『ラヴ上等』で、ヤンキーから学んだ、真面目ぶった私たちができなかったこと【ネタバレ有・ラヴ上等8話〜最終話】

【第9話】一途こそがマジに強いのがヤンキーなのに…
「分からんもんは分からん」と、口に出して言えるのも男らしさなのではないだろうか。8話終盤、あもから見定め中の状況について責められた二世。あもの言ったとおり、まだBaby・あも・おとさんで揺れているという。
「誰のことも完全に好きにはなれていない」というのが二世の本音であるのは確かなのだろう。しかし、あもには実際にキスまでしてしまっている手前、責められれば弱い立場になってしまうのは二世の方なのも、間違いない。
そして今回は、久しぶりにおとさんがいい意味でフォーカスされた。Tシャツのデザインを描き上げたり、お世話になった子ども食堂のオーナーに手紙を読み上げたりと、派手な外見とはギャップのある真面目さが、周囲のメンバーにも伝わったようだ。
ここに来て、ミルクがおとさんに対して好意を持ち始めたのにはMC陣すらも驚きを隠せていなかった。ここまで「一途が取り柄」だったミルクが、つーちゃんという強敵の出現でブレブレになってしまった。

子ども食堂でのBabyの「ミルクに手伝ってもらった方が早かったな」という言葉は、Babyなりの精一杯の甘えのセリフだったのではないかと思う。しかしBabyならではのツンデレが、ミルクには一切伝わっていない。BabyはBabyなりに、歳下のミルクへの甘えどころを精一杯探しているように見えるが、ミルクの様子はまるで赤ちゃんがえりと言ったところだ。
ミルクとBabyの関係は「一途なミルクの思い」にBabyが答える形で繋がりを保ってきたからこそ、終盤での関係の悪化はかなり痛い。
恋愛模様には暗雲が漂い始めてしまったヤンキーたちだが、子ども食堂のお祭りイベントには全員真摯に向き合っていた。まだ付き合いが深いとはいえない関わりでありながら、子どもたちもメンバーも、お互い自然に振る舞っていたのがとても印象的だった。
子どもとの交流にいい影響を感じていたBabyに対して、最後までアプローチし切ることができなかったミルクと、持ち前の素直さで最後のアピールに成功したつーちゃんに、Babyの気持ちが傾いていく。子どもとの関わりは、一見恋愛とは全く関係ないようにも思えるが、ヤンキーたちにとってはそうでもないのかもしれない。外見や経験から慎重に交流しようとしてしまう大人とは裏腹に、邪気なく近づいてきてくれる子供たちの様子に、感化される部分があるのだろう。
このままハートフルに終わって欲しかったが……終盤、二世はあもに続き、おとさんのボディタッチも受け入れてしまった。派手に見えて内面は誰より乙女なおとさん、アプローチ方法が完全に少女漫画的になってしまっているが……たぶん、二世に「ボディタッチで恋を勘違い攻撃」は通用しない。

