東京都で急増する「梅毒」とはどんな病気?症状が消えてもひそかに進行する性感染症

報告数を年齢・性別で見ると20代女性の感染が多いことが分かる

「梅毒」とはどんな病気?

「梅毒」は性感染症で、「梅毒トレポネーマ」というらせん状の細菌に感染することで発症します。病原体を含む分泌液や血液などが粘膜や皮膚と直接接触することで感染しますが、口腔にしこりがある、唾液に菌が含まれるといった場合は、オーラルセックスを含む性行為だけでなくキスでも感染するリスクがあります。妊娠中に梅毒に感染した場合、母体から胎盤を介して胎児が感染する「先天梅毒」が起こり、それに伴い流産や死産、知的障害などにつながる恐れがあります。

 ドラマにもなった漫画「JIN-仁-」で花魁のキャラクターが侵されていた病気が「梅毒」ですが、ドラマでは実際の症状よりもかなり美しく脚色されています。

「梅毒」の症状は?

 病状の進行は第1期~後期(第3期以降)に分かれます。第1期は感染後、1カ月前後で外性器や肛門、口などに1cm前後のしこりができます。痛みやかゆみを伴わない場合も多く、数週間で症状が自然に軽快するので、治ったと思って放置されることも多いです。第2期は治療せずに1〜3カ月以上経過すると、眼、口腔・咽頭、陰部、消化管、肛門など全身に赤い発疹(バラ疹)やぶつぶつができます。この時期は体内で「梅毒トレポネーマ」が一番増殖するので特に感染力が強くなります。この症状も、治療しなくても数週間~数カ月ほどで消えることが多いです。

 さらに1年以上が経過すると、全身にゴム腫と呼ばれるゴムのような腫瘍ができて、それが心臓や血管、脳などに広がり心不全や心臓発作、全身麻痺、認知症症状など重篤な症状を引き起こします。後期になるほど治療が難しくなり、治療したとしてもすでに臓器に生じた損傷が元に戻るわけではありません。後期に移行する前に適切な治療を開始することが重要です。

「梅毒」の検査と診断方法は?

 いくつかの検査方法がありますが、都内の保健所や都の検査室では匿名・無料でHIVと梅毒の抗体検査を受けることができますし、ほとんどの医療機関でも抗体検査に対応しています。感染機会から4~6週間以上経過していれば検査可能で、症状がある場合は保険診療が適用されます。人間ドックや妊娠初期の検診、ブライダルチェックなどで判明することもあります。見逃しを防ぐため、さらに1カ月後にも検査をおすすめします。