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ありがとう『世界動画ニュース』、これからもよろしくね『世界動画ニュース』〈徳井健太の菩薩目線 第253回〉

2025.09.10 Vol.web original

“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第253回目は、『楽しく学ぶ!世界動画ニュース』について、独自の梵鐘を鳴らす――。

『楽しく学ぶ!世界動画ニュース』が、10月改編によってレギュラー放送を終了することなった。この番組を通じて感じたこと、勉強になったこと、いろいろなことを菩薩目線でも触れてきた。思い入れのある番組だったから、やっぱりさびしいなぁ。

 もともとこの番組は、『電脳ワールドワイ動ショー ニュースではわからない世界の今!』としてスタートした。番組が始まったとき、「芸歴 20 年を超えて個人技を鍛える機会なんてそうそうない。まだ上手くなれるかもしれない。スタッフ陣に恩返しができたら」と、僕は心から思った。なんだか僕にとって、大きなターニングポイントになるような番組とスタッフに出会えたような気がしたから。

 前身から数えると4年続いた番組だった。僕は、今までいろいろな番組に出演し、レギュラーを務めた番組もあったけど、初めて「さびしい」という感覚にとらわれている。『ピカルの定理』が終わったときは、こんな感情になれなかったから、やっぱりあのときは自分が未熟だったし、仕事への向き合い方もどこか他人事だったんだろうなと思う。良い仕事に出会えると、そんな風に過去の仕事とも今一度答え合わせができるのだから、生きている以上、良い仕事と良い人間関係に恵まれた方がいい。考えようによっては、終わらないと分からないことってたくさんあるんだよね。

 終了に伴い、プロデューサーさんが、ウチのマネージャーを含めてご飯を食べる機会を設けてくれた。「あらためて徳井さんと話したかった」から、一席を作ってくれたという。こんなにうれしいことってない。いろいろお話をさせてもらって、レギュラー放送は終わるけど、これはきっと新しいスタートなんだろうなとワクワクした。今まで続いていた何かが終わると、どうしたって気が沈む。人によっては糸が切れるかもしれない。でも、そういうことじゃないんだろうな。新しいレールを走るためには、乗り換えが必要で、きっと今、そのタイミングが訪れたんだと思った。電車を待つ間に食べる、ホームにたたずむ駅そばはおいしくて、心が温まる。そんなひとときを、プロデューサーさんは作ってくれたのだ。

 食事会には、プロデューサーさんと長年タッグを組んできたスタッフさんも同席し、一緒にあれこれ話したのだけれど、「毎回、楽屋からスタジオに行くまでの間に、徳井さんにどんな雑談の話題を振るのか楽しみ考えていた」と教えてくれた。そう言えば、いつも話をしながらスタジオに向かっていた。

 僕は、小藪さんと出会ったとこで、人生をぐるっと変えるきっかけをもらった。それ以降、僕も小藪さんとまではいかないけど、誰かと話をする中で、その人の人生をほんの少し好転できるような人になれたら……なんてことを思いながら生きてきたから、そんな些細なことを楽しみにしていたと言われて、胸に込み上げるものがあった。

『楽しく学ぶ!世界動画ニュース』のレギュラーコメンテーターは、僕のほかに、いとうせいこうさん、稲垣えみ子さん(元朝日新聞記者)、堤伸輔さん(フォーエイト元編集長)という布陣。みんな博識で、時世や時代に一家言を持つキャリアがあるから、自分にできることは何なのか考え続けた4年間でもあった。何がどう響いているのか、毎回手探りで、今だって明確な答えは見つからない。

 だから、一生懸命やり続けるしかない。結局、それが一番簡単――。一生懸命やることは、決して簡単じゃない。でも、一生懸命やるのが、納得のいく人生を歩む、もっともシンプルな方法なんだと思う。良い経験をさせていただいたと、『楽しく学ぶ!世界動画ニュース』に関わったすべての人に感謝したい。僕もまだまだ頑張ります。この番組で出会ったスタッフさんたちと、また違う形で乗り合いできることを楽しみにして、次の場所へ向かおうと思います。

 何かが終わるとき、それはとっても悲しいけれど、そうじゃないってことを、皆さんにも知ってほしいし、そう思わないから次があるのだと思っていてほしい。      

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