片寄涼太が一夜限りのクリスマスライブ フルバンド編成で最高の夜

 

 4曲目「Smoky Town Rain」は土岐麻子によるサウンドプロデュース曲で、日本語の美しさと歌謡曲のようなノスタルジックさを兼ね備えた楽曲の紹介から、キーボードの伴奏に乗るボーカルの繊細な魅力が際立つ。各フレーズは静かに粒立ち、間奏にはフルートの音色も加わる。しっとりした雰囲気のまま5曲目に初ソロ曲「Possible」を繋げ、スタンドマイク前に立つ片寄のロングトーンとファルセットがのびやかにきらめく。ドラムス、ベース、キーボード、サックスの順でバンドメンバー紹介までシームレスに織り込んだ。

 ライブ中盤のMCコーナーでは本公演前の12月18日にGENARATIONSのアリーナツアー『GENERATIONS LIVE TOUR 2025 “6IX SENSE”』を完走したことに触れ、他にもGENERATIONSメンバー6人によるプロデュース企画「PRODUCE SIX COLORS」など2025年のグループ活動も振り返った。中でも9月7日にさいたまスーパーアリーナで開催された『TOKYO GENARATIONS COLLECTION』で披露した自作文からの抜粋朗読パートは中盤パートの見せ場となった。その流れで歌う松田聖子の「SWEET MEMORIES」カバーを6曲目として歌詞の内容と自作文が共鳴しながらアウトロまで丁寧に歌い上げた。続く7曲目「サクライロ」も切ないラブソングで、アルバム初回盤に収録されたブックレットの武勇伝ページに「ゆっくりと時間をかけて一つ一つが呼吸を思いだすように」と書かれているように歌い込まれる。