『ラヴ上等』で、ヤンキーから学んだ、真面目ぶった私たちができなかったこと【ネタバレ有・ラヴ上等8話〜最終話】

【最終話】ヤンキーと私たちの共通点

 視聴者の中には、ここまでのヤンキーの生態を近くで見るのが初めてだった人もいるかもしれない。ここに来ているヤンキーは過去に悔いや痛みがあり、初対面の人にはすぐ噛みついてしまう。しかし、一度受け入れた仲間にはどこまでも優しい。そして、自分を傷つけようとするものには、誰より敏感だ。

 心の傷が癒えていないヤンキーにとっては、恋愛はまだまだハードルの高いものでもあっただろう。恋愛というよりも、どこか自分自身に自信がなさそうに見えるミルクやおとさん、てかりん。そして、弱さを隠して強がってしまうBaby(もしかしたら、きぃーちゃんも)。

 本当は私たちも、彼女たちと何も変わらないのではないかとも思える。大人ぶって、まともぶって行動してはいても、大人になればなるほど、新しい人との出会いが怖い。恋をして傷つくことへの不安も、どんどん大きくなっていく。

「追いすぎる恋愛がしたくない」というミルクの気持ちは、傷を負ったことのある若者として全うな気持ちだろう。だが誰しも、人生において苦い経験を持っているし、こんなに好きになって振り向いてもらえなかったら、と不安を抱えるものなのだ。

 だからこそBabyは、最後につーちゃんを選んだのだろうと思う。つーちゃんは最後まで、自分が傷つく不安よりもBabyへの気持ちを優先した。それが、恋した相手に払うべき誠意だ、とでも言わんばかりに。

 序盤こそチャラ男代表のように見えた二世は、家族との電話などを通して、痛みを乗り越えつつあった人物といえるだろう。しかし、あもやおとさんとの深すぎるボディタッチを通しても「性欲と愛」を勘違いすることなく、最後まで冷静に「結婚も考えられるパートナー」を探しているように見えた。

 きっとこれまでの人生で、何度もノリでキャバ嬢と付き合ってきたのかもしれない。「カネでばかり見られてしまう」と語っていた二世も、何度も恋愛で傷ついてきたはずだ。二世にとっては、2週間という時間はあまりにも短すぎたのかもしれない。

 最後にあもを選んだ二世、迷いを見せつつも二世についていくことを選んだあも。そして、てんてんとタックル「どちらも選ばない」ことを選択したきぃーちゃん。もっと時間があったら、選ぶ未来は変わっていたのだろうか。

 2週間で自分を曝け出すのは、どんなに難しいことだっただろうか。自分のダメなところ、弱い部分、全部理解し合った上で交際を決めることが出来たメンバーは、きっと幸せになれることだろう。感情的になって、ケンカ別れする未来もあるかもしれない。それでもこの出会いがあったこと、恋をしたことは、きっと忘れない。