中村勘九郎「お客様の心の栄養になるように」コクーン歌舞伎が12日開幕

左から、尾上松也、中村七之助、中村勘九郎、串田和美

 コクーン歌舞伎第十七弾『夏祭浪花鑑』が12日、渋谷のBunkamuraシアターコクーンで初日を迎える。開幕を控えて11日、本作に出演する中村勘九郎、中村七之助、尾上松也、そして演出・美術の串田和義が出席し、オンライン取材会が行われた。

 緊急事態宣言によって一部公演が中止になっていたコクーン歌舞伎の幕が開く。

 勘九郎は「大変な状況の中、幕を開けることができてとてもうれしいです。祭りの火が消えなかったというのは、役者・エンターテインメントの人間としても、次の進むステップのひとつになったと思います。まだまだ世の中は本当に大変ですが、いらっしゃったお客様一人ひとりの心の栄養になるように一致団結して超楽しいお祭りをお見せします」と、挨拶。そのうえで「安全・安心に見ていただいて、本当に苦しい日常を忘れていただけるような舞台空間、肉体の芸術、生きてるというものをお届けするのが私たちの使命だと思っていますし、そしてこの公演の意義だと思っています。生きる鼓動を味わっていただけたら」

左から、松也、七之助、勘九郎

 七之助も「いろいろな考え方があると思いますが、演劇は止めてはいけないと私個人は思っています」と強調したうえで、「なんといっても、この作品はお祭りです。久しぶりにお祭りの音を聞きました。腹の底に眠っている人間の魂の震えみたいなものがあるんですね。これを聞くだけで元気になります。なので、一生懸命努めます」

 ステイホーム期間中、「自分もエンターテインメントや演劇に救われた」と、松也。「自分たちがこうしてチャンスをいただけたのであれば、自分が救われたようにみなさんの希望になるようなお芝居にできたらと思っています」と、話した。

 演出・美術の串田は「お祭りというのは楽しいときだけやるもんじゃない。どうやら長い歴史の中で、事故や災害があったり一番人間が苦しいときに、お祭りをやろう、お祭りで払おうとした。それが大本にあるんだなと、辛い時こそお祭りのエッセンスになるんだなと演出しました」と語った。

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