江戸瓦版的落語案内【藪入り(やぶいり)】

Rakugo guidance ofTOKYOHEADLINE【ネタあらすじ編】
落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。
明日は商家に年季奉公している一粒種の亀吉が藪入りで実家に帰ってくる日。里心がついてはいけないということから、3年間は藪入りでも実家に帰れなかった亀吉とやっと会えるとあって、両親は明日が待ち遠しくて仕方がない。特に父親はうれしくて寝付けず、夜中の3時だというのに、そわそわと落ち着かない。「野郎は納豆が好きだから買っておいてやんな。それにあったかいおまんま。味噌汁もこしらえて、あと鰻も好きだったな。それと刺し身と天ぷらと…」とキリがない。妻に「そんなに食べられませんよ」とたしなめられても、上の空。「帰ってきたら、何をしよう。まず湯に連れていくだろう。そのあとは浅草の観音様にお参りに行って、羽田の穴守様、川崎の大師様にも寄って、江の島と鎌倉にも足を延ばすかな。そうするってーと、日光の東照宮にも行きたいし、箱根の温泉もいいぞ。そのあとはちょいと遠出で名古屋に行って、京都、大阪…讃岐の金毘羅様にも行かなくっちゃ。そこから九州に行って…」とたった1日しか休みはないのに日本一周しそうな勢い。

 あくる朝、家に帰ってきた亀吉は3年前とは別人のように成長し、玄関先で「ご無沙汰しております。お父さんお母さんにもお代わりがなく」と立派に挨拶。感極まった父親は思わず「本日はご遠方のところ、ご苦労様でございます」ととんちんかんな受け答え。しかし、そこは親子すぐに打ち解け、亀吉はとりあえず湯へ。置いていった荷物を片付けていると、母親が亀吉の財布の中に5円札が3枚入っているのを見つける。「お前さん、このお金なんだろう。いくら真面目に働いたといっても子どもに15円ものお金を渡すとは思えないし…。もしかして悪い料簡を起こしてお店の金に手を付けたとか…」と案じると、もともとが気の短い父親は、亀吉が帰ってくるなり殴りつけ「一体この金は何だ!」と問い詰めた。突然のことに泣き出した亀吉をなだめながら母親が聞くと、ペストが流行していたため、店で捕まえたネズミを捕まえて警察に持って行くと、一匹15円の懸賞に当たったとのこと。今日まで主人が預かっていてくれたが、宿下がりのこの日に持たせてくれたのだと説明した。すると父親「おっかぁが変な事を言うから、心配しちまったじゃないか。これからもご主人を大切にしろよ。これもみんな“チュウ”(忠)のお陰だ」。
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