EXILE ATSUSHIが語る「悠久の時を超える思い」

特別展『京都—洛中洛外図と障壁画の美』公開記念企画

EXILE・ATSUSHIと、映画音楽界の巨匠・久石譲が奇跡のタッグを結成。400年前の京都の息吹を今に伝える美しき名曲を生み出した! 特別展『京都』テーマソング『懺悔』の誕生秘話を、ATSUSHIが語る!

〈洛中洛外図屏風 舟木本〉に圧倒

「とにかくすごいオーラでした(笑)。かなり大きくて、まずその迫力を感じたんですが、近寄ると建物や人々がすごく細かく描かれているのが見えて、気づいたら400年前の京都の世界に入り込んでいました。今回の展覧会では、いろいろな洛中洛外図が展示されていますが、中でも〈舟木本〉は人々の姿がとてもリアルに描かれていて、すごく面白い。聖職者であるお坊さんがケンカを囃し立てていたり、子供がいるのに不倫をしに行こうとしている女性がいたり、お花見帰りの酔っ払いがいたり(笑)。とくに印象に残っているのが、橋の欄干から川か何かを悲しげに見つめている家族の姿ですね。いろいろな姿が描かれているなかで、その部分が妙に意味深なんです。亡くなった家族をしのんでいるのかもしれないそうです」

久石譲の言葉がATSUSHIを変えた!?

「久石さんと一緒に鑑賞したんですが、作品もさることながら、僕にとっては久石譲さんと一緒にいるということも特別なことでした。実はそのとき久石さんの言葉に、僕はすごい衝撃を受けたんです。それまで僕には、理想論として何にも縛られず自由に作品を作ることが芸術家の美学だというような意識が少なからずあったんですけど、久石さんの話を聞いて、はっとさせられたんです。〈舟木本〉には注文主がいるんだろうかという話になり、久石さんが、ヨーロッパでもオペラは貴族などから“こういうオペラを作ってくれ”と注文を受けて芸術家が作るケースがほとんどだった、という話をしてくれたんです。現代でいえばCMソングとかドラマの主題歌とか、オーダーを受けて、もらったテーマで曲を作るようなことですよね。昔から多くの芸術家たちが、そうやって名作を生み出してきた。それに気づいた瞬間、心が晴れた思いがしたんです。今後の僕のアーティスト人生が変わるほど大きな出来事でした」

先人に思いをはせ生まれた『懺悔』。

「久石さんが作ってきた曲を最初に聞いたときは正直、なんて難しい曲だと思いました(笑)。メロディーの中に独特の転調があったりして、これは歌詞をつけるのも難しいなと思いましたね。でも僕は、音楽家としての久石さんにも絶対の信頼を置いていたので、なにか意図があってこういうメロディーにしているはずだと考えたんです。すでに〈舟木本〉を見た帰りの車の中で、思い浮かんだ言葉をバーッと書き綴ってあったので、とにかく、それをもとに曲に合わせて歌詞を書き始めよう、と。実際、書き始めたら1〜2時間でほぼ仕上がりました(笑)。歌詞には、400年前に音楽を奏でていた人たちがどんな思いを込めていたんだろう、きっと人間たちの争いを悔い、平和な未来を願ったんじゃないか。そんな思いをつづっていきました。今回、歌詞に一人称を使っていないんです。僕が私が、といった個人的な思いを書くのではなく、先人たちの思い、人間たちの思いを洛中洛外図を見るように、俯瞰で表現したいと思ったんです。“篳篥(ひちりき)”は、自然と出てきましたね(笑)。学生時代に雅楽をやっていた友人がいたこともあったんですけど〈舟木本〉に描かれている神事や、京都というイメージから雅楽が思い浮かびました。最初に歌詞を曲にはめたときには“やっぱり久石さんはすごい!”と思ってゾクゾクしました(笑)。こうするために、あのメロディーを書いたんだ、と。そのゾクゾク感を感じたまま試しに歌ってみたんですけど、実は収録されている音はほとんどそのときのものが使われているんです。だから収録された曲には、僕の最初の感動がそのまま込められています。完成した曲を2人で聞いたときは、本当に感動しました。お互いに“すごいものを作っちゃったね”って(笑)」

必見!国宝で撮影した究極のPV

「京都では、国宝に指定されている東福寺の三門の中で撮影させていただきました。そこはお坊さんが懺悔をするための部屋で、本来は年に数回しか公開されない場所なんです。“懺悔”はキリスト教でよく使われる言葉ですが、実は仏教にもあるんですね。“さんげ”と読むらしいです。部屋には釈迦如来像と16体の弟子たちの像があって、特別にかなり近くで拝ませて頂いたんですが、僕は感動のあまり30分ほどお釈迦様の前から動けなかったんですよ。PVの中でサングラスを外してお釈迦様と向き合う場面は、演出でいい感じになっていますけど(笑)。1メートルほどまで近寄ると、お釈迦様の目線は、僕たちの目を見つめているのではなく、胸に視線が来るんです。すなわち心を見つめているんだという事に気付かされました」

京都でも見ることができない“京都”

「展覧会はEXILEのメンバーにもぜひ見てもらいたいですね。NAOKIやNAOTOあたり、好きなんじゃないかな? あと、ボーカリストにとくに見てほしい。TAKAHIROやSHOKICHI、NESMITHとか。表現者として、すごく刺激になると思うんですよ。皆さんもぜひ音声ガイド付きでの鑑賞をおススメします。作品について知るとさらに楽しめるので。ぜひ400年前の京都の世界に浸ってください!」
(本紙・秋吉布由子)

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特別展『京都—洛中洛外図と障壁画の美』見どころ紹介


 戦国時代末期から江戸時代初期、約400年前の京都を彩った多彩な文化を、国宝や重要文化財などの貴重な名品の数々、そして最先端の映像技術で体感する、この秋、大注目の展覧会。会場では国宝・重要文化財に指定されている『洛中洛外図屏風』全7件すべてを展示。 そのうち、当時の風俗を緻密に描いたことで知られる『洛中洛外図屏風 舟木本』を高精細画像で巨大スクリーンに拡大投影。他にも龍安寺や二条城、京都御所の魅力を、それぞれの名品ととともに紹介。まさに“京都でも見ることのできない京都”を堪能できる。特別展『京都』の会場となる、東京国立博物館敷地内を利用しての『リアル宝探しゲーム ミステリアスミュージアム』も11月10日まで実施中。お見逃しなく。


【期間】開催中〜12月1日(日)※会期中、一部作品は展示替えあり【会場】東京国立博物館・平成館(上野)【時間】9時30分〜17時 ※金曜と11/2、3は20時まで。11/4は18時まで(入館は閉館の30分前まで)【休】月曜 ※10/14、11/4は開館、10/15、11/5は休館 【料金】一般1500円 大学生1200円 高校生900円【問い合わせ】03-5777-8600 (ハローダイヤル) 【交通】JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分【URL】http://www.ntv.co.jp/kyoto2013/http://www.ntv.co.jp/kyoto2013/
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展覧会テーマソング 『懺悔』10月16日リリース EXILE ATSUSHI & 久石 譲『懺悔』 10月16日発売 CD+DVD1890、CD1050円(各税込)
特別展『京都』会場購入限定特典! 会場で購入するとATSUSHI直筆歌詞プリントマイクロファイバー(非売品)プレゼント