楽天・田中 1月下旬には大リーグ移籍決定へ

 昨シーズン、24勝無敗でさまざまな記録を更新したプロ野球楽天の田中将大投手(25)の新ポスティングシステムでの米大リーグ移籍が実現する。
 昨年の12月25日、球団は2000万ドル(約20億8000万円)を上限に譲渡額を設定し、日本野球機構(NPB)を通じて申請の手続きを取った。26日から獲得を希望する米球団の交渉期間が始まり、1月24日(日本時間同25日午前7時)までの30日間で、契約が成立すれば楽天側に譲渡金が支払われることになる。順調に進めば来年1月下旬までには、田中の新たな所属球団が決まる見込みだ。
 立花陽三球団社長は仙台市内の球団事務所で田中と会談後、「新制度には多くの問題があるが、(田中の)7年間の貢献度は大きい」と容認の理由を説明した。
 しかし楽天にとっては苦渋の決断だった。昨季24勝を挙げ、グッズの売り上げでもトップクラスを誇る田中が抜けることは、球団にとって痛すぎる損失。しかし親会社も含めた球団のイメージ低下への懸念もあり、最終的に三木谷浩史オーナーが「田中のメジャー(移籍)を後押ししよう」とゴーサインを出した。
 田中はクリスマスに届いた吉報に「球団には感謝の気持ちでいっぱい。一歩前に進んだというのが正直なところ」と球団への感謝の気持ちを表した。回答までに球団側が1週間と時間を要したことにも、「特に不安はなかった」と冷静に振り返った。大リーグはプロ入り時は特に視野に入っていたわけではなかったが、昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で思うような結果が出せなかったことが大きな転機となったという。
 また26日には都内で開かれた「報知プロスポーツ大賞」の表彰式で、「向こうのリーグに入るだけでは満足ではない。そこで活躍して成績を残したい」と抱負を語った。
 田中の大リーグ挑戦が正式に決まったことを受け、米大リーグの公式サイトは「楽天がスーパースターのメジャー行きを容認」と速報。記事では「多くの球団が(田中の)獲得に乗り出すことは間違いないだろう」と紹介した。
 激しい争奪戦が予測される中、有力候補は潤沢な資金力を誇るヤンキース、ドジャースの両球団。ア・リーグ東地区のヤンキースは打線にはタレントがそろっているが、投手陣が駒不足。先発陣には黒田もいるだけに、日本人投手が溶け込みやすい環境は整っている。
 ナ・リーグ西地区のドジャースも、資金面ではヤンキースに決して引けを取らない。これまでに野茂英雄など日本人投手も数多く在籍。本拠地のロサンゼルスは、住環境の面でも充実している。
 資金力が乏しい球団も参戦が見込まれ、10〜15球団が手を挙げるとの予測もある。