青森山田か、近江か 【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。

撮影/文章:長田洋平 2024年 1月8日 全国高校サッカー選手権 決勝 青森山田×近江
強さの青森山田か、勢いの近江か。
どちらを撮りに行くか、どこにポジションを取るか、迷った。手堅くいけば青森山田。
しかし、準決勝の戦いぶりを見ているとどちらが勝ってもおかしくない。
近江が勝ったら快挙だ。それを撮り逃すのは後悔が残る。もちろんどこにいようが撮れる時は撮れるし、撮れない時は撮れないのだが。ただ、考えることを放棄するのも良くない。
さあどうしようか。。。と散々悩んだ結果、青森山田の応援席付近に陣取ることに決めた。
つまり、青森山田が勝つだろうと予想した。
理由はいくつかあるが、一番は青森山田の高校生離れした経験値だ。番狂せは起こさせない。
そうなるだろうと予想して撮影に臨んだ。
 
試合はコートチェンジも起こらずセオリー通りに進んだ。
僕は前半に近江を、後半に青森山田を撮ることになった。両校とも持ち味を出しながら拮抗した試合が進んで行く。近江がドリブルでボールを持ち出せば国立の大観衆は湧き立ち、青森山田は堅牢な守備と球際の強さで王者たる由縁を見せた。前半33分、先制したのは青森山田だ。
拮抗した試合に風穴を空けるのはだいたいスーパーゴールだ。ただ個人的なことを申し上げれば、残念ながら自分がいたのは逆サイドで、ただ遠くから撮るしかなかった。
 
後半早々に試合は振り出しに戻る。
近江らしいドリブル突破とセンタリングで相手を翻弄して、最後はフォワードが仕留めた。
ただ、個人的なことを申し上げるとこれも逆サイドで、遠くから撮るしかなかった。これは野洲旋風の再来か。これで近江はイケイケだ。このまま逆転してしまうのでは。まだ何も撮れてないぞ。僕と同じエリアで撮った人はおそらくそう思ったのではないか。少なくとも僕はそう思った。
 
しかし、ここから青森山田は強かだった。
近江ディフェンスと競り合いながら裏に抜け出した米谷選手がゴール。これを待っていた。
ただ、競り合い部分が良い光の中にあったため、僕は陰影をつけて撮っていた。慌てて設定を戻して事なきをえたが、間に合わないと思って焦った。喜びは狙い通り青森山田応援席へ。
結果的にはこれが決勝ゴールとなり、狙いがハマった形になった。
 
しかし、だ。青森山田は強い。どうすれば高校レベルでここまでのチームになれるのか。
近江も個人技術の高さだけでなく、流れるような連携と距離感の良さは多くの人を魅了した。
僕もその中の1人だ。最後は青森山田の完勝に終わったが、試合終了のホイッスルが鳴った時にほとんど全ての選手が崩れ落ちた。立っていたのは青森山田の2人か3人の選手だけだ。それがこの戦いの壮絶さを物語っていた。
 
 
■カメラマンプロフィール
撮影:長田洋平
1986年、東京出身。かに座。
早稲田大学教育学部卒業後、アフロ入社。
2012年ロンドンパラリンピック以降、国内外のスポーツ報道の現場を駆け回っている。
最近では平昌オリンピック、ロシアW杯を取材。
今年の目標は英語習得とボルダリング5級。
★インスタグラム★
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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