北野武が”老い”を描くとエンターテインメントになる!『龍三と七人の子分たち』

 近年の大ヒット作品『アウトレイジ』シリーズに続き、北野武監督が新たに仕掛けるヤクザ映画はジジイが主役!

 監督17作目となる待望作は、オレオレ詐欺に引っかかった元ヤクザの老人たちが、詐欺集団に立ち向かう騒動を描いた痛快なエンターテインメント。それぞれ、クセがありながらも憎めない“ジジイ”たちを好演するのは、平均年齢72歳の超ベテラン俳優たち。主人公・龍三役の藤竜也をはじめ、生活保護を受けながら孤独に暮らす“若頭のマサ”役・近藤正臣、ちゃちな寸借詐欺で生活している“はばかりのモキチ”役・中尾彬、今では手元がおぼつかない拳銃使い“早撃ちのマック”役・品川徹、戦争に行ったこともないのに特攻志願兵だと思い込んでいる“神風のヤス”役・小野寺昭らが、老いの切なさを笑いに変える絶妙な芝居で観客を引き付ける。一方(ジジイたちから見れば)ワルガキ、詐欺集団のボスには個性派俳優の安田顕。

 個性の強すぎる老人となり居場所がなくなってしまった元ヤクザたちが、あの手この手で詐欺集団を翻弄するジジイパワーに、思わず拍手したくなる。老いをシニカルに笑い飛ばす爽快さも、北野監督ならでは。一筋縄では行かないであろう、バラエティー豊かなベテラン陣の生かし方もさすだ。

STORY:高橋龍三(70歳)は引退した元ヤクザ。かつては“鬼の龍三”と畏怖されていたが今は孤独で居場所のない老人。そんなある日、龍三はオレオレ詐欺に引っかかってしまう。怒り心頭の龍三は昔のの仲間を集めるがジジイばかりで…。

監督:北野武 出演:藤竜也、近藤正臣、中尾彬、品川徹、安田顕他/1時間51分/ワーナー・ブラザース映画/オフィス北野配給/丸の内ピカデリー 他にて公開中 http://www.ryuzo7.jp/