ARレンズで防災 準備とシミュレーションで自分を守れ 


 東日本大震災から12年の日を迎え、あの日を忘れないという気持ちとともに、防災意識が自然と高まるなかで、さまざまなイベントや企業による取り組みが発表されている。

 カメラを使用したコミュニケーションアプリの「Snapchat」は、先日、日本限定で「消火器の使い方レンズ」「AEDの使い方レンズ」「洪水シミュレーションレンズ」の3種の防災ARレンズを発表した。それぞれのレンズの名前が示すように、消火器やAEDといった機器の使い方を気軽に学べるとともに、スマホをかざした場所が浸水した場合にどうなるのかを見られるというレンズだ。

 レンズ開発のために、防災のプロである、備え・防災アドバイザーの高荷智也氏と連携。いま「Snapchat」でできることは何かとともに考えるなかで、「災害の初動で死なないための準備」というアプローチをした。

「防災というと食料の備蓄がありますが、それはあくまでも死ななかった後、命を守った後に役立つ知識や準備です。まず最初にやらなければいけないのは災害の初動で死なないための準備。3つのARレンズは、知っておくことで命を守る、救うことに直結する知識ということでセレクトしました」(高荷氏)

 記者が「消火器の使い方レンズ」を開いてみると、スマホの画面を通して、自宅のリビングに真っ赤な炎がパチパチボーボーと音を立てて炎が立ち上がった。画面上に消火器があり、説明に従って、消火器を探し、ピンを抜いて、消火できた。「AEDの使い方レンズ」もほぼ同様だ。

「火災の場合は、”知らせる、呼ぶ、初期消火”。火災を伝え、消防車を呼び、初期消火をするというのが基本的なやり方です。初期消火は、やり方を知らないと、消火器が準備されていたとしても手も足もでない。火災に関しては初期症状が成功すれば被害はゼロですから、この被害ゼロにするための知識を全ての人が知っていれば、町全体、国全体として圧倒的な防災力を発揮していくことができます」

「消火器の使い方レンズ」

「AEDの使い方レンズ」

 
 AEDに関しては、「そもそもこれは素人が触っていいものなのか、救急車が来てから隊員が使うべきものなんじゃないかというのが多くの方の認識。誰もが使っていいからその辺にあるんだということを知ってもらいたい」と、高荷氏。「AEDは基本的にふたを開ければ全部音声でナビゲートしてくれます。だから、ふたを開けるという第一歩目が非常に重要。救急車が来る前に1分1秒でも早く心配蘇生を始めることができれば救命率はものすごく高くなります。せっかくあるツール、環境を誰もが素早く使ってもらうためにスマホで知識を得てもらうということをしてもらいたい」

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