武尊と皇治が究極の殴り合い。初の大阪大会締めくくる【12・8 大阪K-1】

1R、武尊が右フックで先制のダウンを奪う(撮影・蔦野裕)

完全アウェーの中、武尊が初防衛
「K-1 WORLD GP 2018 JAPAN~K-1ライト級世界最強決定トーナメント~」(12月8日、大阪・エディオンアリーナ大阪 第1競技場)で行われた「K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級タイトルマッチ」で武尊が皇治を3R判定で破り初防衛を果たした。

 オープニングではトーナメント出場選手の入場式の後、改めて2人だけの入場式が行われ、この対戦が特別なものであることをうかがわせた。

 2人がリングに並び立つと一際大きな歓声が上がる。「選手退場」のコールがかかると、すっと踵を返し、ロープ際で何かに祈るようなしぐさを見せたもののすぐにリングを降りた武尊に対し、両手を上げファンの歓声に応える皇治。ここから好対照な2人だった。

 セミファイナルの「ライト級世界最強決定トーナメント」の表彰式が終わり、メーンの煽りVが流れると場内は異様な熱気に包まれる。そして大「皇治コール」のなか皇治が登場する。武尊にとってはここまでアウェーな状況での試合は初めてだ。

 試合前、中央でのレフェリーの注意の際に先に中央に歩み寄った皇治に対し、武尊はしばらく皇治を待たせる形で遅れて中央に歩み寄る。そしてにらみ合う2人。

 試合は1Rからともに手を止めずに激しい打撃戦を展開。武尊の強烈なパンチ、そしてボディーへのヒザが皇治を襲う。自らもパンチを繰り出し、反撃する皇治だったが、ラウンド終盤、右フックで腰が落ち、ダウンを取られてしまう。

武尊のヒザ蹴りが徐々に皇治の体力を奪っていく(撮影・蔦野裕)

武尊の猛攻をしのぎ最後までパンチを出し続けた皇治
 2Rも武尊の猛攻は止まらない。武尊が戦いをエンジョイしているときに見せる笑顔を時折、浮かべながら。しかし皇治のパンチが武尊の顔面を襲う場面もしばしばあり、会場が大きく沸く。武尊のパンチのラッシュにさらされながらも倒れることなくパンチを出し続ける皇治。

 試合は3Rに突入。ラウンドが始まる前にセコンドに鼓舞され「よっしゃあ」と気合を入れる皇治。その皇治をセコンドと大観衆が最後のリングに送り出す。3Rも武尊の猛攻を浴びる皇治。それでも最後まで手を出し続ける。

 何度も皇治の状態をのぞき込むレフェリーだったが、最後まで反撃する姿勢を見せる皇治を止めるに止められない。そんな皇治は最後にハイキックまで繰り出し、武尊相手に3Rを戦い抜いた。

 判定はジャッジ3者とも30-25。武尊の完勝だったが、会場のファンは最後まで皇治に大きな声援を送った。

皇治も真っ向から反撃(撮影・蔦野裕)

皇治「武尊君がいたからこれだけ盛り上がった。感謝してます」
 試合後、皇治は「1Rに殴られたところから覚えていないので、負けたとは思っていないです(笑)。武尊君がいたからこれだけ盛り上がった。感謝してます。ほんまに武尊君がいて盛り上がったし、こんなに大きい会場で熱が生まれたのは武尊君あってのことやから。そのへんはチンピラちゃうから、本当に“ありがとう”ということを伝えただけ。もう1回やろうと言われたけど、“いや、もうええわ”って(笑)」などと話した。

 今後については「俺はどん底から這い上がってきた男やから、ここからが俺のストーリーの始まりかなって思います。次は天心とやりますよ(笑)。また怒られる(笑)」などといつもの皇治に戻って話した。

 今大会ではかつて同じジムにいた林健太が「ライト級世界最強決定トーナメント」を制するなど関西出身の選手の活躍が目立ったのだが、それについては「すごいですよね。大阪のみんなが頑張ってくれて、しっかり結果を出してくれたから、地方の子がより頑張ろうと思うだろうし、K-1で頑張れるということをみんなが証明してくれた。それは素直にうれしいし、大阪のちびっ子たちに道を作れたし、そういう舞台を俺が持ってきたと改めて思っている。その中で健太とか瑠輝也が結果出してくれたというのは誇らしい」などと話した。

試合後、健闘を称え合う武尊(左)と皇治(撮影・蔦野裕)

武尊「あれだけ打ち合ってくれて楽しかった」
 一方、武尊は「初めての大阪大会が開催できて良かった。試合が始まる前は気にしていなかったが、向こうを応援する歓声がすごくて“あれ? 負けてるのかな?”と焦ってしまった。試合前は彼なりのやり方でやっていて、許せない部分もあったが、皇治選手にも格闘技とかK-1に対する思いがあったし、大阪を背負って試合をしていた。あれだけ打ち合ってくれる選手は最近いなかったし、最後まで立って心が折れなかった。そこはリスペクトしている。試合後には“これから一緒にK-1を盛り上げましょう”と言った。今回、大阪大会にあたって、あれだけ発言するのはリスクもあるし、それを背負って戦ってくれた。そこまで背負って戦う選手は少ない。しかも試合もあれだけ打ち合ってくれて楽しかった。久々に格闘技を仕事ではなく好きなこととしてやった。またやりたいと思った」などと話した。

ライト級世界最強決定トーナメントは林健太が優勝(撮影・蔦野裕)
「K-1 WORLD GP 2018 JAPAN~K-1ライト級世界最強決定トーナメント~」(12月8日、大阪・エディオンアリーナ大阪 第1競技場)
◆プレリミナリーファイト第1試合/K-1スーパー・バンタム級/3分3R
△蒼士(昇龍會)(判定1-1=29-30、29-29、30-29) 黒田勇斗(隆拳塾)△

◆プレリミナリーファイト第2試合/K-1ライト級/3分3R
〇SEIYA(MAD MAX GYM)(判定3-0=30-29、30-28、30-27)鈴木孝司(K-1ジム蒲田チームキングス)●

◆プレリミナリーファイト第3試合/K-1フェザー級/3分3R
●倉崎昌史(GET OVER)(判定0-3=27-30、28-30、27-30)TETSU(月心会チーム侍)〇

◆第1試合/K-1 WORLD GP 2018 K-1ライト級世界最強決定トーナメント・リザーブファイト/3分3R・延長1R
●東本央貴(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)(延長判定0-3=9-10×3/本戦0-0=28-28×3)川﨑真一朗(月心会ラスカルジム)〇

◆第2試合/K-1 WORLD GP 2018 K-1ライト級世界最強決定トーナメント・一回戦(1)/3分3R・延長1R
〇林健太(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)(判定2-1=28-29、30-28、30-29)ニコラス・ギャフィー (Marbella fight school)●

◆第3試合/K-1 WORLD GP 2018 K-1ライト級世界最強決定トーナメント・一回戦(2)/3分3R・延長1R
〇篠原悠人(DURGA)(1R25秒、KO)ゴンナパー・ウィラサクレック(WSRフェアテックスジム)●

◆第4試合/K-1 WORLD GP 2018 K-1ライト級世界最強決定トーナメント・一回戦(3)/3分3R・延長1R
〇恭士郎(士魂村上塾)(3R2分15秒、KO)インディゴ・ボイド(Beast Fight Club)●

◆第5試合/K-1 WORLD GP 2018 K-1ライト級世界最強決定トーナメント・一回戦(4)/3分3R・延長1R
〇大沢文也(TANG TANG FIGHT CLUB)(判定2-0=30-29、29-29、30-29)リュウ・ウェイ(深セン争途格闘クラブ/CFP)●

◆第6試合/スーパーファイト/K-1スーパー・バンタム級/3分3R・延長1R
△玖村修平(K-1ジム五反田チームキングス)(1R) 林勇汰(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)△
※偶然のバッティングにより試合続行不能

◆第7試合/スーパーファイト/K-1スーパー・フェザー級/3分3R・延長1R
●安保璃紅(team ALL-WIN)(判定0-3=26-30、26-30、28-30) 朝久泰央(朝久道場)〇

◆第8試合/K-1 WORLD GP 2018 K-1ライト級世界最強決定トーナメント・準決勝(1)/3分3R・延長1R
〇林健太(1R2分31秒、KO)篠原悠人●

◆第9試合/K-1 WORLD GP 2018 K-1ライト級世界最強決定トーナメント・準決勝(2)/3分3R・延長1R
●恭士郎(2R2分、KO)大沢文也〇

◆第10試合/スーパーファイト/K-1スーパー・ライト級/3分3R・延長1R
●山崎秀晃(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)(延長14秒、KO/本戦0-0=28-28×3)安保瑠輝也(team ALL-WIN)〇

◆第11試合/スーパーファイト/K-1ウェルター級/3分3R・延長1R
〇野杁正明(K-1 GYM EBISU FREE HAWK)(1R1分57秒、KO)松岡力(K-1ジム五反田チームキングス)●

◆第12試合/スーパーファイト/K-1スーパー・バンタム級/3分3R・延長1R
武居由樹(POWER OF DREAM)(延長判定3-0=10-9×3/本戦1-1=30-30、29-30、30-29) ヨーブアデーン・フェアテックス(フェアテックス)

◆第13試合/K-1 WORLD GP 2018 K-1ライト級世界最強決定トーナメント・決勝戦/3分3R・延長1R
〇林健太(3R1分52秒、KO)大沢文也●

◆第14試合/K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級タイトルマッチ/3分3R・延長1R
〇武尊(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)(判定3-0=30-25×3)皇治(TEAM ONE)●