新春特別企画 2014年の安倍日本を占う

石破茂自民党幹事長と本紙コラムニスト小池百合子氏に聞く

 2012年の年末に行われた総選挙で自民党と公明党が勝利を収め、安倍晋三自民党総裁が内閣総理大臣に任命された。そして12月26日、第二次安倍内閣が誕生した。年が明けて2013年から本格的に動き出した内閣は「アベノミクス」を掲げ、経済政策に着手。デフレを克服し、長年続いた円高から脱却した。

 さまざまな実績を重ね臨んだ夏の参院選では与党である自民党と公明党が圧勝し、長年の日本の政治の課題であった“ねじれ”を解消した。
 秋には国家安全保障会議(日本版NSC)の設置、特定秘密保護法の成立と、ものすごいスピードで政治が動いた年だった。さて、明けて2014年はいったい日本の政治はどのように動いていくのか? 自民党の石破茂幹事長と本紙コラムニストの小池百合子自民党広報本部長にインタビューした。

小池氏「期待の大きい東京オリンピックの波及効果」
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 まず、2013年を振り返ってください。
「自民党と公明党が総選挙、首都である東京の都議会議員選挙、参議院選挙で3冠を達成し、政治は安定を取り戻したと思います。この3つの選挙をホップ・ステップ・ジャンプとするなら、4つ目の大きな出来事は2020年の東京オリンピックが決まったことですね。フィギュアスケートに例えると、4回転ジャンプとでも言いましょうか。
 日本は期限が明確で、なんのために、なにをするのか。そしてそこに希望があるときにはとてつもない力を出せる国です。オリンピック期間中だけではなく、東京に世界中の注目が集まってきます。今後、世界の方々を迎え入れるインフラを整備していくと地方を含め、その波及効果たるや計算できないくらいの大きさになるでしょう。
 2013年にはさまざまな出来事がありましたが、なによりも政治が安定したことが最も大きな出来事だったと思います」
 2014年、日本はどう動いていくのでしょうか?
「昨年は総理の海外渡航に伴う費用が底をつくといった話もありましたけれど、私は必要な経費であり、2014年はもっと頻繁にトップ外交をやってほしいと思っているんです。
 特に民主党政権の間に海外において日本の存在感はホントに低下していたんですね。“取り戻す”という言葉をよく使いますが、失われた3年3カ月はまだ取り戻せていません。まだまだこれから。それを真に取り戻すのが2014年になるでしょう。これまでは助走に過ぎなかった。これからますますスパートをかけていかなければなりません。
 それは経済にもいえることです。これからの流れは、円安が続き、ものづくりの拠点が日本に戻る、または作られるでしょう。すでに海外に出てしまった大手企業が戻ってくるという意味ではなく、日本というものづくりの拠点がもう一度日の目を浴びるわけです。またそうあらねばならないと思っています。消費税増税で一時的に落ち込むこともあるでしょうが、それに備えての補正予算も組んでいます。増税はなんらかのインパクトはありますけれども、それをいかにして和らげ、次の経済発展につなげていくようにしなければいけません。
 例えば外国人による沖縄を含む離島の土地の買い占めなどが起こり、不安が募っているわけですよね。尖閣問題の混乱がなぜあのタイミングであったのか。島の所有者が借金の返済期限に追われていたという、とても現実的な話です。かつては日本経済がバブルで浮かれていたときに、日本がロックフェラーセンターを買い占めるとか、皇居の広さでカナダ全体が買えるとか、すさまじい話がありました。それは買われる側の人々からすれば大変な脅威ですよね。しかし日本がロックフェラーセンターを買っても、日本の領土にしようなんていう話にはなりません。最近起こっている、周辺国が日本の経済が弱っていることにかこつけて、土地、水源などを買い漁っているという事象は、安全保障につながる話なんですね。個人と国の経済力、財政、これを強化することは究極の安全保障なのです。ですから2014年はやっぱり経済の立て直しが大事なんですね」

石破氏「経済の回復基調を確実なものにしなければいけない」
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 2014年の日本の政治課題を聞かせてください。
「まず最初に経済の回復基調を確実なものにするということです。雇用が増し、所得が増し、景気が好循環に入り、消費税がアップされても経済状況が好転していく状態にすることがまず第1です。第2には原発事故への対応、エネルギー政策の確立ですね。これらの問題に確実にめどをつけるということでしょう。原発の再稼働も、国民の理解をきちんと得た上で必要なものは行います。被災地の復興はもちろんです。特に福島第1原発の近くにおられた方々の将来的な生活のめどをつけるということは必要なことでしょう。第3はTPPの交渉、来年は決着をさせなければいけません。それは同時に、TPPに対応するような国内体制を作っていかなければならないということです。特に農業ですね。その次は社会保障の改革です。平成26年度予算で診療報酬の改定を行い、事実上据え置きということになっているのですが、医療、年金、介護等々の社会福祉の改革を行い、真に必要としている人に十分な保障がなされることを目指した改革を行っていきます。最後は、総理がよく言っておられる、積極的な平和構築のための安全保障政策の策定。従来の安全保障政策を、現在の緊張感高まる状況に合わせて改革していく、ということなのではないでしょうか」