大谷ノブ彦 カタリマス! 第19回 「おんせん県おおいた」の、温泉のない佐伯市で考えた

 今年も残すところあと1カ月になりましたが、先日、『キキマス!』から1週間お休みをいただいて遅めの夏休みを堪能してきました。故郷の大分で墓参りをしたり、九州を回ってきました。

 大分はもちろんですが、仕事で各地を訪れるたびに地方を盛り上げたいという気持ちが強くなります。秋に静岡の清水でマグロックとフジソニックというフェスをやりましたが、ああいった感じで、いろんなところから集まってもらってっていうのをさ、やりたいなって思うんです。

 大分県はいま、「おんせん県おおいた」っていって、いろいろ盛り上げをしています。でもね、僕が生まれ育った佐伯市はその大分にありながら……温泉がない。周りは“おんせん県”って盛り上がってるのに、どうしたらいいのって思っちゃう。 このことを、キングコングの西野に話したら、それは「温泉がないところがいいんじゃないですか」って。ないことが逆に魅力じゃないかっていうんですよ。温泉がないという、“おんせん県”という観点からは欠点とみなされるようなところ、それがそのまま魅力だって。あたりまえだけど、魅力っていうのも一つじゃなくてさ、いろんな見方があるんだよね。これもさ、「いろいろあっていい。いろいろあるからいい」っていう、『キキマス!』でもこのコラムでも、とにかくいろんなところで言い続けている多様性であり、フラットな物事の見方の話だって思いました。

 もう1カ月も経っちゃいましたけど、ハロウィーンに大騒ぎして楽しんでいた人たちのことを「ウェイ族」なんて呼んでさ、何のためにやってるんだ、何をしようとしてるんだ、みたいな議論がありましたよね。これもまた、フラットな見方の話かなって思うんですよ。彼らに、目的なんて聞いても意味がないんですよ。だって、楽しそうだから参加したっていうだけ。すごくフラットに楽しんでいたんだと思います。

「お前たちは何をしたいんだ」って、若者たちに大人が問いかけるお決まりのやつです。聞かれているほうは「誰でもないし、誰になろうとも思っていないし、何をしようとも思っていない。楽しいからやっている」って堂々としている。型にはまって自分探しをし続けているのは、大人たちなんだよな…。って、思いませんか? これ、お笑いでも一緒なんだよね。自分たちもずっとそう言われてきたしね。

 もっとフラットに——。そんなことを考えさせてくれた遅い夏休みでした。

kikimasu.jpg大地洋輔との本格派漫才コンビ・ダイノジで活躍。個人でリポーターや司会、DJ活動なども行う。1972年生まれ。
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