約10年前に書かれたとは思えない、現在を揶揄したようなお話『イロアセル』

『イロアセル』

 小川絵梨子氏が新国立劇場の芸術監督に就任した際に打ち出した支柱の一つ「演劇システムの実験と開拓」として取り入れたのが、すべての出演者をオーディションで決定する「フルオーディション企画」。今回はその第4弾として2011年10月に倉持裕が新国立劇場に書き下ろした『イロアセル』が倉持自らの演出で上演される。

 舞台は海に浮かぶ小さな島。その島に住む人たちの言葉にはそれぞれ固有の色がついていて、いつ、どこで発言しても、誰の言葉なのかすぐに特定されてしまう。だから島民たちはウソをつかないし、ウソをつけなかった。そんな中、丘の上に檻が設置され、島の外から囚人と看守がやって来たのだが、彼らの言葉には色がなく、彼らの前で話をする時は島民たちの言葉にも色がつかなくなった。以来、これまで隠していた島民たちの本心が徐々に明かされていくことになり…。SNSが発達し匿名での無責任な発言があふれ、コロナ禍で対面を必要とせず、言葉だけに頼るコミュニケーションツールが発達、増加した現代に、日常における対話や発言の在り方を改めて問いかける作品。約10年前に書かれたとは思えない、現在を揶揄したようなお話だ。

『イロアセル』
【日時】11月11日(木)~28日(日)(開演は木金19時、土13時/18時、日火水13時。月曜休演。※11月7日15時からプレビュー公演あり。客席開場は開演30分前)
【会場】新国立劇場 小劇場(初台)
【料金】全席指定 本公演 A席7700円、B席3300円、Z席1650円/プレビュー公演 A席5500円、B席2200円、Z席1650円 ※Z席は公演当日朝10時から、新国立劇場Webボックスオフィスおよびセブン-イレブンの端末操作により全席先着販売。1人1枚。 ※高齢者割引(65歳以上)・学生割引・ジュニア割引・当日学生割引・障害者割引あり。
【問い合わせ】新国立劇場ボックスオフィス(TEL:03-5352-9999=10~18時〔HP〕https://www.nntt.jac.go.jp/play/iroaseru/
【作・演出】倉持裕
【出演】伊藤正之、東風万智子、高木 稟、永岡佑、永田凜、西ノ園達大、箱田暁史、福原稚菜、山崎清介、山下容莉枝