陸上日本選手権 男子100m決勝 「誰を撮るか」【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。

撮影/文章:長田洋平 2023年6月4日 陸上日本選手権 男子100m決勝
陸上日本選手権の男子100m決勝は最終日の最終種目だった。いわゆるオオトリだ。
撮るべき選手は決まっていたと言っても過言ではない。サニブラウン選手だ。
 
しかし、スタート直後から異変が起こる。
そのサニブラウン選手が失速した。
おそらくこの時、ほぼ全てのカメラマンの思考が一瞬停止したのではないか。
 
では誰を撮るか。
 
100mを正面から見ると、誰がリードしているかはかなりわかりにくい。
セオリーとしては大型ビジョンを見ることだ。
拮抗していたが、柳田選手がリードしているように見えた。
おそらく70mくらいまで大型ビジョンを見ていたと思う。
坂井選手はスタートのイメージが強く、柳田選手の初優勝が脳裏に浮かんでしまった。
 
ゴールの瞬間、僕は柳田選手を撮った。しかし少し浮かない表情を見せた。
その時初めて坂井選手にカメラを振った。勝ったのは坂井選手だった。
 
やってしまった。と思ったのは、もう一人のカメラマンとの事前の取り決めでは
自分はインレーンの選手を狙う役割だったからだ。
 
しかしこの写真は使われた。
なぜならサニブラウン選手が失速したことがニュースとして取り上げられたからだ。
複雑だ。止まってもおかしくなかったサニブラウン選手が踏ん張ってゴールまで
走り切ってくれたことに感謝をするしかない。
 
 
■カメラマンプロフィール
撮影:長田洋平
1986年、東京出身。かに座。
早稲田大学教育学部卒業後、アフロ入社。
2012年ロンドンパラリンピック以降、国内外のスポーツ報道の現場を駆け回っている。
最近では平昌オリンピック、ロシアW杯を取材。
今年の目標は英語習得とボルダリング5級。
 
★インスタグラム★
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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