全日本柔道選手権で王子谷が史上11人目の連覇

この後、ウルフに指導が出て王子谷が勝利を収める(写真:アフロスポーツ)

 柔道の全日本選手権が4月29日、東京・日本武道館で開催され、王子谷剛志が決勝でウルフ・アロンに延長で優勢勝ちし、2年連続3度目の優勝を遂げた。連覇は2005年の鈴木桂治以来12年ぶり、11人目となる。

 この大会は体重、年齢などすべて無差別で、その年の最強の柔道家を決定する大会。今年は世界選手権(8?9月、ブダペスト)男子100キロ超級代表最終選考会を兼ねて行われ、王子谷は試合後の強化委員会で個人としては初の世界選手権代表に決定した。
 決勝のウルフは東海大の後輩。いつの日か、この舞台でぶつかると思い、日ごろの稽古から乱取りですら一度も組み合わなかった。

 文字通りの“初対決”は延長にもつれ込む接戦に。しかし延長1分18秒に2人がもつれるように畳に崩れると、立ち上がったウルフは左顎の下が切り裂け、王子谷も左唇からおびただしい量の出血に見舞われた。流血による中断。「あと2回、血が止まらなかったらドクターストップ」と審判に宣告された王子谷は積極的に前へ。投げを打ち攻め立てると、ウルフに指導が出て勝負が決した。

 昨年の優勝時は、すでにリオ五輪の選考対象から外れており、悔しい思いをした王子谷。念願の世界選手権代表についたは「守りに入らず、120%の力を出したい」と話した。

 巨漢が揃う大会で100キロ余りのウルフはライト級。動き回り、かき回し、決着を長引かせる戦術であと一歩のところまで迫ったが大魚を逃した。