東京が悲願達成
2020年夏季オリンピック・パラリンピック開催 

 2020年夏季オリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定した。

 第125次IOC総会が7日、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催され、各立候補都市が最終プレゼンテーションを行った。
 東京はイスタンブールに次ぐ2番目。高円宮妃殿下、竹田恒和招致委員会理事長、猪瀬直樹東京都知事、安倍晋三首相ら8人が登壇した。

 まず最初に高円宮妃殿下が「IOCの支援は子どもたちに笑顔を、若い選手には希望を与えてくれた」などと、東日本大震災の復興支援への謝意を伝えられた。

 猪瀬都知事は「私たちは大会を確実に成功に導くため、宿泊やセキュリティーといった全ての重要な分野において、東京が擁するインフラを提供いたします」と東京の運営力を強調した。

 安倍首相は「福島については、状況は統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも及ぼすことはありません」と東京の安全性をアピールした。

 質疑応答では東京電力福島第1原発の汚染水漏れ問題について質問が飛んだが、安倍首相は「汚染水による影響は福島港湾内の0.3平方キロメートル範囲内で完全にブロックされている。福島の近海でモニタリングを行っており、数値は最大でもWHOの飲料水の水質ガイドラインの500分の1。さらに問題のないものにするために、抜本解決に向けたプログラムを私が責任を持って決定し、すでに着手をしています」と再度安全を強調した。

 そして日本時間の8日午前3時45分からIOC委員の投票が始まった。

 1回目の投票では東京が42票でトップ通過。イスタンブールとマドリードが26票で並び再投票に。その結果、イスタンブール49票、マドリード45票でマドリードが脱落した。東京とイスタンブールの決選投票となったが、東京が60票を獲得し、36票のイスタンブールに大差をつけ、2020年夏季オリンピック・パラリンピックの開催地に東京が選ばれた。

「2020年、東京」までの招致活動の道のり

 2009年10月2日、2016年夏季オリンピック・パラリンピックの招致に失敗した東京都は2011年6月17日、再選を果たした石原慎太郎都知事が所信表明で2020年夏季オリンピック・パラリンピックの招致を目指す意向を表明。悲願達成に向け動き出した。

 そして9月15日に「東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会」が設立され、理事長にJOC会長の竹田恒和氏、事務総長に副会長の水野正人氏が就任。11月28日に第1回評議会が開催された。

 11月30日には招致活動のシンボルとなるロゴを発表。ロゴを制作したのは女子美術大学4年生の島峰藍さん。ロゴは、友好・ 平和の証として、感謝の気持ちとして、世界各地へ贈られてきた桜をモチーフにデザインされた。

 2月13日には招致委がIOC本部(スイス・ローザンヌ)を訪れ、開催計画概要を記載した申請ファイルを他都市に先駆けてIOC国際オリンピック委員会に対して提出。東京のほかにはイスタンブール、バクー、ドーハ、マドリードが申請ファイルを提出した。

 3月は招致のPRに向け大きな出来事があった。3月29日にはEXILEが、2020 年オリンピック・パラリンピック日本開催の趣旨に賛同し、招致活動を応援することになったのだ。EXILE は東京都の広報紙「広報東京都 4 月号」をはじめ、無償協力で紙面・ポスターなどに登場。2016年も支持率の低さがネックとなっていただけに、若者に影響力のあるEXILEの応援は大きな追い風となった。

 そして5月23日(日本時間5月24日朝)にカナダのケベックシティで開催されたIOC理事会において、2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の立候補都市の一つとして東京が選定される。正式立候補都市には、東京の他、イスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)の3都市が選ばれた。

 この選定を受け、5月29日には招致エンブレムとスローガンを発表。

 スローガンは『今、ニッポンにはこの夢の力が必要だ。』。東京2020招致エンブレムは、これまでの桜をモチーフとしたロゴに五輪のマークが付けられた。

 7月19日には国際スローガン『“Discover Tomorrow” 〜未来(あした)をつかもう〜』を発表した。

 ロンドンオリンピック終了後の8月20日にはJOC主催でロンドンオリンピックでメダルを獲得した日本選手団のパレードが銀座で行われ、沿道には約50万人の大観衆が集まった。ここでも2020年の招致を大きくアピールした。

 12月21日にはヤフーとグリーがオフィシャルパートナーとなったことをきっかけに、新規国内プロモーション「楽しい公約プロジェクト」が始まる。このプロジェクトは多くのさまざまなジャンルの人たちがオリンピック・パラリンピックの東京招致を願い、招致が成功した際に行う公約を宣言するもので、猪瀬都知事は「東京招致を実現させてスポーツのチカラで日本の子ども達を元気にします」、テリー伊藤の「欧米人に負けないよう、胸毛を植毛します」といった真面目なものからユニークなものまで多くの公約が寄せられた。

 あっという間に迎えた2013年。1月7日には、スイス・ローザンヌで立候補ファイルを IOCに提出。1月8日にはドイツ・ボンに国際パラリンピック委員会(IPC)を訪問し、立候補ファイルを提出した。

 1月10日、招致委員会は、ロンドンにて記者会見。前年12月に行われた都知事選で新都知事となった猪瀬直樹氏が海外に開催計画の説明や東京の都市力をアピールした。

 そして、招致における最大の行事ともいえるIOC評価委員会による現地視察が3月4日〜7日の日程で行われた。7日、公式全日程を終了した評価委員会記者会見で、リーディ委員長が「招致委員会のプロフェッショナルな準備と協力に熱意を感じた。政府と経済界の強い支援も知ることができた」とコメントした。

 4月5日にはドラえもんが東京2020オリンピック・パラリンピック招致スペシャルアンバサダーに就任。これまでとは違った角度での支持率アップに貢献。

 そして8月23日には都庁でIOC 総会へ向けての記者会見と「2020 年東京オリンピック・パラリンピック招致出陣式」が開催され、約800人が出席。気勢を上げた。

2020年夏季五輪招致決定までの道のり

2011年6月17日
石原都知事が所信表明で2020年夏季オリンピック・パラリンピックの招致を目指す意向を表明
9月15日
「東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会」設立。水野正人氏の招致委員会副理事長/専務理事就任とともに弊社代表・一木が事業・広報アドバイザーに就任
11月28日
招致委員会第1回評議会開催
11月30日
招致委員会が招致ロゴを発表
2012年1月23日
意識調査で全国の65.7%が東京開催支持を表明
2月1日
女子バレーボールの金メダリスト荒木田裕子氏がスポーツディレクターに就任
2月13日
招致委員会が申請ファイルをIOCに提出
2月26日
「東京マラソン2012」に3万6000人が参加
3月29日
EXILEが2020 年オリンピック・パラリンピック日本招致活動を応援
4月2日
招致委員会が特定非営利活動法人
4月15日
国内オリンピック委員会連合(ANOC)総会でプレゼンテーション
4月18日
JOCがロンドンオリンピックに向け「1億2500万人の大応援団」プロジェクト発表
4月26日
開催都市決定まであと500日。渋谷ヒカリエで記念イベント開催
5月24日
東京が2020年オリンピック・パラリンピック競技大会立候補都市に選定
5月29日
招致エンブレムとスローガン
5月29日
招致委員会が招致エンブレムと国内向けスローガン「今、ニッポンにはこの夢の力が必要だ。」を発表
7月19日
国際スローガン「“Discover Tomorrow”〜未来(あした)をつかもう〜」発表
7月26日
ロンドンオリンピックJOCジャパンハウスオープン
8月20日
銀座でロンドンオリンピック日本代表選手団がパレード。50万人の大観衆
8月30日
ロンドンパラリンピック開幕
9月7日
「開催都市決定1年前記念イベント」開催
10月5日
東京都栄誉賞・都民スポーツ大賞公開表彰式に多数のメダリストが出席
11月11日
「開催都市決定300日前記念週間」スタート
11月14日
招致公式応援グッズ発売開始
12月21日
グリーとヤフーがオフィシャルパートナーに。新規国内プロモーション「楽しい公約プロジェクト」発表
12月21日
独自調査で支持率微減66%
2013年1月7日
国際オリンピック委員会(IOC)に立候補ファイルを提出
2013年1月08日
国際パラリンピック委員会(IPC)に立候補ファイルを提出
1月10日
招致委員会がロンドンで記者会見
1月30日
独自調査で支持率73%に
2月19日
「開催都市決定200日前記念イベン」ト開催
2月24日
「東京マラソン2013」に3万6676人が参加
3月4日
IOC 評価委員会による現地視察開始(7日まで)
3月5日
IOCの支持率調査結果。東京70%/全国(東京以外)67%
3月26日
独自調査で支持率77%に
4月5日
ドラえもんが招致スペシャルアンバサダーに就任
5月30日
ロシア・サンクトペテルブルクで開催された「スポーツアコード会議」でプレゼンテーション
5月30日
「開催都市決定100日前記念イベント」開催
6月16日
国内オリンピック委員会連合(ANOC)総会でプレゼンテーション
8月23日
IOC 総会へ向けての記者会見と招致出陣式
8月26日
東京スカイツリー特別ライティング&点灯式(24日〜9月7日まで)
8月27日
羽田空港で「〜ぼくらと空港が、夢をつなぐ〜 オリンピック・パラリンピックを日本で!」を開催
8月30日
招致応援ビデオを公開