恋愛成就!悪霊退散? 彼の正体は貧乏神!?

『断貧サロン』著者:谷川直子

 2012年『おしかくさま』で第49回文藝賞を受賞した谷川直子の受賞第一作。主人公のエリカは、モデルのオーディションを受けていて、まったく働かないシュウくんに貢ぎ続け、借金まみれ。ついに、返済のメドがたたず、借金取りから逃げるように、地元の幼なじみさえちゃんの家に転がり込む。しかしそこでもさえちゃんに借金をしてまで、シュウくんのために金策に走り回るエリカ。そんな彼女はある日、全身黒づくめの女に、あなたの彼は貧乏神だと告げられる。その女は、BHK、すなわち貧乏神被害者の会だと名乗り、エリカに“貧乏を断つため”の会、段貧サロンに参加することをすすめる。シュウくんを信じたいエリカは、拒否するが、さえちゃんに付き添われ、取り敢えずサロンに行ってみることに。そこには、かつて貧乏神依存症で現在、断貧真っ最中の女たちがいて、過去の彼氏がどんな男だったか、またどうやって断貧をしたかについて、語り合っていた。彼女たちもイケメン、スタイル抜群、でも働かない男と付き合っていて、彼らはみな貧乏神だったという。シュウくんは貧乏神じゃないと信じたいエリカだが、サロンに参加するうちに、段々と疑惑が広がっていき…。シュウくんは貧乏神なのか!? そして、エリカはその愛を貫くことができるのか? 愛と金、究極の選択に女の気持ちが揺れ動く。



【本体】1300円(税別)【発行】河出書房新社