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池袋シネマ・ロサ伝説!『侍タイムスリッパー』監督 が17年来の盟友・岩松監督『渇愛』舞台挨拶に登壇

2025.05.17 Vol.web original

 

 公開中の映画『渇愛』の舞台挨拶が17日、池袋シネマ・ロサにて行われ、俳優の石川野乃花らキャストと岩松あきら監督が登壇。同館1館での上映から始まりアカデミー賞受賞の快挙を果たした『侍タイムスリッパー』の安田淳一監督も応援に駆け付けた。

 元小学校教師の岩松あきら監督が、かつての教え子の実話をもとに12年もの歳月を費やし完成。摂食障害の現実に切り込みながらルッキズム社会に警鐘を鳴らす意欲作。

 約10年前に撮影し、クランクアップは2017年。立ち上げから12年もの歳月を費やし完成させた同作の公開に、岩松監督も感慨深げ。

 この日は、岩松監督の応援に、日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した『侍タイムスリッパー』の安田淳一監督が応援ゲストとして登壇。京都で兼業農家をしている安田監督は田植えの繁忙期での上京に「今日は大雨だったのでよかった(笑)」。

 実は17年来の友人であるという2人。安田監督は「完成したときに試写に行ったら立ち見だったのでつらかった(笑)」と笑いを誘いつつ「すごいものを作ったなと思いました」と感嘆。

 岩松監督が愛知県・三河で立ち上げた映画祭をきっかけに交流が始まったといい、安田監督が「普通は映画祭に参加してもなぜ落ちたのか教えてくれないが、岩松さんは落ちた人にも丁寧な手紙をくれた」と振り返ると、岩松監督も「安田監督はエントリーしてなくても毎年、お客さんとして来てくれる」と感謝。「一緒に寝泊まりしたこともある」と“相思相愛”ぶりを披露。

 一方、安田監督が「10年ほど前に、僕の作品が初めて映画館で上映されたとき、親戚が子供を連れて見に行ってくれたんですけど、そこで『渇愛』の予告編が流れて。それがあまりにも強烈で、僕の作品を見ずに映画館を出てしまったということがあって。なんちゅうことをしてくれたんだよ、と(笑)」と明かし、会場が爆笑する一幕も。

 互いに長編1作目を同時期に撮影していたという2人。岩松監督は「夜な夜な電話し合った思い出がよみがえります。すごく立派になった安田監督が、こうして僕の作品の舞台挨拶に登壇してくれて…」。『カメラを止めるな!』や『侍タイムスリッパー』など、インディーズ映画を驚異の大ヒットに導いた映画館での再会に感激した盟友2人。

 最後に岩松監督は「教師を辞めてこの映画を作ったことを絶対に後悔しないように、上映が終わるまで全力で広めていきます」とさらなる意気込みを語っていた。
 
 この日の登壇者は石川野乃花、加藤睦望、獅子見琵琶、岩松あきら監督。ゲスト・安田淳一監督。

遠野なぎこ、涙で摂食障害を語る「芸能界にあこがれないで。あれはリアルな世界じゃない」

2025.04.28 Vol.web original

 

 映画『渇愛』(5月16日公開)の完成披露舞台挨拶が28日、都内にて行われ、俳優の石川野乃花、大島葉子、獅子見琵琶と岩松あきら監督が登壇。特別ゲストとして登壇した遠野なぎこが自らも抱える摂食障害について語った。

 元小学校教師の岩松あきら監督が、かつての教え子の実話をもとに12年もの歳月を費やし完成。摂食障害の現実に切り込みながらルッキズム社会に警鐘を鳴らす意欲作。

 主人公・早紀役の石川は「当時、現役アイドルとしてステージに立ちながら撮影していて、自分も痩せなくちゃと時代に染まってしまった気持ちとともに作品に足を踏み入れたんですが、撮影する中で、それは違うと感じていきました」と語り、性的描写への挑戦にも「価値は周りから与えられるものではないんだよといった、たくさんの思いを込めました」。

 この日は、特別ゲストとして、自らの摂食障害を公表している遠野なぎこも登壇。遠野は「私は15歳から30年間、摂食障害と戦っています」と言い、摂食障害とは?という質問に「ダイエットは自分の意思ですが、摂食障害は沼のようなもので一度ハマるとなかなか抜け出せない。私も治療を受けてもまだ苦しんでいます。もしかしたら私は最後のときを迎えるまで摂食障害かもしれない」。

 さらに遠野は「贅沢病とか甘えとか言われて、家族も理解も少なくて公表できない人も多い」と語りながら「若い方にとくに見ていただきたい。摂食障害の沼にハマってしまう若い方を一人でも減らしていければ」と声を震わせて語り、涙をあふれさせた。

 本作についても「最初は途中までしか見られなかった」と当事者の苦しみを語り「でもこういう作品って無いんです。見て見ぬふりをするんです、皆さん。アイドルの若い子に痩せろとか…。摂食障害なんて地獄への入り口よ」。

 石川が「身体が細くなるとともに心も細くなるんですよね」と役作りとともに主人公の心情を振り返ると、遠野も「いい子じゃなきゃいけないと思う人が摂食障害になりやすいと言いますね」と頷き「よくあんな芝居できたね。強いよ、あなたは」と石川の演技を大絶賛。

 遠野の手記を読んだという岩松監督も「映画のタイトルは、なぎこさんの本を読んで思いついたんです。摂食障害は愛情を求める欲望なんだという文章から『渇愛』だと」と明かした。

「しゃべり足りない」と苦笑する遠野。「芸能界の女優さんやモデルさんといった人たちにあこがれないでくださいと伝えたい。あれはリアルな世界じゃない。無理されている方もたくさんいます」とルッキズムの危険を訴え「他人事じゃないんです。摂食障害の方は世界中にいっぱいいるんです。その現実を広めてください」と熱く訴えていた。

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