映画などでは拝見していますが、さっき控室の鏡の前でご挨拶させていただいただけなので。こしらえ中だったから、全く身動きがとれない状態で“はじめまして”って(笑)」
松坂「そうなんですけど…実は僕、つい最近歌舞伎を見に行ったんです」
中「えっ?いつですか?」
松「一昨日…」
中「そんな近々ですか? ありがとうございます」
松「土蜘という演目を拝見して、純粋にかっこいいなと思いました。で、今日実際にお会いして、本人を前にしていうのは恥ずかしいですけど、物腰がすごく柔らかい中で、毒々しいものがあるというか」
中「なんですかそれ?」
松「いや、何て言ったらいいんだろう。瞳の奥に強いものを感じたので、早く稽古に入ってみたいと思いました」
中「なんか出しているのかな(笑)。でも本当に稽古は楽しみですね。僕の第一印象は、ジャンプがすごいなと(笑)。ジャンプをしたところを撮影してたのですが、ちょっとしか飛んでないんですけど、滞空時間が長い。いやー、すごいなと思いました。あと、桃李さんのイメージってすごくさわやかですが、マキノさん(脚本)は、そうじゃない、またちょっと違う部分を描いてくれるんじゃないかなって思うんです。ほかの出演者もイメージと違う部分を見られるんじゃないかと思うので、早く稽古に入りたいですね」
松「僕は今回(霧隠)才蔵をやらせていただくんですけど、実は才蔵みたいな役をやってみたいですねって言った翌日に今回のお話をいただいたんです」
中「えーーっ! それはすごいですね」
松「ちょうどその時、毒々しさのある、鋭利な役柄にも挑戦したいと思っていたところだったので、そういうふうに言ったのですが、絶妙なタイミングでオファーをいただいたので、びっくりして。だから二つ返事でやらせていただきますと言いました」

 出演者も豪華なら、マキノノゾミ脚本、堤幸彦演出という最強タッグも話題となっている。
松「まだ稽古に入ってはいませんが、今度の舞台はワイヤーを使うみたいですね。監督がスパイダーマンの舞台を見に行きたいと言われているそうですから、そういったワイヤーアクションとか、壁を駆け上がるとか、そういうこともあるのかなって」
中「僕もちょっと聞きました。そういうのは、全部桃李さんに任せて、僕は後ろから術を使っているように、ブツブツと唱えていますのでよろしく(笑)」
松「いやいやいや、お願いしますよ(笑)。でも青山劇場ですからね、非常に迫力もあると思うし、堤さんなので、そういったマジックをエッセンスとして入れつつ、新しい真田十勇士という世界観を作られていくんじゃないでしょうか」
中「すごく楽しみですよね。そのエンターテインメント性と、マキノさんの脚本がバッチリあった時に、すごい作品が生まれるんじゃないかっていう予感はあります」
『真田十勇士』といえば誰もが知っていて、これまで舞台だけではなく、映像などでも度々やられている作品だ。
中「最近時代劇専門チャンネルとかでもやっていますし、好きな方が多い作品だと思います。ですから、そのイメージを崩さないようにしなければいけないとも思いますし、逆に全然違ったものも作れたらいいなとも思います」
松「そうですね。ビジュアルの背景バックも大阪城と現在の街が混在しているような感じだったので、堤さんがどのような世界観を描くのかまだ分からないですけど、思いっきり時代劇という感じにはならないかもしれないですね」

 映像での仕事が多い松坂だが、舞台にも魅力を感じているよう。
松「僕は舞台の経験がそんなにないんですけど、ちょっと前に蜷川(幸雄)さんの『ヘンリー四世』という舞台をやらせていただきました。その時に、映像と違って始まってから、終わるまでずっと駆けて行くので、体力的な面とメンタル的な面が、やっぱり大変だったというか、映像とは別物だなって。ところで、歌舞伎って聞いた話ですけど、稽古が1週間ぐらいとか…」
中「4日ですね。しかも毎日2回公演で休演日もないんですよ。舞台をおやりになった方に言うとびっくりされます」
松「すごいですね。それは驚きです。4日足らずで、そこまで到達できるなんて」
中「新作でも1週間か10日程度ですから、稽古日は。短期間で新作を作らなきゃいけないので、結構大変ですね。ですから1番大変なのが体調管理」
松「すごくよく分かります。舞台をやっている間は、喉を潰さないようにとか、そういうことにものすごい神経を使っていました。『ヘンリー四世』は4時間を超える舞台だったので、絶対に体調を崩さないようにしようって。でも稽古が終わったらすぐに本番で、それが終わったらすぐに次の稽古だったら、どうやって気持ちを切り替えるんですか?」
中「僕はたしなむ程度ですけど、お酒を飲むことかな」
松「結構いきますか?」
中「結構いきますね(笑)。だって、休みが1日もなくて、1回公演もないんだから、休める時間が夜しかないんですよ。休めるというか、空いている時間ということですけど。次の日もまた朝の11時からやらなきゃいけませんし」
松「でも、明日のために寝ておかなきゃって思わないですか?」
中「もちろん思います。でも飲みに行っちゃったら寝られないですよね(笑)」
 初対面ながら、すっかり打ち解けた2人。話はかっこいい男性像について。
中「かっこいいって、表に出さないことだと思うんですよね」
松「なんとなく分かります。今回の忍びもそうですけど、自分の感情を押し殺して、主に仕え目的だけを遂行する。かつ、主のため、目的達成のためなら、自分の命も捧げる。かっこいいっていうカテゴリーに入るのかは別として、共感はもてます。またそういう自分について、“一生懸命やってます、頑張っています”っていうものは別に出す必要もない。今回の忍びに関連付けるとそういう感情を押し殺しつつ生きていくっていうのが、かっこいいと思います」
中「そうですね。僕は夢とか目的をただ思い描いているだけではなく、そこに向かう行動力とそれを実現させる力を持っている人っていうのは、かっこいいと思いますね。これから、自分自身にもいろんなことが起きてくると思いますが、自分の持っている夢を必ず実現させるように行動していきたいですね」
松「勘九郎さんは、歌舞伎の舞台をやりながら、外の舞台や映像の仕事もしていて、かっこいいです。先日の歌舞伎も面白かったし、もっと歌舞伎が見たくなりました」
中「ぜひ見に来てください。僕がやる猿飛佐助と桃李さんのやる才蔵の関係性ってちょっと特殊なものがあるので、そういう意味では作品に入る前からコミュニケーションが取れるのっていいことだと思います。今度は来るときにはぜひご連絡下さい(笑)」
松「はい。近いうちに、絶対行きます!」
(本紙・水野陽子)

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日本テレビ開局60年特別舞台
『真田十勇士』東京公演


【日程】2014年1月7日(火)〜2月2日(日)【会場】青山劇場【チケット発売】9月7日(土)【問い合わせ】サンライズプロモーション東京 TEL:0570-00-3337【公式サイト】http://www.ntv.co.jp/sanada60/http://www.ntv.co.jp/sanada60/ ※大阪公演あり