5選果たしたFIFAのブラッター会長が突如の辞任表明
国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長(79)は2日、スイス・チューリヒで記者会見を開き、辞意を表明した。ブラッター氏は5月29日に5選を果たしたばかりだったが、汚職事件発覚を受け、責任を問う声が高まっていた。FIFAは臨時総会を開き、後任を選ぶ会長選挙を行う方針で、時期は今年12月から来年3月の間になる見通しとしている。
ブラッター氏は会見で、自身の再選について「サッカー界にとって最善と思って(立候補を)決断した」と述べる一方、「ファンや選手など、サッカー界全体の支持を受けているわけではない」と辞任の理由を説明した。汚職事件については言及しなかった。
再選翌日の5月30日の記者会見では「総会は問題を解決できる人間を選んだ」と強調し、汚職事件への関与をめぐる記者らの質問に強気で回答していたが、2010年のワールドカップ(W杯)南アフリカ大会開催をめぐる汚職疑惑で、側近のバルク事務局長が関与した疑いを米紙が報道。18年ロシア大会、22年カタール大会の開催地決定をめぐる不正疑惑の捜査では自身の聴取の可能性も伝えられ、取り巻く環境は厳しさを増すばかりで、批判に抗い切れなかった。
会長選直前にブラッター氏に辞職を迫った欧州連盟(UEFA)のプラティニ会長は2日、「困難だったろうが、勇気ある決断であり、正しい方向だ」と辞意表明を歓迎した。
今後の焦点は次期会長が誰になるのかということ。
直前の会長選で敗れたヨルダン協会会長のアリ王子は2日、「変化を求める各国の協会にゆだねる」と米CNNに語り、再び立候補する用意があることを示唆。元日本代表監督のジーコ氏もフェイスブック上で「やらない理由はない」と出馬を検討していることを明らかにした。
韓国メディアは同国協会の鄭夢準名誉会長が立候補を示唆したと報道。前回直前で立候補を辞退した元ポルトガル代表で42歳のフィーゴ氏には、若い力で改革を主導する姿勢への待望論がある。