長州、天龍、武藤、小橋らレジェンドレスラーたちによる一夜限りのゲーム対決。今しかないぞ! 見るなら、今しかないぞ!

レジェンドレスラーたちが、20時台に帰ってくる――。

「世界がコロナウィルスと戦っている今こそ、レジェンドレスラーたちのパワーが必要なとき……その時が来た!」

田中ケロリングアナウンサーの威風堂々とした口上が響き渡る。

2⽉27⽇、衛星波のBSフジで特別編 脳ベルプロレスリング』(19時〜20時55分)が放送される。



写真提供 BSフジ

 登場するレスラーは、越中詩郎(62)、⼩橋建太(53)、⻑州⼒(69)、蝶野正洋(57)、天⿓源⼀郎(71) 、藤原喜明(71)、船⽊誠勝(51) 、武藤敬司(58) (※五⼗⾳順)。新日、全日、UWF……80年代、それぞれ異なる道を歩んだレスラーたちが集結。BSフジの特設リングで、一夜限りの頂上決戦を行う。


 と言っても、実際にプロレスを行うわけではない。彼らが行うのは、『ボードゲーム』、『懐かしのテレビゲーム』、『駄菓⼦屋さんで⾒たことのあるあのゲーム』の三本勝負で雌雄を決する……


 などと、当たり前のように説明しているものの、若干400字程度だというのに、書いている筆者自身、情報量が多すぎて困惑している。ギミックが多すぎて、どこから手を付けていいか分からない海賊男なみの情報量である。このままでは、誤ってマサ斎藤に手錠をかけてしまった大阪城ホール(’87年3月)のような混乱を読者の皆さんに与えかねないので、一つずつ整理して説明していく。


 まず、脳ベルプロレスリングの母体である『クイズ!脳ベルSHOW』は、BSフジで放送されている月~金曜までの大人気帯クイズ番組だ。2015年に放送を開始し、放送回数は1000回を突破。往年の名タレントが、ゲスト回答者として自由奔放に振る舞いながら脳トレクイズに参加し、MCの岡⽥圭右(ますだおかだ)とアシスタントの川野良⼦アナウンサーが仕切っていく。その様子は、さながらサーカス団と団長のような爆笑空間を作り出し、「地上波のクイズ番組よりも面白い」と評判になっているほどだ。


 人気に拍車がかかると、2017年には特別編として『BSフジ11時間テレビ 全国対抗!脳トレ生合戦!!』へと発展。一年に一回の風物詩として、今ではBSフジのお祭り番組として欠かせない存在となり、“昭和”をベースにした11時間の全力疾走は、死語になっただろうテレビっ子を夢中にさせる「ヤバい番組」として局地的に定着するようになる。


 その11時間テレビのマグマの一つが、(T)叩いて(K)かぶって(J)ジャンケン(P)ポン、略して「TKJP」だ。長州力、武藤敬司、蝶野正洋らレジェンドレスラーが本気で 「TKJP」をする姿が大きな話題を呼び、’18年にはまさかの前田日明が参戦。顔面蹴撃事件ならぬ顔面T撃事件を繰り広げ、Twitterのトレンドになるまで話題をかっさらっていたのである。余談だが、長州力の「形変えてしまうぞ」は、同年の武藤敬司戦で生まれた名言であり、『相席食堂』が初出しではない。ドラマ『俺の家の話』に出演中の長州力が、たびたび「形変えて~」なるセリフを口にするが、BSフジが濫觴なのだ。



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